1. トップ
  2. 小野塚勇人「役者として社会のためになることもできる人間に」地域をフィーチャーした舞台出演への思いを語る

小野塚勇人「役者として社会のためになることもできる人間に」地域をフィーチャーした舞台出演への思いを語る

  • 2026.3.14

『仮面ライダーエグゼイド』で注目を集め、以降数々のドラマや映画、舞台などに出演している小野塚勇人さん。近年ではグランドミュージカルにも活躍の幅を広げる彼が、2026年3月16日(月)より音楽劇「アカネイロのプレリュード~赤坂の奏~」に出演する。

父の失踪によって、経営が傾いた老舗バーを立て直すために夢半ばで地元に引き戻された主人公・鮎川浩太を演じる小野塚さんに、東京有数の一等地である赤坂を舞台にした本作への思いや役者としての自身について語ってもらった。

音楽劇「アカネイロのプレリュード~赤坂の奏~」に出演する小野塚勇人さんにインタビュー 撮影=後藤薫
音楽劇「アカネイロのプレリュード~赤坂の奏~」に出演する小野塚勇人さんにインタビュー 撮影=後藤薫

俳優として社会のためにできることも意識していきたい

――まず、本作のお話があったときのお気持ちや感じたことについて教えてください。

【小野塚勇人】プロットの段階でお話をいただいたのですが、赤坂という街を題材にしたお話、それを草月ホールという赤坂の伝統ある劇場で上演するということで、地域を活性化させるプロジェクトの一つというところに興味を持ちました。

これまで地方創生に絡めた作品にもいくつか出させていただく中で、その土地の文化や“ならでは”のことを知ることができました。それをエンターテインメントとして伝えていくことって大事なことだな、と感じていたんです。しかもプロジェクトの第1回に参加させていただけるということも、ありがたいことだと思いました。この街の歴史をエンターテインメントでさらにおもしろくして、皆さんに届けられたらなという思いです。

撮影=後藤薫
撮影=後藤薫

――地域おこしのような社会活動に関心があるんですね。

【小野塚勇人】役者にやれることって、言ってしまえば、娯楽だと思うんです。皆さんの娯楽の中に生きている仕事なんですよね。30代になったこともあり、楽しいとかおもしろそうというだけではなく、役者として社会のためになることもできる人間になっていきたいという思いがありますね。社会貢献とまでいかなくても、実際にある街を作品として見てもらえるのはいい機会だと思いますし、自分にとってもプロジェクトにとってもプラスになればいいなと思います。

――そういう意識が生まれたきっかけはありますか?

【小野塚勇人】今回でいえば、作品をきっかけに赤坂という街を知ったり、赤坂が舞台ということをきっかけに作品を観にきてくださったりする方もいると思います。赤坂ってそういう街なんだとか、芝居っておもしろいんだなとか、知らなかった世界に導くことができるのが役者という存在だと思うんです。自分も10代のときにそういった刺激を受けて、芸能界を目指そうと思った一人でもあります。還元するという言葉が合っているかわからないけれど、せっかく役者をやっているんだから、そういうきっかけを与える側になれたらと思いますね。

撮影=後藤薫
撮影=後藤薫

赤坂の地に根付いた設定と普遍的なストーリー

――では、出来上がった台本を読んでみての感想はいかがでしたか?

【小野塚勇人】僕が演じる鮎川浩太も赤坂出身ですが、家業を継ぐのってここでは当たり前なの?とか、赤坂ならではの設定がありながらも、自分の境遇に不満を持つというか、自分がやりたいことに向き合うとか、そういう普遍的なことが描かれているんです。だから赤坂のことをあまり知らない人が観ても身近に感じられるんじゃないかなと思います。そういう意味では話自体はめちゃくちゃこじんまりした内容で、映画っぽい印象を受けたのですが、それをどう音楽劇にするのか。演出や音楽のシーンで、いかに楽しんでもらえるようにできるか、というのも楽しみですね。コメディ作品ではないけれど、ちょっとシュールな笑いもありつつ、楽しく観ていただける作品になると思います。

――浩太は、父親が残した借金を返すために赤坂の老舗バーを継ぐことになりますが、もし小野塚さんがその立場だったら、どう立ち回ると思いますか?

【小野塚勇人】うーん…自分の夢と、現実的にやらなきゃいけないことがあるじゃないですか。実際に3000万の借金なんて背負わされたら、夢を追ってる場合じゃないぞってなるのかな…。リアルに言ったら、もう自己破産するしかないぐらい現実的じゃないと思うんですよ。ただ、浩太がなんでバーを継いで借金を返す気になったのかとか、浩太の周りにいる人の行動とか、台本に想像の余地が多い気がしていて。そのあたりをすり合わせて作っていく必要があるのかなと。

たとえば、絶縁状態ながらどこかで親父を好きな気持ちがあって、でもそれを認めたくなかったとか、深層心理では生まれ育った赤坂の街が好きだったとか、店を潰しちゃえよって思いながらも潰れてほしくなかったりとか、複雑な感情は絶対あると思う。仕方なくバーをやりながらも、どこか本気になるというか、やりがいを感じるときもあると思うので、そういう人間臭さを出して演じたいですね。

撮影=後藤薫
撮影=後藤薫

「自分次第でどこまでも探求し続けられる」ことが役者のやりがい

――やりがいというお話がありましたが、小野塚さんは俳優という仕事のどんなところにやりがいを感じますか?

【小野塚勇人】やっていることはとにかく地道で、すごく地味な作業を朝から晩まで繰り返していく仕事なんですよね。演じる役柄にもよるし、常に楽しいわけでないけれど、カーテンコールで拍手をもらって「やっぱりこの仕事って最高だな」って感じる瞬間にアドレナリンが出るというか、中毒性があると思う。映像なら完成を見て「あの芝居ってこういう風に映ってるんだな」とか、演じているときの想像を超えるものが見られると映画っていいなと思いますし。

演じる役についてどれだけ考えるのか、どうやって演じるのかっていうすべてが自分次第で、答えもないし、ノルマもない仕事だから、自分次第でどこまでも探求し続けられる。それって芸でご飯を食べる人にずっとついて回ることですし、一番のやりがいなのかなとは思いますね。

撮影=後藤薫
撮影=後藤薫

――もともとは歌の道へ進む足掛かりの一つとして、俳優のお仕事に挑戦されたそうですね。

【小野塚勇人】そうなんです。青春時代にEXILEに憧れて、EXPG(LDHが運営するダンススクール)に入って、オーディションにもたくさん参加しました。何回もオーディションに落ちて、本気でやっていたからこそ、本気でダメなんだと感じて、それで俳優という道が見えたんですよね。1回、俳優を全力でやったときに、なるほどという感覚というか、アーティストになりたいという未練みたいなのがすっぱりなくなって、おれは俳優として生きていくぞって覚悟を決めたんです。

当初の目標とは違うけれど、それがつながってたどりつく場所があるんだなと。だから、後悔もなく、俳優っていう仕事に誇りをもって、これからも続けていくものだと思っています。僕はあまり物事が長続きしないタイプなんですが、14年くらい続けてこられて、もうすぐ人生の半分になります。だから、自分にすごく合っている仕事に就けたのかなと思っています。

――舞台『あたっく No.1』が、そのきっかけになった作品だと伺いました。

【小野塚勇人】それまでもアンサンブルみたいな形で出演させていただいていましたけど、「演技を学ぶことによって、歌の表現力にもつながるんじゃないか」みたいな、どこかでやっぱり歌手になりたいっていう気持ちを捨てきれずにいたんです。

『あたっく No.1』では、そういうところも見透かされていたのか、カッコつけてることに対して殻を破らされる、破らないとできない、というような現場でした。殻を破って裸になった自分が出てきたときに、スカしたり、カッコつけたりすることじゃなくて、人間味をさらけ出して泥臭くやることに対して周りが評価してくれるって、そのときに思ったんです。それで、俳優がやっぱりおもしろいなって。当時はそこまで言語化できていないですけどね。

撮影=後藤薫
撮影=後藤薫

――振り返ってみると、そういうことだったんだな、と。

【小野塚勇人】『あたっく No.1』は毎日つらかったので、大千秋楽が終わったあとに今までにないぐらい涙が出てきて、生の緊張感からの開放感と達成感と寂しさと、スタンディングオベーションを見たのも初めてですし、いろいろな感情が入り混じった初めての感情がうわーって出てきたときに、「またこういうところに立ちたいな」、「この仕事って楽しいな」と思えて。それが新たな発見というか、歌手としての表現力のために俳優をやろうなんて、めちゃくちゃ失礼なことだったんだなって、俳優をやるなら本気でやろうって思いました。

――芝居と向き合って、ひと皮むけた自分になったというか。

【小野塚勇人】53皮くらいむけましたよ(笑)。3カ月くらい極限の厳しさの中にいたので、それがターニングポイントだったと思います。

撮影=後藤薫
撮影=後藤薫

――最後に、本作が主人公の地元・赤坂の街を舞台にした作品ということにちなんで、小野塚さんが第二の故郷だと感じる場所について教えてください。

【小野塚勇人】映画『恋のしずく』の撮影では、広島の西条というところで3週間くらい過ごしました。地元の人たちと一緒にご飯を食べたり、地元の穴場の飲み屋さんなんかに毎日のように行ったりして、地元の人と同じくらい詳しくなったんです。西条生まれの役ということもあって、もともと自分がいた街みたいに愛着が湧きましたね。

あと、舞台とかで地方公演があると、居酒屋にけっこう行ったりするんです。地元の人しか来ないお店、みたいな場所がめちゃくちゃ好きで。そういう空気感がある場所自体も、第二の故郷かもしれません(笑)。

撮影=後藤薫

取材・文=大谷和美

※記事内の価格は特に記載がない場合は税込み表示です。製品・サービスによって軽減税率の対象となり、表示価格と異なる場合があります。

元記事で読む
の記事をもっとみる