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【西野七瀬】「自分にはなかったことを役を通して体験できるのは役者の醍醐味」【ノーカット&アザー】

  • 2026.3.31

西野七瀬さんが初登場したsweetのインタビューのノーカット版、アザーをお届け!
映画『90 メートル』についてお話を伺いました!
西野さんの透明感溢れる表情にもご注目を♡

――どのような経緯でこの作品に出会ったんでしょうか?

西野 以前主演した瀬々敬久監督の映画『少年と犬』でご一緒したプロデューサーさんからお声掛けいただいたのがきっかけです。それで脚本を読ませていただいたんですが、介護やヤングケアラー、それを取り巻く人達の仕事ぶりなど、これまでの自分の生活では全く接点がなかったことやテーマに興味を持ちました。もっと知りたい、と純粋に思ったことが、この役を演じたい、という後押しになったんだと思います。

――中川監督の過去作はご存知でした?

西野 はい、『少女は卒業しない』を拝見していました。観たときに、自分が10代の頃に監督の作品に出会っていて俳優をしていたら、監督の作品に出たかったなと思いました。学園ものはほとんどやったことがなかったので、こんな素敵な学園映画で学生役をやってみたかったな、って。

――お芝居だったらまだまだできると思いますよ。

西野 (笑)。

――今回はケアマネの役ですが、どのように役をリサーチされて挑まれました?

西野 そもそもなんですが、恥ずかしながらケアマネジャーっていうお仕事を知らなかったんです。ヘルパーさんのことは知っていたので、クライアントさんとヘルパーさんをつなぐお仕事なのかな、と思ってたんですが、そんな単純なことじゃなかった。調べれば調べるほど、こういう調整役がいないと、介護の現場は回らないのかなと実感しました。監督からは資料をたくさんいただいて、それを読むことから始めましたが、自発的にもいろいろと。特によく見ていたのは、ケアマネをされている方が発信されているYouTube動画。私が演じた下村は、美咲さんのご家庭の状況に臨機応変に対応したり、彼らとの距離感を絶妙にはかっているんですよね。ケアマネの実際のお仕事の内容も大変なものばかりですが、あらゆることの調整役としてどのように接していくのか、ということは、実際にお仕事をされている方の声をうかがうことで学んだんだと思っています。

――ケアマネって難しい仕事ですもんね。

西野 そうなんですよね。私が演じた下村、そして彼女が担当する美咲さんと佑くんのケースだけ切り取っても大変なことだと思いますが、それぞれ全く違うケースを担いますよね。でも、ケアマネさんは個人的にどう思っていてもそれをクライアントさんの前では出さないんです。暗黙のルールみたいなものだと思うんですが、ケアマネさん側からずけずけと入り込んでいくことはしない、というか、距離感の測り方がすごく独特。踏み込みすぎていないけど、クライアントさんとは密接につながっていて、信頼関係もある。この距離感が下村役の鍵になると思って演じていました。監督からもいろいろとご指示をいただいたんですが、その点で一番参考になったのは、難病を患った方とその息子さんとの関係をとらえたドキュメンタリーや、ケアマネを目指している方々のインタビューなど。どのような仕事なのか、またどのような動機でこの仕事を選ばれたのかにはすごく興味がわきました。

――裏方、調整役ですものね。西野さんご自身は調整がうまいほうだと思います?

西野 私ですか!? 調整役……ではないかもしれないです。

――ケアマネさんは本当にすごいですよね。特に美咲と佑の場合、佑が多感な年頃というのもあって……。

西野 高校生だと、やはり親との距離感は難しいものだと思います。私も中高生くらいのころ、親がちょっと心配性なところがあったので、ちょっとなにか言われると「もうやめてよ」みたいな感じでつっぱねてしまうこともありました。美咲と佑の関係とは全然違うんですが、この作品を見た方にも自身の家族との関係に目を向ける機会になればと思っています。

――そんな美咲を演じた菅野美穂さんからはどのような影響を受けましたか?

西野 ベッドで横たわってお芝居をされている菅野さんが、本当の患者さんにしか見えず、美咲さんを目の前にしてお芝居しているはずなのに、それを忘れてしまいそうになるほどその演技に引き込まれました。オフカメラのときは気さくにお話してくださって、緊張感をほぐしていただきました。

――そうした共演の皆さんとの積み重ねで、役にアプローチするヒントも得られました?

西野 ありました、というかそれがなかったらつかめなかったと思います。一度私が思うように演じてみて、監督にどうですかとうかがってシーンの芝居を決めていったんですが、一人で考え込んでも解決策は出ないものなんですよね。現場で監督が考えていることや、共演の皆さんとの距離や関係性など全てがそろったところで、役ができていくんだと思うんです。今回の場合は、美咲さんと佑くんがいることで、ケアマネとしての下村という存在が生まれたんだと思います。

――どんなに体当りしても、一人じゃ役者のお仕事は成立しませんものね。

西野 ほんとそうだと思います。役者のお仕事って作品によって全然違いますし、いろいろなところでいろいろな役を演じられることだけでなく、自分にはなかったことを役を通して体験できるのは本当に役者の醍醐味だと思っています。

――これからやってみたい役はあります?

西野 今回のようにある程度現実味のあるものをやっていきたいとは思っています。もちろんファンタジー色がある役も好きなんですが、背伸びせずに等身大で挑むことができて、なおかつ自分の勉強にもなるような。それを続けていくことで見えてくる課題もあると思うんです。

――課題ですか? 今回はなにか見えました?

西野 繊細さでした。

――え……? 十分繊細。

西野 そう思っていただけるのは嬉しいんですが、この作品に出会えて、もっともっとできることがあると思ったんです。たとえば声のトーンとか。自分で演じたときの感覚と、映像になったときのトーンが全然違うことがあって、思い通りにピタッとはまることがそうそうない。たまにあったときに「できたかも!」と思うんですが、それが毎回できることではないので。いろいろ考えすぎちゃってわけわからなくなることもあるんですが、そういうときは一気にリセット!(笑)

――切り替え! そんな切り替えのときにお洋服のこと考えたり……(唐突

西野 唐突にきましたね(笑)。でもあるかも。じつはこの何年か、白黒や茶とか、すごくベーシックな色味の服ばかり買ってしまっていて、それに飽きてしまったんですよね。温かい色味をあえて入れていかないと! とちょっと気分を変えていこうと思ってたところです。


『90メートル』
story 母・美咲(菅野美穂)と2人で暮らしてきた佑(山時聡真)。佑が高校2年生になったとき、美咲が難病でからだが不自由になり、彼女の介護をすることに。ケアマネジャー下村(西野七瀬)らの助けでギリギリ生活を維持していたが、彼には大学進学で上京するか母との生活を続けるかの選択が……。

監督・脚本:中川駿/出演:菅野美穂、山時聡真、西野七瀬、南琴奈、田中偉登 ほか/配給:クロックワークス/公開:3月27日より、新宿バルト9ほか全国ロードショー

photo : KAEDE HARA

styling : KANAKO ONITSUKA

hair & make-up : YUKA NOGUCHI[ROI]

text : MASAMICHI YOSHIHIRO

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