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【柄本佑さんインタビュー】時代劇の“不自由さ”が自由にしてくれる。掘り下げがいのあるジャンル

  • 2026.2.27

Emoto Tasuku 柄本佑

出典:シティリビングWeb

映画「木挽町のあだ討ち」で主演を務める柄本佑さん。木挽町の芝居小屋「森田座」で起きた仇討ちを解明する加瀬総一郎を演じる。

原作小説はたまたま読んでいたそう。

「父が木挽町の生まれなので読んでみようと思ったのがきっかけでした。ずいぶん前のことなので、今回お話をいただいて、ご縁を感じています。小説を読むときにはどうしても映像化するなら…と考えることがあるのですが、この作品は文章の世界だなと感じた記憶があります」

今作は源孝志さんが監督・脚本を務め、原作を大胆にアレンジ。

「源監督とはもう何作もご一緒しています。源監督がやられるなら映像化も可能だろうと思いました。映像もとても美しく、エンターテインメントとしてとても完成度の高いもので、最後はある種の痛快さをもって劇場を後にしてもらえると思います」

原作小説では、総一郎は聞き手であり、姿を現さない。

「表現の自由度は高かったように思います。監督から『この役は刑事コロンボだ』と最初に言われていました。初日の撮影が、総一郎が人ごみの中を歩いて行くシーンだったのですが、普通は人をよけるじゃないですか。でも監督から、よけずに人にぶつかりながらがんがん進んでほしいと言われました。それが総一郎という役のヒントになったかもしれません。距離感が変な人というか(笑)。どこまで計算でやっているかはわからないけれど、猪突猛進で懐に入っていくのがうまい男だと捉えました」

物語は、回想形式で進んでいく。

「こういう作品は、起きた事件やそこに関わる方こそが主役だと思うので、なるべく目立たないことを意識しました。僕は背が高いので、時代劇だとより目立つんですよね。なるべくその世界観になじむように、動きなどを工夫しました」

時代劇、現代劇ともに活躍する柄本さん。

「時代劇の不自由さが自由にさせてくれると感じています。たとえば時代劇では歩きづらい衣装だったり、言いなれない・聞きなれないセリフ回しだったり、所作も細かく決まっています。その縛りや枠があることで、むしろ想像力が働くかもしれません。現代の衣装を着て、今の感じを出せばいい現代劇のほうが自由に見えるかもしれませんが、その人の感覚と実感でどう表現してもいい、というほうが難しさを感じることもあります」

もっと多くの人に時代劇に触れてほしいという思いも。

「時代劇というとなんとなく、勧善懲悪や殺し合いみたいなイメージがあるかもしれません。もちろんそういった作品も魅力的ですが、実は人情や助け合いといった、のほほんとした作品も多くあります。探偵ものやミステリーもありますし、掘り下げがいのあるジャンルだと思います。現代に通じる普遍的なものを感じることもあります。時代劇=一歩離れたもの、というよりは、共感できる部分もたくさんあるので、ぜひそこに出合ってみてほしいです」

柄本佑さんの“働く”インフラ

Q.仕事をする上で大切にしていることは?

初めての撮影のときに、母(注:女優の角替和枝さん)に「現場に台本を持っていかないこと」と言われて、それは守るようにしています。監督も共演者もスタッフも見ている現場で台本を開くのはみっともない、という教えです。なのでずっと台本は宿泊している宿に置きっぱなしだったのですが、ある日、母が台本を持って現場に行こうとしているから、なぜか聞いたら「控室はいいだろう」と言っていました。カメラの前で台本を開くなということで、控室やメイク室は大丈夫だったみたいです(笑)。身近にいる大先輩なので、もらった言葉は大切にしています。

Q.心に響いた一言は?

石倉三郎さんに言われた、「やりすぎず、逃げ道を作るのが粋だ」という言葉です。それまでモヤモヤしていたことが取捨選択されて二分され、自分の中で腑に落ちたんです。それから「適当」という言葉が好きになりました。“適当”ってつまり、“適宜当たっている”ということ。僕の中では7割当たっていて、3割の余白を作るようにしています。やりがいを求めて10割でやりたくなることもあるけれど、3割の余白を意識的に引き算しています。その余白があるからこそ、この仕事を追いかけたくなるんだと思います。

【Check】

出典:シティリビングWeb

2月27日(金)全国公開

(c)2026「木挽町のあだ討ち」製作委員会 (c)2023 永井紗耶子/新潮社

直木賞と山本周五郎賞をダブル受賞した、永井紗耶子さんの「木挽町のあだ討ち」を原作に、大胆にアレンジを加えて映像化。1810年、江戸・木挽町。歌舞伎の芝居小屋「森田座」の舞台がはねた直後、若き美男子が仇討ちを成し遂げる。それから1年半後、「木挽町の仇討ち」と江戸の語り草になったこの事件に、腑に落ちない点をいくつか感じる加瀬総一郎(柄本佑)は、真相解明に乗り出す。

【PROFILE】

東京都出身。2003年に映画「美しい夏キリシマ」で映画主演デビュー。近年の主な出演作に、映画「先生、私の隣に座っていただけませんか?」「真夜中乙女戦争」「ハケンアニメ!」、声の出演に「犬王」「野生の島のロズ」、NHK大河ドラマ「光る君へ」など。公開待機作に映画「メモリィズ」など

取材・文/高木明日美(シティリビング編集部)

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