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なぜ運動は続かない?ウェルネスの専門家が語る、続く仕組みのつくり方

  • 2026.2.26

いつも通り、私は目標を書き込んだノートとモチベーションを高めるプレイリストを用意し、「今年こそジムに行くのを習慣にする」と固く誓いながら新年を迎え、そのまま2月に入った。最初の数週間は順調だった。スケジュール通りにジムに通い、筋肉痛さえも勲章のように感じられ、「体のために良いことをしている」という満足感に包まれていた。けれど、やがて日常との折り合いがつかなくなってきた。仕事や予定、疲れなど、もっともらしい言い訳だ。気づけば1日休み……2日休み……年始に燃え上がったあの熱意は、あっけなく消えていった。

そんなフラストレーションと、少しの罪悪感を抱えながら、私はいつもと違う行動に出た。魔法のような解決策を求めるのではなく、専門家に話を聞き、自分がどこでつまずいているのかを見つめ直してみた。実際、「ウェルネスエコノミー」を提唱し、フィットネスを“続く習慣”へと設計するフェルナンド・マルティレとの対話は、私の運動に対する見方を大きく変えてくれた。運動を、年始に限った一時的なものではなく、より現実的で持続可能な、そして何より無理のないプロセスとして捉えられるようになったのだ。

最初の数週間でトレーニングをやめてしまう人が多い理由と防止策

早期の挫折は、意志の弱さではなく、プロセスの設計に原因があることが多いとマルティレは語る。「多くの人が陥りがちなのは、トレーニングを始めた途端に、すべてを一気に変えようとすることです。電気自動車を想像してみてください。スピードを出しすぎれば、バッテリーの寿命は縮まります。継続の本質は、エネルギーの管理にあります。そして何より“心”の管理です。最初の2〜3週間は感情的なモチベーションが支えてくれますが、新鮮味が薄れた瞬間、それまでの仕組みは崩壊してしまいます。人は怠けているから失敗するのではありません。継続できる設計になっていないから続かないのです」

続く仕組みをつくる5つのステップ

マルティレは、続く仕組みをつくるための5つのポイントを挙げる。

1. 理想の自分が思い描くよりも、小さく始める

強度よりも継続できることが重要だ。コンディションいい日にしかこなせない完璧すぎるプログラムよりも、調子の悪い日でも繰り返せる現実的なプランにこそ価値がある。

2. 結果を求める前に、“アイデンティティ”を築く

「◯kg痩せたい」ではなく、「私はトレーニングする人間だ」と考える。自分はそういう人間だと認識した瞬間、行動は揺らがなくなるのだ(習慣にも同じことが言える)。

3. さまざまな指標で変化を測る

見た目だけを指標にすると、すぐに挫折する。エネルギーや睡眠の質、集中力、筋力、気分──こうした変化は、体型が変わるよりずっと前から現れる。「ゴールとプロセス、どちらが大切か」。マルティレは迷わずプロセスだと言う。理想は、その過程で自分を置き去りにしないことだ。

4. 摩擦を減らす仕組みをつくる

ジムはできるだけ近くに。ウェアはあらかじめ用意し、時間は固定する。価値観を共有できる環境に身を置く。意志の強さに頼るのではなく、続けやすい条件を先に整えておくことが大切。

5. モチベーションに頼らず、仕組みで安定させる

気分に左右されずに続けられるのが、習慣だ。現代のウェルネスが重視するのは、急激な変化ではなく一貫して続けること。仕事やプライベート、日々のエネルギーと調和する習慣こそが鍵となる。マルティレはこう語る。「トレーニングは罰であってはなりません。自分に合うものだからこそ、続くのです」

続けられる体を食事からつくる

適切な食事は体を変えるだけでなく、トレーニングのプロセスそのものを整えるとマルティレは言う。「栄養が不足していたり、バランスが崩れていると、疲労やイライラ、強い食欲、回復不足を引き起こします。そんな状態では、どんなルーティンも実際以上に困難に感じられるものです」

適切な食事がもたらすのは、疲れにくさや思考の明瞭さ、回復の早さ、そして睡眠の質の向上だ。

「実際、体づくりの8割は食事で決まります。どれほどハードに鍛えても、結果を左右するのは食事です。「人は食べたものでできている」という言葉は、決して誇張ではありません。トレーニングの成果は、始める前のコンディションにかかっています」

トレーニングは強度より、頻度を重視する

いきなりハードに追い込めば、その瞬間はやる気も上がる。けれど、そんなやり方は長くは続かない。マルティレによれば、体や代謝を変えるのは単発の高強度トレーニングではなく、時間をかけて繰り返すことだという。体が応えるのは、ハードな1回ではなく、積み重ねなのだ。そして彼は、継続は体の変化以上のものをもたらすと続ける。それは自信や意志の強さ、人格を育み、自分との約束を守れる人間だという感覚をもたらす。そうした変化は、仕事や人間関係、意思決定にも影響する。だからこそ目標は、短期的な変化ではなく、長く続ける視点で考えるべきだとマルティレは言う。「30日間の約束より、5年先のビジョンを」

成長を正しく捉えることで、習慣は長く続く

完璧でないことを当たり前にすること。素晴らしい週もあれば、平凡な週もある。どちらも無駄ではない。そう語るマルティレは、成長は直線的ではなく、積み重なっていくものだと言う。 「人は中断を失敗だと解釈したときに、やめてしまうのです。運動を単発の出来事ではなく、“人生のインフラ”として捉え直すことが重要です」

形にこだわりすぎる必要はない。ジムに行く日もあれば、歩く日やストレッチの日、呼吸に集中する日があってもいい。どれも前進の一部だ。ゆっくりでも動き続けることが、結果的にはいちばんの近道になる。

現代のウェルネスにおける本当のラグジュアリーとは、よりハードに鍛えることではない。生活を犠牲にすることなく続けられ、それが自分を引き上げてくれると感じられることだ。

マルティレはこう締めくくる。 「習慣は、やがて義務ではなく、生き方になるのです」

Text: Ramón Barreto Adaptation: Kie Uchino

From VOGUE.MX

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