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「感謝されないと不安」「評価されてない?」上司の機嫌や言動が気になって集中できない!そんな心理状態になる理由と対処法を、メンタルヘルスの専門家が解説

  • 2026.3.5

「自律神経」って言葉、よく耳にしますよね。実は、“交感神経と副交感神経”の2種類だけではないんです。メンタルヘルスの専門家・吉里恒昭氏によると、“ポリヴェーガル理論”では自律神経を3つに分けて理解するのだそう。

吉里氏がこの3つの自律神経を赤・青・緑の3色で表現し、さらに独自の“ポリ語”を使って、体と心の調子を整える方法をわかりやすく解説した著書では、イライラ、不安、無気力、トラウマなど、さまざまな負の感情からラクになるメソッドが紹介されています。

今回はその中から、「上司の評価が気になってしまう部下のケース」を例に、自身のコンディションを整えるための方法をご紹介します。

※本記事は書籍『イライラ、不安、無気力、トラウマ……負の感情がラクになる 「ポリヴェーガル理論」がやさしくわかる本』(吉里恒昭 :著/日本実業出版社 )から一部抜粋・編集したものです

 

「3つの自律神経」は、どんな働きをする?

赤=交感神経:「動く・活動する」ときに働く神経です。赤が強く働くときは危険に遭遇して「戦う・逃げる」必要があるときです。「アクセル」の神経とも呼ばれ、この神経が活発な状態は、「能動的な状態」ともいわれます。

青=背側迷走神経複合体:「止まる・休む」ときに働く神経です。青が強く働くときは命の危険に遭遇して「体が固まり、シャットダウンする必要がある」ときです。「ブレーキ」の神経とも呼ばれ、この神経が活発な状態は、「受動的な状態」ともいわれます。

緑=腹側迷走神経複合体:「安全な場所にいる・安心だと感じられる」ときに働く神経です。アクセルとブレーキの調整をする「チューニング」の神経とも呼ばれます。

 

緑赤のブレンドを仲間にしよう

今回は、「今までと違った悩み方や体験にするためにポリ語からヒントを得る」ということについて詳しく見ていきたいと思います。そのための方法として、「ブレンドを仲間にする」ことを紹介します。まずは、緑赤のブレンドを仲間にする方法について、解説しましょう。

 

赤と緑赤の特徴のおさらい

緑赤のブレンドを仲間にするには、まず「赤の神経」と「緑赤の神経」の違いを体感することが重要です。

赤はアクセルで、動いているときの生理反応です。血圧や脈拍を高めて、酸素をたくさん取り入れるために呼吸が速くなり、筋肉にも力が入っています。声が大きく早口になりがちです。他人を安心させようとする行動というよりは、他人をコントロールしようとする行動のほうに意識が向いています。状況や他人を変えたり、コントロールすることで安心を得ようとしています。

つまり「安心したいから」状況や他人を動かしている状態です。「自分の状態がどうあるか」という意識よりも、状況や他人がどうあるか、今の状況や相手は「危険かどうか」という方向に意識が向いています。自分よりも外側のほうに意識が向いているということです。

「やりたくてやっている」というよりは「やらなければならないからやっている」「怖いからやっている」「不安になりたくないからやっている」「結果が気になって動いている」という状態です。

ちなみに「やりたくてやっている状態」については、「緑赤が反応している」と呼んでいます。「安心したくてやっている(赤)」と「安心してやっている(緑赤)」の違いです。

つまり赤は、動くことで安心する、状況を変えることで安全を確保する、他人に動いてもらったり言ってもらうことで安心を得る、危険な場所から離れることで安心しようとする、嫌な体験をしないように努力することで安心を得ようとする、そのような神経状態です。能動的で、行動的で、活動的です。

不安や恐怖のレベルが高ければ高いほど、赤の濃さが濃いと考えられます。不安が強いほど、心拍数や血圧が高くなり、呼吸数も増えて力み具合が強まっていることでしょう。この赤に緑がブレンドされた緑赤について思い出してみましょう。緑は安全感、安心感、今こことつながっている感覚、「一緒」にという感じ、見守られている感覚などがキーワードです。

このような緑の感覚を感じながら能動的で行動的で活動的な状態が緑赤です。赤と緑赤の違いをイメージできるでしょうか? このようなブレンド状態を体験できるようになっていただきたいのです。具体例を示してみましょう。

 

上司の評価が気になってしまう部下のケース

「上司から感謝されないと不安で、ありがとうと言われたいからムキになって仕事をしている」「上司から認められないと不安で、どうしたら認めてもらえるのか気になりながら仕事をしている」──これは、「上司の言動で安心を得ようとしている」からで、不安や疎外感を味わいたくない(逃げたい)という状態です。

これは、赤の神経が反応している状態です。筋肉は全体的に力み、脈拍、言動も速いスピードになり、視野が狭くなっている可能性が高いです。

「音楽を聴きながら仕事をしたら、上司に認められるか気にならなくなって、別に普通に仕事したらいいやと感じた」

「昼休みに久しぶりにおいしいランチを食べたら、上司の機嫌はあまり気にならなくなって、むしろ自分のスキルアップをしたいという意欲を、いつの間にか感じていた」

「上司の言動がどうであれ、今目の前にあることを淡々と行なっている」

このような感覚は、緑赤といえるでしょう。上司の言動だけで安心を得ようとしてはいません。上司がこうであってほしいとコントロールすることに固執しておらず、自分にとって必要なことや今ある仕事に意識が向いています。

そして、「上司の言動以外(例えば、音楽、おいしい食事、大好きなペット、筋トレなど)でも安心が得られている自分がいて、仕事をしている」ともいえましょう。

 

赤から緑赤にシフトするためには、

❶「上司の言動や機嫌のみで安心しようとしている自分」に気づく

❷上司の言動以外で緑になるように体の調整を工夫してみる(例えば、水を飲む、深呼吸をする、外に出て体を動かす、好きなペットの画像を見るなど)

❸安心を充電した状態(少しでも緑が増えた状態)に整えてから、本来の仕事に戻る

 

という流れをたどると、緑赤の状態で仕事に向かえるかもしれません。コントロールする対象は相手や結果ではなく、まずは自分の体のコンディション(神経)、ということです。

念のため伝えておきますが、「赤が間違いで緑赤が正しい」ということを言いたいわけではありません。赤が必要なときもありますし、緑赤が必要なときもあります。どちらにもなれることが重要なのです。

そして、赤で仕事をしていた場合と緑赤で仕事をした場合では、悩み方や体験が変わるということです。

 

著者略歴:吉里恒昭(よしざと・つねあき)
 
臨床心理士、公認心理師、医学博士。フォーチュンビレッジ代表。株式会社DMW取締役。心療内科、精神科の現場でカウンセラーとして20年以上の臨床経験を持つ。うつ病、依存症、PTSD(トラウマ)など、様々なメンタル疾患に対して「からだ・こころ・発達・対人関係」の側面からセラピーを行っている。専門的アプローチはブリーフセラピー、ナラティブアプローチ、マインドフルネス、ポリヴェーガル理論、整体など。2020年から支援者(カウンセラーなど)を対象としたオンラインスクール(DMWクラブ)を開講。最新メンタルヘルスやポリヴェーガル理論を支援者が使えるようになるための学び場を提供している。

 

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