『スパイダーマン：ノー・ウェイ・ホーム』監督、アンドリュー・ガーフィールドとトビー・マグワイア出演シーンを当初の構想から変更していた

トビー・マグワイアとアンドリュー・ガーフィールドの極秘出演でも注目を集めた『スパイダーマン：ノー・ウェイ・ホーム』（2021）。ジョン・ワッツ監督は、2人の出演シーンの構想を練っていたにもかかわらず、掲示板型ソーシャルメディアのRedditを見て、即座に変更を決めたそうだ。メディテラネオ映画祭のパネルディスカッションで、ワッツ監督が裏話を明かした。

「脚本の執筆中から、スパイダーマンたちをどこで登場させようかと相談していました。メイおばさんを亡くしたピーターは悲しむだろうから、そこでポータルが開いて2人のスパイダーマンが出てくるのはだろうかと、イメージを膨らませていました」「まだすべてが曖昧で、模索している最中だった」が、「どこかの屋上にしよう」と考えていたという。

「ところが、Redditを見たら、『スパイダーマンたちが登場するのはおそらくこんな感じ』というファンアートを書いている人がすでにいたんです。屋上ですよ。悲し気な場面でドクターストレンジのポータルが2つ開いて、それぞれスパイダーマンが現れるんです。『これは無理だ。僕らのアイデアとまったく同じことをみんなが思い描いている。絶対できない』と思いました」と当時の絶望を語る。

ワッツ監督は「僕らがしたいのは、誰も想像していないことだ。それは何だろう？」と考え、クイーンズにあるネッドのフィリピン系のおばあちゃんの家にスパイダーマンたちが現れるというアイデアをひねり出した。「Redditでそんなファンアートを投稿している人はいなかったと思います」と振り返る。

当時はコロナ禍の真っ只中であったため、ネッドのおばあちゃんを演じたメアリー・リベラを探し出し、ハワイから撮影現場のアトランタまで連れてくるのは大変だったというが、おかげで思い通りのシーンになったと胸を張る。「撮影場所を変えて、彼女を登場させた途端、最高のかたちで観客を裏切ることができたと感じました。観客は、自分たちが観たいと思っていたものを、まったく想像もしていなかったかたちで目にすることになったのです」

Text: Tae Terai

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