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【日本橋】ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ@アーティゾン美術館 6月1日(日)まで

  • 2025.4.25

日本橋のアーティゾン美術館では、「ゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプ」展が2025年6月1日(日)まで開催されています。20世紀前半を代表するアーティスト・カップルであるゾフィー・トイバー=アルプ(1889–1943)とジャン・アルプ(1886–1966)。それぞれの制作に及ぼした影響やデュオでの協働制作の試みに目を向け、カップルというパートナーシップの上にいかなる創作の可能性を見出せるか、再考する展覧会です。

出典:リビング東京Web

展覧会場入口

ゾフィー・トイバー=アルプ(1889 –1943)

スイスの芸術家、画家、彫刻家、テキスタイルデザイナー。スイスのダヴォス生まれ。スイスとドイツの応用芸術学校に学んだ後、1915年にチューリヒでジャン・アルプと出会い、1922年に結婚。 テキスタイル・デザインの教育に従事する傍ら、色彩理論と幾何学的抽象の研究を基盤に空間装飾や絵画も手がけるなど、ジャンルを横断する創作活動を展開しました。

ジャン・アルプ(1886 –1966)

ドイツのシュトラスブルク(現在のフランスのストラスブール)生まれ。ドイツ国内とパリで美術を学んだ後、「青騎士」やダダイスムの活動に参画。 1920年代以降は、独自に創出した造形言語をもって、シュルレアリスムと抽象の間を行き来しながら、主にコラージュやレリーフ、彫刻の領域で創作を行いました。

出典:リビング東京Web

左:《「ダダ・ヘッド」とゾフィー・トイバー》1920年、アルプ財団、ベルリン/ローラントシュヴェルト 撮影:ニック・アルフ

右:《「臍=単眼鏡」とジャン・アルプ》1926年頃、アルプ財団、ベルリン/ローラントシュヴェルト

ⓒ VG BILD-KUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2024 C4762

20世紀前半の前衛美術シーンを代表するアーティスト・カップルの展覧会

美術史の中では、19世紀後半以降アーティスト・カップルはゾフィー・トイバー=アルプとジャン・アルプの他にも見られますが、本展覧会では夫婦の関係にあった二名を取り上げる点を特色としています。

出典:リビング東京Web

会場展示風景

彼らの作品にはダダや構成主義、シュルレアリスム、デ・ステイル、抽象といった前衛芸術の前線で活動しながら、デュオ、つまり両者のコラボレーションによる作品も残している点も注目ポイントです。

出典:リビング東京Web

ゾフィー・トイバー=アルプ、ジャン・ アルプ《デッサン(デュオ=デッサン)》1939 年、 アルプ財団、ベルリン/ローラントシュ ヴェルト ⓒ VG BILD-KUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2024 C4772

1943年にトイバー=アルプが逝去して以降もその残された作品はアルプの創作を刺激し続けるなど、ふたりの創作は絶えず密接な関係にありました。

出典:リビング東京Web

ジャン・アルプ《共同絵画》おそらく1950年頃、アルプ財団、ベルリン/ローラントシュヴェルト ⓒ VG BILD-KUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2024 C4772

ゾフィー・トイバー=アルプの先駆的な創作活動を包括的に紹介

展覧会場にはトイバー=アルプのテキスタイル、家具デザイン、建築設計、絵画などの作品が展示されています。《パッチワークのズボン》は20世紀前半の作品ですが、とても斬新で印象に残る作品の一つです。

出典:リビング東京Web

ゾフィー・トイバー=アルプ《パッチワークのズボン》1920-24年、アルプ財団、クラマール

幾何学的抽象と色彩理論の研究を基盤に、女性にも門戸が開かれていた応用芸術から出発し、後に前衛芸術の最前線で男性のアーティストと肩を並べるまでに至ったトイバー=アルプの足跡が感じられる作品が展示されています。

出典:リビング東京Web

ゾフィー・トイバー=アルプ《抽象的なモティーフによる構成(手帳カバー)》1917-18 年頃、アールガウ州立美術館、アーラウ(個人より寄託)

“For Arp, Arp is Art”−ジャン・アルプのユニークな創作を再評価

有機的なフォルムの彫刻作品が特に知られるジャン・アルプですが、彫刻に取り組むようになるのは1930年代初めからで、その創作活動は絵画と詩を起点としています。

出典:リビング東京Web

ジャン・アルプ《ダフネ》1955年、アルプ財団、ベルリン/ローラントシュヴェルト

カンヴァスに油彩で描く従来の絵画の形式にアルプは背を向け、平面と立体を統合させたレリーフの形式を創出するとともに、表現においては偶然的に見出されるイメージやコラージュに関心を向けるなど、規範や束縛から自由な創作を展開していきます。

出典:リビング東京Web

ジャン・アルプ《花の頭部をもつトルソ》1924年、アルプ財団、クラマール ⓒ VG BILD-KUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2024 C4772

「現代アート」で有名なフランス生まれのアーティスト、マルセル・デュシャンに「アルプその人がアート」と評されたジャン・アルプのユニークな作品を通して、20世紀美術におけるその重要性と今日に通じる意義を再考する展覧会です。

出典:リビング東京Web

ジャン・アルプ《無題(デッサン・デシレ)》1934年、アルプ財団、ベルリン/ローラントシュヴェルト ⓒ VG BILD-KUNST, Bonn & JASPAR, Tokyo, 2024 C4772

アートファン必見:前衛芸術の最前線

本展はドイツとフランスのアルプ財団をはじめとする国外のコレクションより、トイバー=アルプの作品45点、アルプの作品36点、そして、多様な様態からなる両者のコラボレーション作品7点、計88点が出品されています。

夫アルプに比して、日本では紹介の機会がきわめて限られてきたトイバー=アルプの創作活動の刺繍や家具、装飾品などが含まれ、デザイン、インテリア、ファッションが包括的に示される貴重な機会となりますので会場で是非ご覧になってみてはいかがでしょうか。

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