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コーヒーは体に悪い?発がん性のリスクと健康への影響を科学的根拠をもとに解説

  • 2026.10.1

朝の目覚めや仕事の合間に欠かせないコーヒーですが、「カフェインは体に悪い?」「発がん性があるって本当?」といった健康への影響が気になっている方も多いのではないでしょうか?
10月1日は「国際コーヒーデー」[1]。コーヒーの健康メリットや懸念点、デカフェ(カフェインレス)の実際の効果まで、健康管理上級指導員・サプリメントアドバイザーの船木彩夏さんが、最新の研究論文や公的機関の情報をもとに分かりやすく解説します。
また、発がん性リスクに関する科学的根拠やカフェインの上手な摂り方、体質や飲む時間に合わせた付き合い方もご紹介しますので、よければ参考にしてください。

この記事のポイント
・発がん性の真相:焙煎時に生じるアクリルアミドが話題となったが、IARC(国際がん研究機関)の評価でも「ヒトに対する発がん性は分類できない(Group3)」とされており、極度に恐れる必要はない。ただし「65℃を超える非常に熱い飲み物」には注意が必要
・健康へのメリット:クロロゲン酸などのポリフェノールを含み、2型糖尿病や肝がんのリスク低下との関連が数多く報告されている
・デカフェ(カフェインレス)の魅力:覚醒作用は抑えられるもののポリフェノール類は残っており、夕方以降やカフェインを控えたい時の心強い選択肢となる

コーヒーに「発がん性」があるって本当?気になる噂の真相

2018年、米国カリフォルニア州で、コーヒーに発がん性の警告表示が必要かどうかをめぐる裁判が話題になりました。

焙煎で生じる「アクリルアミド」と最新の科学的評価
注目されたのが、コーヒー豆を高温で焙煎するときにも生じる「アクリルアミド」です。
アクリルアミドは、食品に含まれるアミノ酸の一種「アスパラギン」と、ブドウ糖や果糖などの還元糖が、主に120℃以上で加熱されることで生じます。
コーヒーだけでなく、ポテトチップスやパン、焼き菓子など、加熱したさまざまな食品に含まれており、コーヒーはアクリルアミドを比較的多く含む食品のひとつですが、ポテトチップスなど、より高濃度になる食品もあります[2]。
その後、カリフォルニア州は2019年、コーヒー豆の焙煎やコーヒーの抽出過程で生じる物質への曝露について、「有意な発がんリスクをもたらさない」とする規則を施行しました[3]。
また、WHOの専門機関であるIARC(国際がん研究機関)は、1,000以上の研究を検討し、コーヒーについて「ヒトに対する発がん性について分類できない(Group3)」と評価しています[4]。
「安全性が証明された」という意味ではありませんが、現在の科学的根拠から、コーヒーそのものを発がん性のある飲み物と考える必要はないでしょう。

がんリスクで気をつけたいのは「飲み物の温度」
もうひとつ注意したいのが、コーヒーをはじめとする飲み物の「温度」です。
IARCは、65℃を超える「非常に熱い飲み物」を、食道がんとの関連からGroup2A(ヒトに対しておそらく発がん性がある)に分類しています[4]。
熱々の状態で急いで飲むのは止め、少し冷ましてから楽しむのがおすすめです。

むしろ健康に良い?2型糖尿病や肝がんリスク低下との関連

コーヒーには、カフェインのほか、クロロゲン酸などのポリフェノールをはじめ、さまざまな成分が含まれています。
近年の研究では、習慣的なコーヒー摂取と2型糖尿病などのリスク低下との関連が数多く報告されています[5]。
日本人を対象にした研究でも、コーヒーを多く飲む人ほど肝がんのリスクが低い傾向が報告されています[6]。
ただし、こうした研究の多くは観察研究です。コーヒーを飲む習慣と病気のリスク低下との『関連』を示したものです。
コーヒーを飲めば2型糖尿病予防になる、と断定できるわけではないので注意してくださいね。

カフェインの摂取量目安と「時間帯」への配慮

コーヒーで注意したい成分のひとつがカフェインです。
欧州食品安全機関(EFSA)は、健康な成人では、すべての食品・飲料から摂るカフェインの合計が1日400mgまでであれば、安全性上の懸念を生じないとしています[7]。
ただし、カフェインへの感受性には個人差があります。
また、100mg程度でも就寝前に摂ることで、寝つきや睡眠時間に影響する人がいるとされています。
「何杯まで」と考えるよりも、コーヒーの種類や量、ほかの食品・飲料から摂るカフェインも含めて考えることが大切です。

デカフェでも健康効果はある?通常コーヒーとの違いと選び方

「コーヒーは好きだけれど、カフェインは控えたい」という方には、デカフェという選択肢があります。
日本では、カフェインを90%以上除去したコーヒーを「カフェインレスコーヒー」、「デカフェネイテッドコーヒー」などと表示できます[8]。
米国FDAによると、デカフェコーヒーにも約240mLあたり通常2~15mg程度のカフェインが含まれています[9]。
デカフェ=カフェインゼロではなく、カフェインが微量含まれている場合があるということは覚えておいてくださいね。
一方カフェインには、眠気を抑えて覚醒度や注意力を高めたり、運動時のパフォーマンスを一時的に高めたりする作用が知られています。
そのため、こうした「カフェインそのものによるメリット」は、カフェイン量の少ないデカフェでは通常のコーヒーほど期待できません。
では、カフェインを減らすとコーヒーのメリットもなくなってしまうのでしょうか?
実は、コーヒーに含まれる成分はカフェインだけではありません。
2型糖尿病について調べたメタ解析では、カフェイン入りだけでなく、デカフェコーヒーでも、摂取量が多い人ほど発症リスクが低い傾向が報告されています[10]。
デカフェにもクロロゲン酸などは含まれており、その量は豆の種類や焙煎、加工方法などによって異なります[11]。
つまり、コーヒーと健康との関連は、カフェインだけでは説明できない可能性があります。
一方、カフェインによる覚醒作用や眠気を抑える作用は、カフェイン量の少ないデカフェでは通常のコーヒーほど期待できません。
逆にいえば、カフェインで眠りにくくなる方や、夕方以降にもコーヒーを楽しみたい方には、デカフェが選択肢となるでしょう。

まとめ:自分の体質と生活リズムに合わせて「ほどほどに」楽しもう

コーヒーには、健康とのよい関連を示す研究が数多くあります。
一方で、体質や飲む時間によっては、カフェインによる動悸や眠りにくさなどを感じることもあります。
「健康にいいからたくさん飲む」のではなく、自分の体質や生活リズムに合わせて楽しむことが大切です。
カフェインを摂りたいときは「通常のコーヒー」、夕方以降やカフェインを控えたいときには「デカフェ」と使い分けるのもひとつの方法。
10月1日の国際コーヒーデーには、いつもの一杯を少しゆっくり味わってみてはいかがでしょうか。

参考文献
[1]一般社団法人全日本コーヒー協会. 国際コーヒーデー [Internet]. 東京: 一般社団法人全日本コーヒー協会; [cited 2026 Sep 28]. Available from: https://coffee.ajca.or.jp/about/international-coffee-day/
[2]農林水産省. 食品に含まれているアクリルアミド [Internet]. 東京: 農林水産省; [cited 2026 Sep 28]. Available from: https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/acryl_amide/a_kiso/syokuhin.html
[3]California Office of Environmental Health Hazard Assessment. Notice of adoption – Section 25704 exposures to listed chemicals in coffee posing no significant risk [Internet]. Sacramento (CA): Office of Environmental Health Hazard Assessment; 2019 Jun 7 [cited 2026 Sep 28]. Available from: https://oehha.ca.gov/proposition-65/crnr/notice-adoption-section-25704-exposures-listed-chemicals-coffee-posing-no-significant-risk
[4]IARC Working Group on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans. Drinking coffee, mate, and very hot beverages [Internet]. Lyon (FR): International Agency for Research on Cancer; 2018 [cited 2026 Sep 28]. (IARC Monographs on the Evaluation of Carcinogenic Risks to Humans; vol. 116). Available from: https://publications.iarc.who.int/566
[5]Ungvari Z, Kunutsor SK. Coffee consumption and cardiometabolic health: a comprehensive review of the evidence. Geroscience. 2024 Dec;46(6):6473-6510. doi:10.1007/s11357-024-01262-5.
[6]Tamura T, Hishida A, Wakai K. Coffee consumption and liver cancer risk in Japan: a meta-analysis of six prospective cohort studies. Nagoya J Med Sci. 2019 Feb;81(1):143-150. doi:10.18999/nagjms.81.1.143.
[7]EFSA Panel on Dietetic Products, Nutrition and Allergies (NDA). Scientific opinion on the safety of caffeine. EFSA J. 2015;13(5):4102. doi:10.2903/j.efsa.2015.4102.
[8]全日本コーヒー公正取引協議会. レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約・施行規則 [Internet]. 東京: 全日本コーヒー公正取引協議会; 2024 Oct 1 [cited 2026 Sep 28]. Available from: https://www.ajcft.org/agreement/20241001_agreement.pdf
[9]U.S. Food and Drug Administration. Spilling the beans: how much caffeine is too much? [Internet]. Silver Spring (MD): U.S. Food and Drug Administration; 2024 Aug 28 [cited 2026 Sep 28]. Available from: https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/spilling-beans-how-much-caffeine-too-much
[10]Carlström M, Larsson SC. Coffee consumption and reduced risk of developing type 2 diabetes: a systematic review with meta-analysis. Nutr Rev. 2018 Jun 1;76(6):395-417. doi:10.1093/nutrit/nuy014.
[11]Mills CE, Oruna-Concha MJ, Mottram DS, Gibson GR, Spencer JPE. The effect of processing on chlorogenic acid content of commercially available coffee. Food Chem. 2013 Dec 15;141(4):3335-3340. doi:10.1016/j.foodchem.2013.06.014.

[執筆者]


船木 彩夏
化粧品メーカー研究員

[出演情報]
2023.12.2 TBSラジオ:井上貴博 土曜日の「あ」

<資格>
・サプリメントアドバイザー
・健康管理士上級指導員
・健康管理能力検定1級
・日本化粧品検定 特級コスメコンシェルジュ

[監修]キレイ研究室編集部

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