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海溝型地震はどこで起きる?発生確率の高い場所やリスク、過去の事例を紹介

  • 2026.11.9

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日本は、複数のプレートがせめぎ合う世界有数の地震大国です。

なかでも特に大きな被害をもたらすのが「海溝型地震」で、マグニチュード(M)8~9クラスの超巨大地震を引き起こすこともあります。

この記事では、地震本部の長期評価をもとに、海溝型地震が起こる可能性のあるエリアや発生確率のランク、過去の事例などを解説します。

海溝型地震とは

海溝型地震とは、海のプレートと陸のプレートの境界に位置する海溝沿いで発生する地震のことです。

出典:気象庁「千島海溝地震、日本海溝地震とは」

日本周辺では、ユーラシアプレートや北米プレートといった陸のプレートに対し、東側や南側から太平洋プレートやフィリピン海プレートなどの海のプレートが沈み込んでいます。

海溝型地震は、主に次の2つのタイプに分類されます。

・プレート間地震

沈み込む海のプレートとの摩擦で陸のプレートが引きずり込まれ、限界に達して跳ね上がることで発生します。

・スラブ内地震

プレートの沈み込みに伴う曲げや圧力によって、海のプレート内部が破壊されて発生します。

都心の真下などの浅い場所で活断層がずれて起こる「直下型地震」が局地的に激しい揺れを引き起こしやすいのに対し、海溝型地震は強い揺れに見舞われる範囲が広いという特徴があります。

ちなみに、日本海側(日本海東縁部)は構造上、陸のプレート同士が押し合う境界にあたりますが、海域の断層が動くことや、巨大地震を伴って広範囲に甚大な被害をもたらす点が太平洋側の海溝型地震と共通しているため、地震本部の長期評価では海溝型と同様の主要な海域の地震として位置づけ、評価されています。

海溝型地震は津波のリスクがある

海溝型地震の特徴は、大きな被害をもたらす津波を伴うことがあるという点です。

震源が海域に位置するため、地震の発生に伴って海底が変動し、膨大な海水が大きなエネルギーとなって沿岸部に押し寄せます。

そのため、海溝型地震では揺れだけでなく、津波による浸水や破壊のリスクを想定しておく必要があります。

揺れが収まった後、津波は短時間で沿岸部や川を遡上して押し寄せるため、少しでも早く高台や避難タワーなどの安全な場所に逃げることが重要です。

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海溝型地震が想定されているエリア

地震本部では、日本周辺の主要な海溝型地震について、今後30年以内の発生確率をもとに以下のようにランク分けして評価しています。

出典:地震本部「主な海溝型地震の評価結果」

ランク 30年以内の発生確率 主な想定エリアと規模
Ⅲランク 26%以上 ・根室沖から色丹島沖及び択捉島沖:M8程度
・青森県東方沖から岩手県沖南部:M7〜7.9程度
・福島県沖から茨城県沖:M7.0〜7.5程度
・青森県東方沖から房総沖の海溝寄り:M8.6〜9程度
・宮城県沖:M7.0〜7.5程度
・相模トラフ(M7級):M6.7〜7.3程度
・南海トラフ:M8〜9程度
・日向灘:M7.0〜7.5程度
・与那国島周辺:M7.0〜7.5程度
Ⅱランク 3%~26%未満 ・十勝沖:M8程度
・秋田県沖から佐渡島北方沖:M7.5〜7.8程度
・相模トラフ(M8程度):M7.9〜8.6程度
・宮城県沖:M7.9程度
Ⅰランク 3%未満 ・北海道北西沖:M7.8程度
・青森県西方沖から北海道西方沖:M7.5〜7.8程度
・新潟県北部沖から山形県沖:M7.5〜7.7程度
・東北地方太平洋沖型:M9程度(東日本大震災の発生後)
Xランク 不明 ・南西諸島海溝周辺(過去のデータの少なさにより評価困難)

なお、確率が低いからといって地震がすぐに発生しないわけではありません。

ランクに関わらず、日本国内のどこでどのような海溝型地震が予想されているかを把握しておくことが重要です。

海溝型地震の過去の事例

18世紀以降で発生したM8以上の地震について、主な事例と特徴を以下の表にまとめています。

発生年 エリア 規模 特徴
1703年 元禄地震
(相模トラフ)
M7.9〜8.2 相模湾から房総半島にかけて甚大な被害をもたらした。
1707年 宝永地震
(南海トラフ)
M8.6 東海・東南海・南海の各エリアが連動して発生し、伊豆から九州までの太平洋沿岸に巨大津波が襲来した。
1793年 宮城県沖の地震
(日本海溝)
M8.0〜8.4 東北地方の沿岸部に津波が襲来し、家屋の損壊や流失などの被害が発生した。
1854年 安政東海地震・安政南海地震
(南海トラフ)
M8.4 わずか32時間の間に東海・南海の両エリアで超巨大地震が相次ぎ、西日本を中心に甚大な被害と大津波をもたらした。
1896年 明治三陸地震津波
(日本海溝)
M8.25 三陸沿岸に最大38m超の巨大津波が襲来し、甚大な人的被害を記録した。
1933年 昭和三陸地震津波
(日本海溝)
M8.1 三陸沿岸を中心に大きな津波被害をもたらした。
1952年 十勝沖地震
(千島海溝)
M8.2 北海道南部や東北北部を中心に、津波を伴う大きな被害を引き起こした。
1994年 北海道東方沖地震
(千島海溝)
M8.2 色丹島沖を震源として発生し、北海道東部を中心に建物被害や津波観測を記録した。
2003年 十勝沖地震
(千島海溝)
M8.0 釧路沖を震源とし、最大4mの津波が北海道から本州の太平洋沿岸に襲来した。
2011年 東北地方太平洋沖地震
(日本海溝)
M9.0 高さ10m超の巨大津波が内陸数kmまで浸水し、最大すべり量50m以上、余震域は南北約500kmに及んだ。

内閣府「災害史に学ぶ」、地震本部「超巨大地震(東北地方太平洋沖型)」を参考に筆者が表を作成

このように、日本ではM8を超える巨大な海溝型地震が繰り返し発生しており、そのたびに甚大な被害をもたらしてきました。

なお、上記の表ではM8以上の事例を紹介していますが、M8に満たなかったものの、甚大な被害をもたらした海溝型・海域の地震も存在します。

例えば、1923年の大正関東地震(関東大震災M7.9)や、1944年・1946年の昭和東南海・南海地震(M7.9)は、首都圏や西日本を中心に大きな被害と津波をもたらしました。

また、1993年の北海道南西沖地震(M7.8)は、日本海側で発生し、発生からわずか数分で奥尻島などに巨大津波が押し寄せました。

このように、日本では数多くの海溝型地震が発生しており、日本のどこであっても油断することなく、日頃からの備えと警戒が欠かせません。

海溝型地震への備え

海溝型地震は、広範囲にわたる激しい揺れや甚大な被害をもたらすため、日ごろからの備えが重要です。

被害を最小限に抑えるため、以下のポイントを中心に備えを進めましょう。

・津波避難の確認

津波浸水想定区域となっている沿岸部や低地では、ハザードマップなどで津波の到達時間を確認し、最寄りの高台や避難タワーなどの避難場所、安全な避難経路を家族で確認しておきましょう。

・家具の転倒防止と耐震化

激しい揺れに備え、寝室やリビングの家具の固定、ガラスの飛散防止対策を行い、自宅の耐震性を把握しておきましょう。

・ライフライン停止への備え

水道や電気などのインフラが長期間ストップすることを想定し、最低3日分(できれば1週間)の飲料水や非常食、携帯トイレなどを備蓄します。

・家族との連絡手段の事前確認

巨大地震発生時は通信制限や回線の混雑により、電話やメールがつながりにくい状態となります。災害用伝言ダイヤルの利用方法や、あらかじめ決めた集合場所など、家族間での安否確認方法を事前に話し合っておきましょう。

海溝型地震はいつ発生するか予測が難しいため、日ごろからこうした備えを一つずつ進めておくことが大切です。

万が一の際に自分や大切な人を守るためにも、まずは身近なところから防災対策を実践していきましょう。

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<執筆者プロフィル>
田頭孝志
気象防災アドバイザー(国土交通大臣委嘱)

田頭気象予報士事務所代表。愛媛の気象予報士・防災士。防災や気象関連の記事執筆をはじめ、テレビ番組の監修、防災教材開発などを行う。BS釣り番組でお天気コーナーを担当したほか、自治体、教育機関、企業向けに講演を多数、防災マニュアルの作成に参画。

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