1. トップ
  2. 中島歩だけじゃない! 2026年夏ドラマを彩ったメロ男子たち|横川良明の「沼の中心で愛をさけぶ」Vol.12

中島歩だけじゃない! 2026年夏ドラマを彩ったメロ男子たち|横川良明の「沼の中心で愛をさけぶ」Vol.12

  • 2026.9.30
Hearst Owned

様々な話題作・問題作で沸いた夏ドラマ。練り込まれた脚本・演出とともに、ドラマを彩ってくれたのが個性豊かなメロ男子たちです。

そこで今回は、7〜9月に放送・配信されたドラマから、特にメロかった男子をピックアップ。そのメロさの正体を語ります。

岡山天音 from 『さよならノワール』

この夏、ぶっちぎりにメロかった男といえば、岡山天音を置いて他にいません。『さよならノワール』で演じた鴨居卓海は、これまでの温和で朴訥とした岡山天音像を一新する昏い色気に溢れていました。

20年前の誘拐事件で妹を亡くし、罪を犯す人間の心理が知りたくて刑事になった鴨居。よく聴いているのは、セックス・ピストルズにピンク・フロイド。人当たりが良さそうで、どこか冷めた目。この世に絶望しきったような、乾いた笑い方。皮肉混じりのニヒルな喋り方。

世の中にはキラキラした陽性のオーラに惹かれる人と、覗くと吸い込まれるブラックホールみたいな闇に心奪われる人がいますが、後者の種族は今すぐ『さよならノワール』の岡山天音を見てほしい。なんとか普通の人に擬態して日常生活は送れているものの、心の一部はとっくの昔に壊れている人の持つ不穏な気配を岡山天音が余すことなく見せつけています。

シンプルにビジュもいい。僕は岡山天音は前髪があるほうが圧倒的に好き!! あと、スーツがとってもお似合い!!! ベスト姿もインテリジェンスで、男臭い体育会系の警察組織の中で光る文化系男子の佇まいに、運動場よりも図書館にいる男子のほうが好きな僕の血が騒ぎまくりでした。

肝心のお芝居も、さすがの一言。長年の後悔と罪悪感から解放される9話クライマックスの白石絵梨子(北香那)とのやりとりは、この夏クールでもベストの名シーン。泣きそうになるのを誤魔化すようにやるせなく笑って、でもこらえきれず瞼を長い指で覆う仕草は、その一つひとつが名作映画のような美しさ。しばらく僕はこの瞬間の岡山天音を頭の中で延々とリピート再生する亡霊と化していました。

最終回のラスト、立ち去る白石を見送ったあとの眼差しも忘れられません。あのちょっと取り残されたような、寂しげな目線。何食ったらあんな目ができるんだ? 持ち味のタレ目から醸し出される哀愁が、鴨居卓海という人物像についほっておけなくなるような翳りを付与していました。

たぶん僕が思春期に本作を観ていたら、確実にこの岡山天音が性癖になっていた。恋愛ドラマでもなんでもないこの役がなぜこんなにもメロいのか。罪深き岡山天音にこの夏のメロ男子チャンピオンの称号を贈りたいです。

齋藤璃佑 from 『キスは捜査のあとで』

この夏も百花繚乱だったBLドラマ。今や次世代スター俳優の宝庫となっている同ジャンルですが、今期大きく羽ばたいたのは何と言っても齋藤璃佑です。

身長181cmの恵まれた体格と、令和男子には珍しい男み溢れる健康的なオーラ。岡山天音には図書館でドストエフスキーとか読んでいてほしいですが、齋藤璃佑には絶対に運動場にいてほしい。休み時間は男子とプロレスごっこに明け暮れ、3時間目の授業で早弁をし、放課後はサッカー部あたりで青春をエンジョイしてほしい。そして、水道で顔を洗っている齋藤璃佑にタオルを渡す役をさせてほしい。齋藤璃佑には、みんなが好きだったクラスの男子的な輝きがあります。

第34回ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでグランプリを獲得。その後、『爆上戦隊ブンブンジャー』で知名度を上げ、ブレイク俳優の道を歩みはじめたタイミングでのBLドラマ主演は、まさに昨今の若手俳優の黄金ルート。演じた塩野秀のキャラクターの良さも相まって、一気にファンダムが広がりました。

この塩野というのが頭脳明晰な若手エリート警察官でして、自分とは真逆の人情派ノンキャリ刑事・多古井平助(渡部秀)に冷たく当たる毒舌家なのですが、実はこれらの意地悪はすべて多古井のことが好きすぎるがゆえの裏返しという超こじらせ男子なわけです。こんなもん、BLオタクみんな好きなキャラ。

多古井が女性と連絡先を交換しようものなら、アグレッシブすぎる壁ドンで間に入って阻止。塩野からの好意に気づかないふりをして誤魔化そうとすれば、今度は長すぎる足で足ドンをぶちかまして威嚇。気づけば、目つきの悪い塩野のジト目が可愛くて仕方ない体になっていました。

この『キスあと』、W主演のもう一人が渡部秀というキャリア15年超の中堅ということもあり、芝居の見応えがあったのも良かった。6話ラストの抱擁シーンの熱演には目が釘付けでしたし、二人の交わすアドリブ満載のやりとりは見ているだけで口角が決壊します。

個人的にいちばんメロかったのは、8話の「キス、うまいんでしょ、俺」。このときの齋藤璃佑の勝ち誇った顔があまりにも理想的な攻め顔すぎて、ここまでのキスシーンを急いで観返した2026年夏の終わりでした。

武田創世 from 『ダウンタイム』

いよいよ夏の終わりを感じる9月の暮れ。この夏のメロ男子に駆け込みランクインしてきたのが、『ダウンタイム』の武田創世です。主人公・沼田文の弟である尊を演じ、感度の高いNetflixユーザーにその名を知らしめました。

Netflix

この武田創世、俳優としての出演作は『ダウンタイム』が2本目。俳優デビューは映画『国宝』ということで、わずか2本の出演作が『国宝』と『ダウンタイム』ってラインナップが強すぎて全俳優が嫉妬するレベル。

そして、その強力すぎるフィルモグラフィーに見劣りしない演技力が、武田創世のメロポイント。姉思い、家族思いの弟を、実に自然な温度感で体現。甘えん坊でも、ぶっきらぼうでもない。口の悪い姉に理解がありつつ、時には反抗的な態度にも出る。その佇まいがあまりにもリアルすぎて、「こんな弟をどこかで見たことがある気がする……」という全視聴者の弟の記憶の集合体みたいだった。

武田創世の俳優としての武器は、光のない目です。目が語りすぎない分、逆に観ている人それぞれが感情を読み取りたくなる。厚めの唇も、少年らしい反骨心を感じさせて、実に魅力的。俳優にとって重要な「物語を感じさせる」力があって、今後しばらく青春映画に欠かせない逸材になりそう。

しかも驚くことに、超特急、M!LKらを擁するEBiDANが放つ次世代グループ・Lienelの一員という顔も持っていた。

早速検索したら、EBiDANらしくばっちりトンチキソングを歌ってた。『ダウンタイム』との温度差が激しすぎて僕が皿なら確実に割れてる。

一方、こちらの動画では冒頭から切なげなアカペラを披露し、実力の高さを証明。俳優とアイドル、二刀流の活躍が期待されます。

YouTube企画では、ティーンらしくおふざけ大好きなところも見せており、その等身大感にメロポイントは高まるばかり。今後どんなふうに成長していくのか楽しみな17歳です。

中沢元紀 from 『幸せになりたいマサムネ君』

『あんぱん』や『時すでにおスシ!?』の好演で、すっかり理想の弟/理想の息子というイメージが定着した中沢元紀。役の印象が強く残るのは俳優としては名誉ですが、一方でどうしても同じような役が続き、既視感が出るという側面も。だからこそ、俳優は従来のイメージを打ち破るような役に挑む必要があるのです。

『幸せになりたいマサムネ君』で演じたマサムネくんは、中沢元紀にとってまさに新境地となる役どころ。10年付き合った彼女がいるのに、相席居酒屋で知り合った女の子と浮気をするマサムネくんは、まさに女子たちを敵にまわすクズ男子でした。

でも、なぜでしょう。クズだとわかっているのに、いや、むしろクズであればあるほどメロがってしまうこの気持ちは。彼女のモモカ(秋田汐梨)には優しいのに、浮気相手の〇〇子(齊藤なぎさ)に対するマサムネくんの態度は極めて不誠実。話は全然聞いていないし、家を出るときも見送りすらしない。あからさまなくらい雑に扱ってくる。なのに、その雑に扱ってる感じが、たまらなく色っぽい。

2話で〇〇子と一緒に牛丼を食べた後、キスした〇〇子が「牛丼の味した」と言うんですけど、それに対しマサムネくんが小声で「うるさ」と笑うんですね。この「うるさ」が本当にいい!! 絶対に彼女には言わない、明らかに下に見ている女の子にだけ言う軽口。でもその取り繕ってなさが、彼女にも見せない本当の姿のような気がして、特別感を覚えてしまう。クズにハマる女の人の気持ちが今まで全然わからなかったのですが、マサムネくんを見てクズの良さがわかりました。中沢元紀の顔をしたクズに手玉にとられたい。

中沢元紀はあのほんわかとした笑顔のおかげで人畜無害な優等生イメージがあるけど、実は結構冷たい目をしているんですよね。黒目がちな男の子特有の無機質な感じが、マサムネくんのクズみを際立たせていた。

そして、身長が183cmもあるので、ラブシーンが似合う。152cmの齊藤なぎさに合わせて、折りたたむように身を屈めてキスをするところも、〇〇子の体をひょいと持ち上げてテーブルの上に載せるところも、悔しいくらい男らしくて絵になる。個人的には、ジョッキを取っ手ではなく、縁の部分を掴むようにして持つ指の長さに見とれてしまいました。

中沢元紀はこの手の役もイケるとわかったのが、『幸せになりたいマサムネ君』の最大の収穫。ぜひこれを機に“国民の息子”から“国民の恋人”へステップアップしてください!

中島歩 from 『Tシャツが乾くまで』

放送のたびにタイムラインの話題をジャックした『Tシャツが乾くまで』。その反響の理由は、生方美久の脚本はもちろんのこと、GP帯連ドラで初の二番手を務めた中島歩の新鮮さも大きかったと思います。

©TBS

中島が演じたのは、突然のバス事故で妻を亡くした園田樹生。正直に言います。個人的には、この樹生というキャラクター、そんなに好きではないのです。言動の一つひとつに相手をちょっと小馬鹿にしているようなところがにじみ出ていて、そのノンデリ感にイラっとしていたのですが、逆に言うとそれらはすべて中島歩のマジックにかかっていた証拠でもある。中島歩は、彼が演じるだけで、そのキャラクターに一筋縄ではいかない強烈なクセをもたらす唯一無二の俳優なのです。

昭和レトロどころか、大正ロマンくらいまで時代を遡りたくなるクラシカルな顔立ち。一度聞いたら忘れられない粘り気のある低音ボイス。2話のラストで、夫と同じ煙草を吸っている樹生の胸に瀬尾咲子(蒼井優)が身を預けるシーンは、メロドラマ的な危うさと背徳感があって、あれは大人の色気溢れる中島歩だから成立したシーンでしょう。

そして、中島歩については本人の素の魅力もプラスになっていると言わざるを得ません。特に『T乾』はメイン級の役どころということもあり、これまで以上に番宣で大活躍。そのすっとぼけたキャラクターが注目を集めることに。

『ニノなのに』では、妙に甲高い声のVTR振りで笑いを集め、『ラヴィット!』ではオムライスづくりに挑戦。普段料理をしないという中島は、用意された油を見て「これが油か〜」とまるで生まれて初めて油を見たようなテンションでのたまい、笑いをかっさらいました。

メロい男の条件の一つに「おもしれー男」というのがありますが、今やこの「おもしれー男」枠は中島歩の独壇場です。単純なカッコよさはいずれ飽きが来ますが、面白さは噛めば噛むほど味がするので、なかなか抜け出せないのがまたギルティ。これからも「俺たちの中島歩」として広く愛されること間違いありません。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ