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独占入手!~脚本家が作成したメモ~第三弾・佐久間健司編/これさえ読めば“沼る”ドラマ「エラー」の登場人物が理解できる!!

  • 2026.5.5
©️ABCテレビ

畑芽育&志田未来がW主演を務めるドラマ『エラー』(ABCテレビ・テレビ朝日系列 毎週日曜よる10時15分放送)は、とある女性を死なせてしまったユメ(畑芽育)と、その死により生きる意欲を失ってしまった女性の一人娘・未央(志田未来)が、真実を知らないまま友情を育んでいく物語である。

【エラー】まだ間に合う!ここまでのあらすじ振り返り

本作の脚本を手がけたのは“シナリオ界の芥川賞“ともいわれる城戸賞で佳作を受賞した弥重早希子氏。そんな弥重氏自身も一筋縄ではいかない物語と語る『エラー』は、1話ごとに登場人物たちの過去や裏の顔、嘘などが明らかになり、放送のたびに、「先が読めない」「”取り返しのつかなさ”を描くのが上手すぎる」と大きな反響が…

©️ABCテレビ

そこで今回、視聴者の反響を受けて、ABCマガジンでは弥重氏がドラマ『エラー』の脚本を書くにあたり作成した各登場人物のバックストーリーを独占入手。ユメ、未央、佐久間(藤井流星)・美郷(榊原郁恵)というキャラクターがどのようにして生まれたのかが書かれており、ドラマ本編の謎を解くきっかけとなりそうだ。TVerでは、第1話から5月3日(日)に放送された第4話まで無料配信中。これで、ドラマの真相により近づけること間違いなし。第三弾は、藤井流星演じる佐久間健司編をお届けする。

©️ABCテレビ

ドラマ“エラー”バックストーリー 佐久間健司のこと】

「2周回って結局何にも考えない人なんだよね」

高校時代に付き合っていた初恋の人・香織さんに振られる時に言われた言葉を、佐久間は、時々思い出す。その度、胸が痛むが、同時に香織さんは正しかった、美人で素敵な人だった、そんな香織さんに恋をした自分には見る目があると思うと、ついさっき感じた痛みを忘れて、少し嬉しくなる。

「ほら、やっぱり。2周回って結局何にも考えてないんだよね」

そんな香織さんの声が聞こえる気がする。

妻の初美とは、競馬場で出会った。初美は、一人で来ている筋金入りの競馬好きで、喫煙所で出会った佐久間は、恋に落ちた。当時、佐久間には彼女がいて、何を隠そう、その彼女と競馬場に来ていたのだが、初美とその場で連絡先を交換した。あとで聞いたところ、初美は佐久間が彼女と来ていたことに気づいていたらしいが、「女的に、悪い気はせんかった」と言っていた。その見た目や言動に反して真面目で、看護師の仕事をしている。

結婚を機に、初美は競馬も煙草もやめた。「あったかい家にしたい」と言っていた。

佐久間の女癖の悪さを知る初美は、「ヤバいことしたら即離婚。約束な」と言った。佐久間もそれに応えた。初美となら、自分も真っ当な人間になれるような気がしていたのだ。

しかし、初美の妊娠をきっかけに、悪い癖が出ることになる。父親になることが怖かったのかもしれない。佐久間は両親との関係が希薄であった。父親は陶芸家で気難しかった。母親はそんな父親の顔色を伺うばかりで、あまり愛情を感じたことがない。二つ違いの姉は、父親譲りの芸術センスを幼い頃から開花させ、姉は父から大いに可愛がれていたが、突出した才能はなく、いわゆる器用貧乏な佐久間には関心を示さなかった。大学進学を機に家を出た後、ほとんど実家には帰っていない。そんな家庭で育ったから、父親になるのが怖かった……それが言い訳であることぐらい分かっていたが、初美のお腹がどんどん大きくなっていくのを見ていると、逃げ出したくなった。マッチングアプリを再ダウンロードした。

しかし、音々が生まれてみると、佐久間の父性は急に芽生えた。目の前の柔らかくて小さな身体に感じたことのない愛情を感じた。この子にはなんでもしてあげたいと思いながらおむつを替えていた時、妊娠中の浮気に勘づいていた初美から「離婚」を突きつけられた。

もうしない。もう二度と……だって、こんなに音々が愛おしいのだ。結局、音々のために初美は腹を括ったが、「2回目はないから」と釘を刺す。

「あんたはみんなのこと好きみたいな顔して、結局誰のことも好きちゃうねん」

初美がそう言って部屋を出ていった時、香織さんの言葉が蘇った。

「2周回って結局何にも考えない人なんだよね」

初美に離婚を突きつけられてからは心を入れ替えたつもりで真面目にしていたが、今から1年ほど前にユメが『カイリキ引っ越しセンター』に入社してきた。

ユメは、ミスも多くそそっかしい。使えない新人、と怒られてるのを見ていると、力になりたいと思った。もちろん、単純に顔も可愛いとは思っていた。だけどそれ以上に、佐久間は、怒られている人、不器用な人を見ていると放っておけない。大学卒業後に新卒で入った電機メーカーで営業の仕事をしていた時もそうだった。同期たち全員から「仕事できない」と嫌われていた善田くんの味方をしてあげたいと思ってしまった。だけど、善田くんの味方をすることで、同期から自分が「空気読めない」と言われることも避けたかった。煮え切らない態度をとっているうちに、善田くんは仕事を辞めて九州の実家に帰っていった。

「あんたはみんなのこと好きみたいな顔して、結局誰のことも好きちゃうねん」

初美の言ったことは正しいんだと思う。

それでも、ユメが歓迎会の席で、熱そうに唐揚げをハフハフしながら、米本の話に相槌を打っている顔を見て、あ、好きだと思った。店を出る時、なぜかフラつきながら靴を履いているユメを見て「足、痺れましたよね」とそれっぽいことを言ってみた。照れたように笑ったユメは、やっぱり可愛い。駅まで並んで歩いていると「彼女とかいますか?」とユメが聞いてきた。米本さんあたりから既婚者だと当然聞いているかと思ったが、ユメが知らないことを知った佐久間は「いや、今は特に」と答えていた。

弟の太郎と二人暮らしの家にも時々、遊びに行った。詳しいことは聞いていないが、母親と折り合いが悪いらしく、佐久間は自分の家庭環境と似たものを感じた。太郎はのんびりした子だが、時折見せる、妙に冷めた顔を見ると、子供の頃の自分を重ね妙に愛おしくなった。

大丈夫……。音々がリコーダーを吹く姿は世界一可愛い。いや、何がどう、大丈夫なんだろう……。初美がテレビを見ている後ろ姿が好き。大丈夫……。ユメが照れながら誕生日プレゼントをくれて嬉しい。いや、何がどう、大丈夫なんだろう……。

そんな日々の果てに、佐久間はビルの屋上にいた。震える声で「救急車」とユメが呟く。

咄嗟に自分もスマホを開くと、音々の写真と「やっぱり豆乳にして」と初美からのメール。

初美も音々もユメも、全部失いたくない……。佐久間はそう思った。

ユメに事情を聞けば、事故だと言う。何が悪いって鳩が悪いのだ。

ユメが遺書を持ってきてしまったことに気づいたのは、車の中でのことだ。

なんであの女の人は死にたかったんだろうか。どうして世の中には傷ついている人がたくさんいるんだろうか。善田くんをどうすれば助けられたんだろうか。なぜ、好きだけで溢れた世の中にならないんだろうか。良い年して何言ってるの? 自分は、好きと言うことで世の中の人を傷つけているのだろうか。分からない、分からない、分からない……。

「遺書は、捨てるしかない。大丈夫だから」動揺するユメに、佐久間はそう繰り返す。

「2周回って結局何にも考えない人なんだよね」「結局誰のことも好きとちゃうねん」

香織さんと初美の言葉が脳裏によぎるのを遮るように、佐久間は帰りに豆乳を買うことを忘れないようにしようと思った。

©️ABCテレビ

ドラマ『エラー』は、ABCテレビ・テレビ朝日系列で毎週日曜夜10時15分放送。放送終了後、TVerで見逃し配信。

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