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独占入手!~脚本家が作成したメモ~第二弾・大迫未央編/これさえ読めば“沼る”ドラマ「エラー」の登場人物が理解できる!!

  • 2026.5.3
©️ABCテレビ

畑芽育&志田未来がW主演を務めるドラマ『エラー』(ABCテレビ・テレビ朝日系列 毎週日曜よる10時15分放送)は、とある女性を死なせてしまったユメ(畑芽育)と、その死により生きる意欲を失ってしまった女性の一人娘・未央(志田未来)が、真実を知らないまま友情を育んでいく物語である。

【エラー】まだ間に合う!ここまでのあらすじ振り返り

本作の脚本を手がけたのは“シナリオ界の芥川賞“ともいわれる城戸賞で佳作を受賞した弥重早希子氏。そんな弥重氏自身も一筋縄ではいかない物語と語る『エラー』は、1話ごとに登場人物たちの過去や裏の顔、嘘などが明らかになり、放送のたびに、「先が読めない」「”取り返しのつかなさ”を描くのが上手すぎる」と大きな反響が…

©️ABCテレビ

そこで今回、視聴者の反響を受けて、ABCマガジンでは弥重氏がドラマ『エラー』の脚本を書くにあたり作成した各登場人物のバックストーリーを独占入手。ユメ、未央、佐久間(藤井流星)・美郷(榊原郁恵)というキャラクターがどのようにして生まれたのかが書かれており、ドラマ本編の謎を解くきっかけとなりそうだ。TVerでは、第1話から4月26日(日)に放送された第3話まで無料配信中。これで、ドラマの真相により近づけること間違いなし。第二弾は、志田未来演じる大迫未央編をお届けする。

©️ABCテレビ

ドラマ“エラー”バックストーリー 大迫未央のこと】

なんでここにいるんだっけ。

馬田慎吾が豪快にメガハイボールを煽る横顔を見ながら未央は思った。

「だからさ、元々は馬田水産って、ふつーの会社だったわけ」

もう何度聞いたか分からない、馬田家ヒストリーを聞きながら、今だって別に普通の会社だろうが、という言葉を未央は生ビールで流し込む。この店絶対、ビールサーバーの洗浄やってないわ、ってさっき乾杯の時にも思ったことをまた思う。

ちがう、なんでここにいるんだっけ。

その疑問は、イコール、なんでお母さんとご飯行く約束を断ったんだっけ、ってことになる。

誰も手をつけない鶏の唐揚げに箸をぶっさす。

全部、バイオリズムのせい。昼休みにはそう結論づけたはずだった。イライラしたり、落ち込んだり。そんな気分の時に、お母さんとのご飯は荷が重すぎる。そう思ったから、お母さんとのご飯を今日の朝、断った。

美容室を閉めるとお母さんが言い出した時、白内障の手術をして帰り道に帰れなくなったという話を聞いた時、大丈夫かなという心配と同じくらい、「介護とか必要になるのかな」と思ってしまったことは紛れもない事実だった。未央はもちろんお母さんのことが好きだったし、世間的に見ても仲は良い方だったと思う。それでも、いや、だからこそ、お母さんが弱っていくところを見たくない。もし、今日のご飯で「実はさ……」なんて切り出されたら、ちゃんと優しくできるのだろうか。そう思った一方で、お母さんが実際何に悩んでいるのか、その内容については皆目検討もつかないのだが、もし、お母さんから生々しい悩みを打ち明けられたら……。そう思うと億劫になった。

「久しぶりの飲みニケーション、午後早めに切り上げてパーっとどう?」と馬田が言い出したのは帰り際のことで、塩野は「俺そういうの興味ないんで」と断っていたが、未央は「あぁ……」と言ってるうちに、数に入れられてしまっていた。ちょうど良い、と思ってしまった。仕事を理由にお母さんと会うのを断ったことにしよう。そう思うとふっと気が軽くなったが、未央は同時に思った。

「どうして自分は、嫌いな奴に気を遣うばっかりで、本当に好きな人のことを大切にできないんだろう」

もともと、馬田水産という名前だったところを、馬田慎吾が子供の頃、「ウマイカ〜」と笑った顔を見てピンと来た当時の専務だった馬田の父親が、「うまイカ水産株式会社」への改名を提案、社長の座をめぐり、馬田一族は色々あったらしいが、その結果、馬田の父親が社長となり、「うまイカ水産株式会社」として新たなスタートを切った。ただのイカの卸業務だけはなくオリジナル商品の開発などに取り組んだという何度も聞かされた馬田の十八番話を適当に受け流し、未央はトイレに立つ。

なんでここにいるんだっけ。未央は再びそう思う。

今朝、お母さんに断りのラインを入れ、「ごめんね」と送ってから、お母さんからの返事はない。今、お母さんは一人でご飯を食べてるんだろうか。どんな気持ちなんだろうか。

なんでここにいるんだっけ。

面白い本を読むのは疲れる。感動する映画を見るのも気合いがいる。その代わり、どうでもいいネット記事を見て、全く興味のないショート動画をただ眺めて時間を潰す。

お母さんと話をするより、全く興味のない「うまイカ水産」ヒストリーを聞くことを自分はどういうわけか選んでいる。楽しむことを放棄して、ただ流されることを選んでいる。

いつから自分はそんな風に生きるようになったんだろうか。

「ごめんね、大迫ちゃん」

会計を終え解散となった時、馬田が未央を呼び止めた。

「今日、なんか用事あったんじゃない?」「え?」「いや、なんかずーっとぼんやりしてたから。俺さ、いっつもこんなんでさ、大迫ちゃんに嫌な思いさせてるよな。わかってるんだけどさ……いや、わかってんだったらやるなって話なんだけどさ……」

馬田はそう言って、バツ悪そうに笑った。そんな馬田の顔を未央は初めて見た。

なんで人は時々そうやって、違う一面を見せるんだろう。ただ鬱陶しい上司でいてくれた方が楽だったのに。お母さんのこともそうなのだ。優しくて明るい母でいてほしいのに。どうして時々、人は、人間みたいな顔を見せるんだろう。

帰り道、誰かと話したくなった。だけど、突然電話をかけたり、メールを送れる友達が未央にはいない。恋人がいた時もあるが、そういう時にも未央は遠慮してしまう。言いたいことが言えない。荒波を立てたくない。自分が人間の顔をしているところを、誰かに見られるのが怖いのかもしれない。そういう女のことを「察して女子」と呼ぶらしく、その態度はあまり歓迎されないらしい。そんなこと言われても怖いものは怖い……そんなことを、雑多に打ち込み、AIに相談する。きっと「気持ちわかるよ」と返してくれるはず、と思った時、電話が鳴った。見たことのない番号。未央は電話に出る。

警察だと名乗ったその男の人が、何を言っているのか、よく分からない。

「お母様が、ビルの屋上から飛び降りて……お亡くなりになりました」

馬田の馬鹿笑いの声、最後に見せた人間の顔、そして最後に見た母の顔、「ごめんね」と打ったラインの文字が脳裏によぎる。その瞬間、嘘みたいに膝の力が抜けてその場にしゃがみこみそうになった。そんな自分が妙に滑稽に思えた。膝から崩れおちるって本当にあるんだ、ドラマの中だけだと思ってた。まだ話し続ける警察の声を聞きながら、未央はそんなことを思った。

©️ABCテレビ

ドラマ『エラー』は、ABCテレビ・テレビ朝日系列で毎週日曜夜10時15分放送。放送終了後、TVerで見逃し配信。

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