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ぎんなんでやりがちなNG5つ 加熱しても毒は消えない

  • 2026.9.22

秋の味覚のぎんなん(銀杏)は、一度にたくさん食べると、おう吐やけいれんなどの中毒を起こすことがあります。毒の成分は熱に強く、煮ても焼いても消えません。東京都と大津市が公表している事例を、年齢・食べた数・症状が出るまでの時間で整理し、「◯粒までなら安全」と言えない理由、子どもに食べさせるときの注意、症状が出たときの対応をまとめます。

秋になると、スーパーや八百屋さんに殻付きのぎんなん(銀杏)が並びます。茶碗蒸しに入れたり、炒って塩をふっておつまみにしたり。公園のイチョウの木の下で拾う人もいるかもしれません。
ぎんなんは、カロチンやビタミンCなどを含む栄養価の高い食材です。ただ、一度にたくさん食べると、おう吐やけいれんなどの中毒を起こすことがある食べ物でもあります。しかも、その毒の成分は熱に強く、煮ても焼いても消えません。
この記事でわかることは次のとおりです。
・東京都と大津市が公表している中毒の事例を、年齢・食べた数・症状が出るまでの時間で並べると何が見えるか
・「大人は◯粒まで」のような目安を、公的機関がどう書いているか
・子ども、食べ過ぎ、加熱、食べたあとの様子見。やりがちなNG5つと代わりにできること
・ぎんなんを拾うときの注意
根拠にしたのは、東京都保健医療局・食品安全委員会・大津市保健所・厚生労働省の公表資料です。

公的な事例を並べると 5歳以下で6〜7個の例も50個の例も

東京都保健医療局は、ぎんなんを食べて中毒を起こした例として、次の3つを紹介しています。
・1歳の男児:約7時間でおよそ50個食べ、3時間後に全身性けいれん
・2歳の女児:50〜60個食べ、7時間後におう吐、下痢、9時間後に全身性けいれん
・41歳の女性:60個食べ、4時間後におう吐、下痢、両腕のふるえ
さらに大津市保健所は、「6、7個でけいれんが出現した5歳以下の小児の例」があると書いています。

4つの例を並べてみると、同じ5歳以下の子どもでも、6〜7個でけいれんが出た例と、およそ50個・50〜60個を食べた例があることがわかります。食べた数だけを見て「このくらいなら大丈夫」と線を引くことはできない、ということです。
大津市保健所もこう書いています。「ギンナンでの中毒は、食べた人の潜在的なビタミンB6の欠乏状態によりなりやすさが異なるので、「何個までなら大丈夫」と一概には言えません。」
そして、大人にも例があります。東京都の例の41歳の女性は、60個を食べて4時間後から症状が出ています。子どもだけの話ではないということも、事例からわかります。

なぜ中毒になるの? ビタミンB6の働きをじゃまする成分

ぎんなんには、ビタミンB6とよく似た形の成分が含まれています。食品安全委員会の説明では、この成分(4'-O-メチルピリドキシン)は「ビタミンB6の作⽤を阻害して、中枢神経系の異常興奮を起こします」。東京都も、ビタミンB6の働きを阻害し、「数時間のうちにビタミンB6欠乏症となり、中毒になると考えられています」と書いています(東京都の資料では4'-メトキシピリドキシンと表記)。
出てくる症状は、東京都によるとおう吐、下痢、呼吸困難、けいれんなど。食品安全委員会と大津市も、おう吐やけいれんなどの中毒症状を挙げています。

国の食中毒統計にも、ぎんなんが原因とされた事例が載っています。厚生労働省の「食中毒発生事例」を2015〜2025年の11年間ぶん1件ずつ調べると、原因食品が「銀杏」だった事例は1件。2023年2月18日、愛知県一宮市の家庭で、患者は1人でした。
旬の秋ではなく2月の事例で、旬の秋以外にも事例があります。
ただし、国の食中毒統計に載るのは、医師からの届出などをもとに保健所が調査し、食中毒として扱った事例だけです。家で様子を見て受診しなかった例などは含まれません。統計の件数が少ないことは、「めったに起きない」「心配いらない」という意味ではありません。東京都や大津市が事例を挙げて注意を呼びかけているのは、そのためでもあります。

NG1|「大人は◯粒まで」などの目安をうのみにする

「ぎんなんは大人で◯粒、子どもで◯粒まで」という目安を、ネットやテレビで見かけることがあります。でも、今回確認した公的機関の資料には、「この数までなら安全」という数字は書かれていません。大津市保健所ははっきり「「何個までなら大丈夫」と一概には言えません」と書いています。
理由は、さきほどの事例のとおりです。中毒のなりやすさは、その人のビタミンB6が足りているかどうかで変わるとされていて、同じ5歳以下の子どもでも、6〜7個の例と、およそ50個・50〜60個の例がありました。

代わりに:何個までなら大丈夫とは一概に言えない。数は控えめに。
大津市保健所は「調理方法に関わらず食べる数は控えめにしましょう」と呼びかけています。「◯粒までならOK」と数を決めるのではなく、「たくさん食べない」「続けて食べない」と考えるほうが、公的資料の書き方に沿っています。

NG2|小さな子どもに大人と同じ感覚で食べさせる

大津市保健所は「ギンナン中毒は5歳以下の子どもで多く報告されています」としたうえで、「6、7個でけいれんが出現した5歳以下の小児の例があり、小さな子どもにいくつも食べさせるのは控えた方が無難です」と書いています。
東京都の例でも、1歳の男児と2歳の女児が全身性けいれんを起こしています。大人にとっては「つまみ食い程度」の数でも、小さな子どもにとっては少なくない、ということです。
炒ったぎんなんは、大人がお酒のおつまみにしているのを、子どもが横から手を伸ばして食べる……という場面もあるかもしれません。テーブルに置きっぱなしにしないのも、ひとつの方法です。

代わりに:5歳以下は特に注意。いくつも食べさせない。
とくに5歳以下の子どもには、大人と同じ感覚で取り分けないようにしましょう。

NG3|おつまみ感覚で一度に何十個も・毎日続けて食べる

殻を割って炒ったぎんなんは、ついつい手が止まらなくなる食べ物です。食品安全委員会は「旬で美味しいからといって大人でも一度に何十個も食べるのは禁物です」とし、「毎日同じものばかり食べ続けたりしないよう注意しましょう」とも書いています。
大津市保健所の言い方はもっと具体的で、「ナッツや枝豆と同じ感覚で多量に食べないようにしてください」。東京都の例では、41歳の女性が60個を食べて、4時間後からおう吐、下痢、両腕のふるえを起こしています。

代わりに:ナッツや枝豆と同じ感覚で多量に食べない。
お皿に出す分を決めておく、袋ごとテーブルに置かない、といった工夫で「気づいたら何十個」を防げます。

NG4|炒る・焼く・煮るなど、加熱すれば安心と思う

食中毒というと「よく火を通せば大丈夫」と考えがちですが、ぎんなんは違います。
食品安全委員会は、毒の成分について「熱に強く、煮る、焼くなど加熱調理しても分解されません」、大津市保健所も「ギンナンの有毒成分は熱に強く、加熱調理しても消えない」と書いています。
ぎんなんはもともと、殻の中身を炒ったりゆでたりして食べるもの。つまりふだんの食べ方のまま、中毒の成分も一緒に食べているということです。「しっかり炒ったから」「茶碗蒸しで蒸したから」で数を増やしてよいことにはなりません。

代わりに:毒の成分は熱に強い。調理法にかかわらず数を控える。
気にするのは火の通し方ではなく、食べる数です。

NG5|食べてすぐ平気なら安心・症状が出ても様子を見る

東京都が紹介している3つの例では、症状が出たのは食べてから3〜9時間後でした。
・1歳の男児:3時間後に全身性けいれん
・2歳の女児:7時間後におう吐、下痢、9時間後に全身性けいれん
・41歳の女性:4時間後におう吐、下痢、両腕のふるえ
2歳の女児の例では、7時間後におう吐・下痢があり、その2時間後にけいれんが起きています。
食べた直後に何ともないからといって、安心とは言い切れないということです。

代わりに:数時間後に出た例も。症状が出たら医療機関へ。
大津市保健所は「嘔吐やけいれん等、ギンナンを食べて症状が出た場合は、医療機関を受診しましょう」と呼びかけています。「平気そうだから」と様子を見続けないことが大切です。

よくある質問

大人なら何個まで食べても大丈夫ですか

公的機関の資料では、「何個までなら大丈夫」とは示されていません。大津市保健所は、中毒のなりやすさはビタミンB6の状態によって違うため「一概には言えません」としています。食品安全委員会は「大人でも一度に何十個も食べるのは禁物」、東京都は60個を食べて症状が出た41歳の女性の例を紹介しています。大人でも、一度にたくさん・毎日続けて食べるのは避けてください。

ぎんなんを拾うときに気をつけることは

イチョウの木の下に落ちている実は、外側がやわらかい果肉のような皮(外果皮)に包まれています。東京都保健医療局は、この実には特有の悪臭があり、「触れると外果皮に含まれるビロボールが原因でアレルギー性皮膚炎を起こすことがあります」と書いています。
拾うときや、外側の皮を取るときは、素手で触らないようにしましょう。食べるのは、この皮を取り除いたかたい殻の中にある淡い黄色の部分です。

茶碗蒸しなど料理に入っているぎんなんも、数に入れて考えるべきですか

毒の成分は、食品安全委員会によると「煮る、焼くなど加熱調理しても分解されません」。大津市保健所も「調理方法に関わらず食べる数は控えめにしましょう」と書いています。つまり、炒ったぎんなんでも、茶碗蒸しや炊き込みご飯に入ったぎんなんでも、中に含まれる成分は同じです。
おつまみの炒りぎんなんと料理に入ったぎんなんを同じ日に食べるときは、料理の分も合わせて「たくさん食べていないか」を考えるようにしましょう。小さな子どもに取り分けるときも同じです。

まとめ 数は控えめに、子どもは特に注意

ぎんなんでやりがちなNGと、代わりにできることをおさらいします。
・「大人は◯粒まで」などの目安をうのみにする → 何個までなら大丈夫とは一概に言えない。数は控えめに
・小さな子どもに大人と同じ感覚で食べさせる → 5歳以下は特に注意。いくつも食べさせない
・おつまみ感覚で一度に何十個も・毎日続けて食べる → ナッツや枝豆と同じ感覚で多量に食べない
・炒る・焼く・煮るなど、加熱すれば安心と思う → 毒の成分は熱に強い。調理法にかかわらず数を控える
・食べてすぐ平気なら安心・症状が出ても様子を見る → 数時間後に出た例も。症状が出たら医療機関へ
東京都と大津市の事例を並べると、5歳以下で6〜7個でけいれんが出た例もあれば、50〜60個を食べた例もあり、「何個までなら大丈夫」と一概には言えないことがわかります。症状が出たのは、東京都の例では食べてから3〜9時間後でした。
ぎんなんは、加熱しても毒の成分は消えない。だから数は控えめに、毎日続けて食べない。小さな子どもにはいくつも食べさせない。症状が出たら医療機関へ。
この4つを覚えておけば、秋の味覚を安心して楽しめます。

※本記事はぎんなん(銀杏)による中毒の予防に関する一般的な情報提供を目的としたもので、医療上の助言や個別の診断に代わるものではありません。
食べたあとに体調の異常を感じたときは、自己判断せず、医療機関を受診してください。
※事例は東京都保健医療局「食品衛生の窓」ギンナン(イチョウの実)と、大津市保健所「食の安全安心情報」令和5年9月27日号の記載をもとに、weboo編集部が年齢・食べた数・症状が出るまでの時間で整理したものです。個数や時間は各事例の値で、安全な量や発症時間の目安を示すものではありません。食中毒統計の件数は、厚生労働省「食中毒統計資料」の各年の食中毒発生事例(2015〜2025年の11年間)から、原因食品にぎんなん(銀杏)を含む事例をweboo編集部が数えたもので、保健所が食中毒として扱った事例に限られます。記事の情報は2026年9月22日時点のものです。

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