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秋のきのこでやりがちなNG5つ 縦に裂けても毒はある

  • 2026.9.22

毒きのこによる食中毒は2016〜2025年の10年間で213件。厚生労働省の月別データを合計すると、93.0%が9〜11月、10月だけで55.4%でした。種類別では約半分がツキヨタケで、90.1%は家庭で起きています。「縦に裂けるなら食べられる」などの言い伝え、もらったきのこ、食べたあとに具合が悪くなったときの対応まで、国と自治体の資料で整理します。

秋はきのこがおいしい季節。スーパーのきのこだけでなく、山や公園、庭先で見つけたきのこや、ご近所からいただいた「山のきのこ」が食卓に上る機会も増えます。
一方で、毒きのこによる食中毒も毎年この時期に起きています。厚生労働省の月別データを2016〜2025年の10年間ぶん足し合わせると、213件のうち198件(93.0%)が9〜11月、10月だけで118件(55.4%)でした。
この記事でわかることは次のとおりです。
・毒きのこの食中毒が何月に、どの種類で多いか(厚生労働省のデータを2016〜2025年の10年間で集計)
・事例を1件ずつ見ると、90.1%が家庭、約4件に1件がみそ汁や鍋などの汁物だったこと
・「縦に裂けるきのこは食べられる」など、やりがちなNG5つと代わりにできること
・もらったきのこ、直売所で買ったきのこで起きていること
・食べたあとに具合が悪くなったとき、公的機関が呼びかけていること
根拠にしたのは、厚生労働省・消費者庁・農林水産省・食品安全委員会・東京都・広島県などの公表資料です。

毒きのこの食中毒は10年で213件 93.0%が9〜11月

厚生労働省は、毒きのこによる食中毒の件数を月別に公表しています。2016〜2025年の10年間(平成28年〜令和7年)の数字を月ごとに合計すると、次のようになりました。
・6月 3件(患者6人)
・7月 2件(患者3人)
・8月 10件(患者18人)
・9月 41件(患者100人)
・10月 118件(患者316人)
・11月 39件(患者103人)
12月から5月までは、10年間で1件もありません。9〜11月の3か月で198件、全体の93.0%。患者数で見ても546人のうち95.1%がこの3か月です。なかでも10月は118件(55.4%)・患者316人(57.9%)と、1か月で半分以上を占めています。

出典 www.mhlw.go.jp

年ごとに見ても、いちばん件数が多かった月は10年のうち8年が10月でした(2018年と2021年だけは9月)。最新の2025年は16件・患者46人で、10月が10件、11月が6件でした。
消費者庁も「特に9月から11月にかけて、多く発生しています」、食品安全委員会も「ほぼ9割が、毎年、秋(9月から11月)に集中」と注意を呼びかけています。9月下旬の今は、ちょうどその山に入っていく時期です。
また、10年間で4人が亡くなっています(厚生労働省の自治体別発生状況の合計)。件数は多くなくても、命に関わる種類があるということです。

種類別では約半分がツキヨタケ シイタケやヒラタケと間違えやすい

同じ厚生労働省の種類別のデータ(平成28年〜令和7年)では、原因のきのこは次の順でした。
・ツキヨタケ 105件(患者298人)
・クサウラベニタケ 25件(患者73人)
・テングタケ 13件(患者21人)
・オオシロカラカサタケ 10件(患者16人)
・ドクササコ 8件(患者17人)
・カキシメジ 8件(患者25人)
・イボテングタケ 4件(患者6人)
ツキヨタケが105件で、種類別の延べ215件の48.8%。2位のクサウラベニタケと合わせると130件で、延べ215件の60.5%になります。(種類別の表は、2種類が疑われた事例を両方に数えているため、合計が215件になっています。)
この2種類に共通するのは、食べられるきのこにそっくりだということです。厚生労働省は、間違えやすいきのことして次を挙げています。
・ツキヨタケ → ヒラタケ、ムキタケ、シイタケ
・クサウラベニタケ → ウラベニホテイシメジ、ホンシメジ、ハタケシメジ
スーパーで見かける名前が並んでいます。さらに、厚生労働省の資料には「ツキヨタケは食用のムキタケと同じ場所に混生して生えていることがあり、そのときに誤認して摂食してしまうことがある」とも書かれています。同じ木から、食べられるものと毒のものが一緒に生えていることがあるということです。

出典 www.mhlw.go.jp

そして、起きている場所はほとんどが家庭です。厚生労働省の食中毒統計に載っている2016〜2025年の10年間の事例を1件ずつ数えると、213件のうち原因施設が「家庭」だったのは192件(90.1%)でした。自分で採ったり、人からもらったりしたきのこを、家で料理して食べたケースです。
つまり毒きのこの食中毒は、秋に、家の台所で起きているもの。ここからは、そのときにやりがちなことを5つ見ていきます。

NG1|図鑑やスマホの画像検索で「食べられる」と自分で判断する

広島県は「毒キノコによる食中毒の多くは、自己流で鑑定して食べた結果発生したものです」と書いています。
いまはスマートフォンで写真を撮れば、それらしい名前がすぐに出てきます。でも、厚生労働省は「キノコには個体差があるため、インターネット等の画像検索の結果から食べられると判断するのも危険です」とし、東京都は「スマートフォンの画像検索機能を使って判断し、毒キノコを間違って食べた食中毒が都内で実際に起きています」と、実際の事例まで挙げて注意しています。
そもそも、食べられるきのこは多くありません。食品安全委員会の説明では、日本に4,000〜5,000種類あるといわれるきのこのうち、食べられるといわれるのは約100種類、毒きのこは200種類以上(林野庁)。残りの大半は、毒があるかどうか自体がわかっていないとされています。

代わりに:確実に食用と判断できないきのこは、採らない・食べない。
厚生労働省・消費者庁・農林水産省がそろって使っている合言葉が「採らない、食べない、売らない、人にあげない」です。判断に迷ったら、その時点で「食べない側」に倒す。これがいちばん確実です。

NG2|「縦に裂ける」「地味な色」「虫が食べている」を目安にする

昔から伝わる「見分け方」は、公的機関がはっきり否定しています。消費者庁は「「茎が縦に裂けるキノコは食べられる」、「毒キノコは派手な色をしている」等の言い伝えは誤りです」。東京都は「キノコの見分け方のウソ」として、次のように書いています。
・柄が縦に裂けるものは食べられる……ウソ ほとんどの毒きのこの柄も縦に裂けます。猛毒のドクツルタケも簡単に裂けます
・地味な色をしたきのこは食べられる……ウソ 毒きのこのほとんどは地味な色。クサウラベニタケ、ツキヨタケ、カキシメジも地味な色です
・虫が食べているきのこは食べられる……ウソ 毒きのこでも虫は食べます
・カサの裏がスポンジ状のきのこは食べられる……ウソ ドクヤマドリなど毒きのこが見つかっています
新宿区も、縦に裂ける毒きのこの例としてクサウラベニタケ・カキシメジ・ニガクリタケを挙げています。さきほどの種類別データで2位だったクサウラベニタケ(25件)が、まさに「縦に裂ける・地味な色」の毒きのこです。

代わりに:言い伝えは信じない。どれも毒きのこに当てはまる。
東京都は「この他にも、色々な見分け方の迷信がありますが、あてになるものはありません」と結んでいます。「こうなっていれば安全」という目安は存在しない、と覚えておくのが近道です。

NG3|ナスと煮る・干す・塩漬け・汁物にすれば毒が抜けると思う

「ナスと一緒に煮れば毒が消える」「塩漬けにすれば大丈夫」という話もあります。これも東京都と目黒区がそろって否定しています。
・ナスと一緒に料理すれば食べられる……ウソ ナスと一緒に料理しても毒成分は減りません
・干して乾燥すれば食べられる……ウソ 乾燥しても毒成分は分解されません
・塩漬にし、水洗いすると食べられる……ウソ ほとんどの毒きのこでは効果がありません
加熱についても、厚生労働省の「自然毒のリスクプロファイル」に、いちばん多いツキヨタケの毒成分(イルジンS)について「100℃、15分加熱で15%分解する」という記述があります。15分煮込んでも、分解されるのは15%ということです。同じ資料には「illudin S は汁中にもキノコ本体にも検出される」とも書かれています。

実際、食中毒の事例を見ると汁物がとても多いのです。2016〜2025年の10年間の213件のうち、原因食品にみそ汁・すまし汁・けんちん汁・鍋・スープ・きのこラーメンなど汁気の多い料理が書かれていたものは56件(26.3%)。約4件に1件です。
2025年にも、ドクササコ入りのけんちん汁、みそ汁で家族4人が発症した事例が、厚生労働省の注意喚起で紹介されています。秋のきのこ汁や鍋は、たくさんのきのこを一度に入れて、家族みんなで食べる料理。1本混ざっていれば、鍋ごと食卓に出てしまう形です。
2025年には、山林で採った野生きのこを使ったツキヨタケ入りの麺料理で、1歳から71歳までの11人が発症した事例もありました。小さな子どもから高齢の方まで、一度に同じものを食べるのが家庭の食卓です。
代わりに:調理や下ごしらえで毒は消えないと考える。「よく煮たから」「汁だけなら」ではなく、そのきのこが確実に食べられるものかどうかだけで判断します。

NG4|もらった・直売所やフリマで買った野生きのこをそのまま食べる

自分では採らなくても、もらったきのこで食中毒になることがあります。農林水産省は「知人から譲り受けた野生きのこによる食中毒も発生しています」とし、厚生労働省も事例として「人から譲り受けたキノコを食べたら食中毒になった」を挙げています。
農林水産省は、特にヒラタケ、ムキタケ、ウラベニホテイシメジなどを譲り受けたときは、毒きのこや食用と確実に判断できないきのこが混ざっていないかを確認し、疑わしい場合には食べないよう呼びかけています。そして「混ざってしまった場合、後から見分けることは困難です」とも書いています。採った人が詳しい人でも、混ざることはあるということです。

お店で買ったものなら安心、とも限りません。農林水産省は「農産物直売所等にて有毒な野生きのこが誤って食用として販売され、これを購入して食べた消費者に食中毒が発生しています」と注意しています。厚生労働省の自治体別発生状況でも、2016〜2025年の10年間に販売された毒きのこによる事例が8件・患者39人ありました。
フリマアプリやオークションサイトで売られている野生きのこについても、農林水産省は食用と明記されていない野生きのこが売られていた場合は、食用として購入しないでと呼びかけています。
代わりに:混ざっていないか確かめ、疑わしければ食べない・人にあげない。いただいたきのこを、さらに別の人におすそ分けするのも同じことです。確実に食用とわからないものは「人にあげない」までがセットです。

NG5|食べて具合が悪くなっても様子を見る・治まったから安心する

最後は、食べてしまったあとのことです。ここは公的機関の呼びかけをそのまま紹介します。
厚生労働省は「キノコを食べて体調が悪くなったら、すぐに医師の診察を!」、消費者庁は「体調に異常を感じたら、直ちに医療機関を受診しましょう」と呼びかけています。東京都は、次の一文を加えています。
「もし、体調に異常を感じたら、すぐに病院を受診してください。食べたキノコが残っている場合は、持参してください。治療の参考になります。」
残ったきのこや料理を捨てずに持って行く、というのは、とっさには思いつきにくいポイントです。

もうひとつ知っておきたいのが、症状が出るまでの時間は、きのこの種類によってまったく違うということです。
・ツキヨタケ:食後30分〜1時間程度で、嘔吐、下痢、腹痛など(厚生労働省)
・クサウラベニタケ:食後20分〜1時間程度で、嘔吐、下痢、腹痛。唾液の分泌、瞳孔の収縮、発汗も(厚生労働省)
・ドクツルタケ:食後6〜24時間程度で、嘔吐・下痢・腹痛が1日でおさまり、その後24〜72時間程度で肝臓・腎臓の障害(厚生労働省)
・ドクササコ:早ければ食後6時間程度、遅いと1週間ほどで、手足の先端が赤く腫れ、激痛が1か月以上続く(広島県)
ツキヨタケは食後30分〜1時間程度(厚生労働省。食品安全委員会は30分から3時間)、クサウラベニタケは食後20分〜1時間程度(厚生労働省。東京都は10分〜数時間程度)とされていて、早いと食べてから1時間もたたずに症状が出ます。一方でドクツルタケは、最初の症状が1日でおさまったあとに、肝臓や腎臓の障害が現れ、死亡する場合があるとされています。ドクササコは、早ければ食後6時間ほど、遅いと1週間ほどたってから手足に症状が出ます。
「治まったから大丈夫」「すぐには何ともなかったから大丈夫」とは言えない、ということです。野生のきのこを食べたあとで体調がおかしいと感じたら、時間がたっていても、すぐに医療機関を受診してください。

出典 www.mhlw.go.jp

代わりに:すぐ医療機関へ。食べたきのこが残っていれば持参する。残ったきのこは、東京都の言うとおり治療の参考になります。食べ残したきのこは、すぐに捨てずに取っておくと持って行けます。

よくある質問

スーパーで買ったきのこも危ないのですか

この記事で扱っているのは、山や公園、庭などに生えている野生のきのこです。厚生労働省の統計で2016〜2025年の10年間の213件の原因になったのは、ツキヨタケやクサウラベニタケなどの毒きのこでした。
ただし、直売所やフリマアプリで売られている野生きのこは別です。販売された毒きのこによる事例も8件あったので、「野生のきのこ」と書かれているものはもらったときと同じ目で見てください。
また東京都は、シイタケなど食用として栽培されたきのこでも、生や加熱が不十分な状態で食べると、アレルギー症状や食中毒症状が起こることがあるとしています。スーパーのきのこも、よく加熱して食べてください。

詳しい人が「大丈夫」と言ったきのこなら食べてもいいですか

農林水産省は、食用きのこと間違えやすい毒きのこは「食用きのこと同じ場所に生えていることがあり、見分けることが困難な場合があります」とし、「混ざってしまった場合、後から見分けることは困難です」と書いています。厚生労働省も「自分は大丈夫、と思わずに」と呼びかけています。
誰が採ったかではなく、その1本が確実に食用かどうかが判断の基準です。少しでも疑わしいものは食べないでください。

毒きのこはよく加熱すれば食べられますか

食べられません。東京都・目黒区は、ナスと一緒に料理しても、干しても、塩漬けにしても毒は減らない(ほとんどの毒きのこで効果がない)としています。厚生労働省の資料では、ツキヨタケの毒成分は100℃で15分加熱しても15%しか分解されず、汁にもきのこ本体にも出てくるとされています。実際に2016〜2025年の10年間の事例の約4件に1件(56件)は、みそ汁や鍋などの汁物でした。

秋以外は大丈夫ですか

2016〜2025年の10年間の月別合計では、12月から5月は0件でしたが、6〜8月にも15件起きています。厚生労働省も「例年、夏の終わりから秋にかけて」多く発生すると書いており、秋だけの話ではありません。季節にかかわらず、確実に食用と判断できないきのこは食べないでください。

まとめ 「迷ったら食べない」と「残りを持って受診」

秋のきのこでやりがちなNGと、代わりにできることをおさらいします。
・図鑑やスマホの画像検索で「食べられる」と自分で判断する → 確実に食用と判断できないきのこは、採らない・食べない
・「縦に裂ける」「地味な色」「虫が食べている」を目安にする → 言い伝えは信じない。どれも毒きのこに当てはまる
・ナスと煮る・干す・塩漬け・汁物にすれば毒が抜けると思う → 調理や下ごしらえで毒は消えないと考える
・もらった・直売所やフリマで買った野生きのこをそのまま食べる → 混ざっていないか確かめ、疑わしければ食べない・人にあげない
・食べて具合が悪くなっても様子を見る・治まったから安心する → すぐ医療機関へ。食べたきのこが残っていれば持参する
厚生労働省のデータでは、2016〜2025年の10年間の毒きのこの食中毒213件のうち93.0%が9〜11月、10月だけで55.4%。種類別に見ると延べ215件の48.8%がツキヨタケで、事例の90.1%は家庭で起きていました。
確実に食べられるとわからないきのこは、採らない・食べない・売らない・人にあげない。食べて具合が悪くなったら、すぐに医療機関へ。食べたきのこが残っていれば持って行く。
この2つを覚えておけば、秋のきのこを安心して楽しめます。

※本記事は毒きのこによる食中毒の予防に関する一般的な情報提供を目的としたもので、医療上の助言や個別の診断に代わるものではありません。
食べたあとに体調の異常を感じたときは、自己判断せず、すぐに医療機関を受診してください。
※月別の件数・患者数、種類別の件数、死者数、販売事例(都道府県別の記載を数えた値。令和6年の合計欄には計上されていない徳島県の1件を含む)は、厚生労働省「毒キノコによる食中毒に注意しましょう」の月別・種類別・自治体別発生状況(平成28年〜令和7年)をweboo編集部が合計したものです。種類別は2種類が疑われた事例を両方に数えているため、合計が215件になります。家庭192件・汁物56件は、厚生労働省「食中毒統計資料」の各年の食中毒発生事例(2016〜2025年の10年間・213件)を1件ずつ数えたもので、汁物は原因食品の記載に汁・鍋・スープ・吸い物・汁麺が含まれるものを数えています。記事の情報は2026年9月21日時点のものです。

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