1. トップ
  2. エピソード
  3. 「そこ、よその人の駐車場なんでしょ?」一度注意されても停めたママ友。だが、娘が聞いた素朴な一言で空気が一変

「そこ、よその人の駐車場なんでしょ?」一度注意されても停めたママ友。だが、娘が聞いた素朴な一言で空気が一変

  • 2026.9.20
「そこ、よその人の駐車場なんでしょ?」一度注意されても停めたママ友。だが、娘が聞いた素朴な一言で空気が一変

言いづらかった、家の前の月極駐車場

ママ友の集まりは、いつもわが家のリビングだった。みんな歩いて来るけれど、少し離れた場所に住むママだけは車で来る。うちには来客用の駐車場がない。

家の前には、区画ごとに番号の札が立った月極駐車場がある。そのママは初めて来た日から、空いている区画に車を入れた。

「ここ、空いてるよね?ちょっとだけだから大丈夫かな」

私は気になったものの、その日は何も言えなかった。

ところが次の集まりでも、その次でも同じだった。

「今日もここ借りちゃおう。そんなに長くいないし」

窓からママさんの車を見るたび、私は落ち着かない気持ちになった。

ある日、お茶を出しながら思い切って切り出した。

「あのね、あそこ月極だから、契約してる人が戻ってきたら困ると思うんだ」

ママさんは少し驚いた顔をした。

「いつも空いてるから、使ってない場所なのかと思ってた」

「たぶん空いてるんじゃなくて、今いないだけだと思う」

「そっか…じゃあ、動かしてくるね」

ところがママさんが車を移したのは、同じ駐車場の隣の区画だった。

「あ、そこもたぶん…」

私は言いかけて、言葉を飲み込んでしまった。

ママさんは学校の集まりでもよくみんなをまとめてくれる人で、普段から助けてもらうことも多かった。気まずくしたくないという気持ちが、どうしても先に立ってしまった。

一度トラブルになったのに

ある夕方、表でクラクションが長く鳴った。

外を見ると、帰ってきた契約者の男性が、自分の区画に入れず車を止めて待っていた。

「あ…私の車だ」

顔色が変わった。

私も一緒に外へ出て、男性に頭を下げた。

「すみません、すぐ動かします。本当にごめんなさい」

ママさんも「すみませんでした」と何度も謝り、慌てて車を移動させた。

これでもう停めることはないだろう。私はそう思っていた。

ところが翌月、ママさんの車がまた家の前の月極駐車場に入っていくのが窓から見えた。

私は思わず、先に来ていたママ友に小声でこぼした。

「また停めちゃった……。この前あんなことがあったし、今度こそ言わないとだよね」

「うん。さすがに今回は言ったほうがいいかも」

その会話を、廊下にいた娘も聞いていた。

ほどなくして玄関のチャイムが鳴った。

私が迎えに出ると、ママさんは靴を脱ぎながら笑った。

「ごめん、お待たせ」

そのとき、後ろからついてきた娘がママさんを見上げた。

「ねえ、そこ、よその人の駐車場なんでしょ?」

きょとんとした顔をした。

「え?」

「この前も車の人、待ってたよね。停めたらだめなんじゃないの?」

「ちょっと…」

私は慌てて娘を止めようとした。

けれどママさんはしばらく黙ったあと、「そうだよね」と小さく息をついた。

「今日はすぐ帰るし、少しくらいならって思っちゃった。ごめんね」

そして私のほうを見た。

「この前も迷惑かけたのにね。ちゃんと別のところに停めてくる」

「私も、もっとちゃんと言えばよかった。ごめん」

「いやいや、これは私が悪いよ」

ママさんは苦笑しながら車の鍵を取り出し、角を曲がった先のコインパーキングへ車を移しに行った。

戻ってくると、娘に向かって声をかけた。

「今度はちゃんと駐車場に停めてきたよ」

娘は少し照れたように、「うん」とうなずいた。

それから集まりの日に、家の前の月極駐車場へ車を停めることはなくなった。

大人同士だからこそ、相手との関係を考えすぎて言いづらくなることがある。娘の何気ない一言を聞いて、曖昧にするより、最初からきちんと伝えたほうがお互いのためだったのだと思った。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ