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「99円なら1円あるか聞くだろ」お釣りをめぐって十数分止まったレジ、後ろの客が口を開いた

  • 2026.9.20

99円を渡したあとの怒鳴り声

大学2年の冬、私は近所のスーパーでレジのアルバイトをしていた。

夕方は仕事帰りの人で混む時間帯で、その日もすべてのレジに列ができていた。

50代くらいの男性客の会計を終え、私はお釣りの99円を数えて手渡した。

すると男性は手のひらの硬貨を見たあと、急に顔を上げた。

「99円?こういうとき、1円あるか聞かないの?100円玉で返してくれたほうが楽でしょ」

私は一瞬、何を言われているのか分からなかった。

「申し訳ありません。こちらから確認できていなくて…」

すると男性は、少し声を大きくした。

「普通そうしない?」

そこでようやく、1円玉を持っているか先に聞かなかったことに腹を立てているのだと分かった。

「すみません。次から気をつけます」

そう言って頭を下げたが、男性は納得していない様子だった。

「もういいよ。責任者の人、呼んでもらえる?」

インカムで連絡すると、教育担当の先輩が小走りでやってきた。

「お待たせして申し訳ありません。どうされましたか?」

先輩が尋ねると、男性は手の中の硬貨を見せた。

「お釣りが99円だったんですよ。こういうときって、1円あるか聞いてくれるもんじゃないの?」

先輩は状況を確認してから頭を下げた。

「お声がけが足りず、申し訳ありませんでした」

列の後ろから聞こえた声

それで終わるかと思ったが、男性はまだ不満そうだった。

「こういうの、ちゃんと教えておいてよ。細かいことかもしれないけど、気になる人もいるんだから」

「はい。こちらでも改めて確認します」

「いや、だからさ。言われなくても分かることでしょ?」

先輩が受け答えをしても、男性は同じ話を繰り返した。

私はレジの画面を見つめながら、指先が冷たくなっていくのを感じていた。

時計を見ると、最初に声をかけられてから十数分がたっていた。

レジは止まったまま。後ろには買い物かごを持った人たちが並び、時計を見る人や、別のレジへ移っていく人もいた。

そのとき、少し後ろに並んでいた作業着姿の男性が声を上げた。

「すみません、そろそろいいんじゃないですか。みんな待ってるので」

男性客は振り返った。

「今、話してるんですけど」

作業着の男性も少し困ったような顔をした。

「それは分かります。でも、ずっとレジが止まってるんで…」

その言葉に、男性客は初めて後ろの列を見た。

何人もの客が待っていることに気づいたのか、しばらく黙ったあと、手にしていた硬貨を財布へ入れた。

「…分かったよ。もういい」

それだけ言うと、そのまま店を出ていった。

先輩は列に向かって「大変お待たせしました」と頭を下げた。

そして私にも、小さな声で聞いた。

「大丈夫?」

「はい……びっくりしました」

答えた途端、それまで張りつめていた肩から少し力が抜けた。

それからレジを再開し、何人かのお客さんの会計を終えたころ、先ほどの作業着の男性の番になった。

男性は缶コーヒーとおにぎりをレジ台に置きながら、私を見た。

「大変だったね」

「ありがとうございます。お待たせしてすみませんでした」

「いやいや、あなたが謝ることじゃないよ」

男性はそれ以上何も言わず、会計を済ませて店を出ていった。

休憩に入ると、先輩が紙コップのお茶を差し出してくれた。

「さっきは大変だったね」

「最初、本当に何を怒られてるのか分からなくて……」

「うん。急にあの調子で言われたら、びっくりするよね」

温かい紙コップを両手で持つと、ようやく落ち着いてきた。

接客をしていれば、お客さんによって気になることは違う。それでも、十数分レジが止まるほど責められるとは思っていなかった。

あのとき後ろから声をかけてくれた男性の「みんな待ってるので」という言葉を、私は今でもよく覚えている。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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