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夕方の電車で「こんな時間に乗るなよ」と言われたベビーカーを押す母親。だが、乗客が周囲にかけた一言

  • 2026.9.19
夕方の電車で「こんな時間に乗るなよ」と言われたベビーカーを押す母親。だが、乗客が周囲にかけた一言

混んだ車内で聞こえた、低い声

仕事帰りの夕方、電車の座席は埋まり、ドア付近にも何人もの人が立っていました。

私もドアのそばで、鞄を胸の前に抱えるようにして立っていました。

次の駅でドアが開くと、ベビーカーを押した母親が乗ってきました。中には小さな男の子が座っています。

母親は「すみません」と小さく声をかけながら、ベビーカーをできるだけ端へ寄せようとしていました。

ただ、混んでいるので簡単には動かせません。すぐ近くに立っていた男性も窮屈そうに体を引きました。

「ちょっと、邪魔なんだけど」

母親は慌てて振り返りました。

「すみません。もう少し寄せます」

車輪の向きを直そうとする母親に、男性はため息交じりに言いました。

「こんな時間に乗るなよ」

母親は一瞬言葉に詰まりました。

「…すみません」

その直後、電車が揺れました。母親はベビーカーを押さえましたが、車輪がわずかに男性の靴へ触れてしまいました。

「あっ、ごめんなさい!」

男性は足を引き、苛立ったようにもう一度言いました。

「だから言ったろ!こんな時間に乗るなよ」

母親はうつむき、男の子の膝に置かれた小さなリュックを押さえました。男の子は不安そうに母親の顔を見上げています。

私も何か言おうかと思いましたが、すぐには言葉が出ませんでした。

「少しずつ詰めませんか」

そのとき、少し離れたところに立っていた年配の女性が周囲を見ながら声をかけました。

「すみません。こっち、少しずつ詰めませんか?」

誰かを責める口調ではありませんでした。

女性自身が半歩横へ寄ると、隣にいた人も「あ、はい」と体をずらしました。

私も鞄を持ち直して少し詰めると、その近くに立っていた学生も場所を空けました。

一人ひとりがほんの少し動いただけでしたが、ベビーカーを置ける余裕ができました。

年配の女性が母親に声をかけます。

「ここなら、さっきより少し楽だと思いますよ」

母親は顔を上げました。

「ありがとうございます…助かります」

「いえいえ。揺れると大変ですものね」

母親は何度も頭を下げながら、ベビーカーを空いた場所へ寄せました。

先ほどの男性はそれ以上何も言わず、窓のほうを向いていました。

次の駅で男性が降りたあと、ベビーカーの男の子が年配の女性を見つめ、小さく手を振りました。

「ばいばい」

女性は一瞬驚いたあと、笑って手を振り返しました。

「はい、ばいばい」

母親ももう一度、「ありがとうございました」と頭を下げました。

男性を言い負かしたわけではありません。ただ、一人が周囲に声をかけ、みんなが少しずつ動いただけです。それでも、張りつめていた車内の空気が少しやわらいだように感じました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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