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水槽が原因の火災も、地震で起きる「アクアリウムトラブル」と対策

  • 2026.9.18

熱帯魚などを飼育している方にとって、水槽は日々の生活に癒しを与える存在です。一方で、地震が頻発する日本で暮らす上では見過ごせないリスクも抱えています。転倒や落下、水漏れ、そして火災——大きな地震が起きた時、水槽まわりでは具体的にどんなトラブルが起こるのでしょうか。そしてそれを防ぐためにできることは何でしょうか。今回は、全国各地で水槽レンタルサービスを展開する東京アクアガーデンの広報担当・中島慧子さんにお話を伺いました。

地震の時に起こりうる水槽トラブル

漏電による火災

地震で起こりうるリスクとして中島さんがまず挙げたのが、火災トラブルです。

「水槽まわりは実は火災のリスクを抱えています。過去の大地震の際にも発生例が多いのが、観賞魚用ヒーターからの出火や水槽周辺機器の漏電による火災です」

実際に東日本大震災では、水槽の転倒により観賞魚用ヒーターが衣類の上に落下し、火災につながったケースが報告されています。また、転倒した水槽からこぼれた水がコンセントやテーブルタップにかかり、トラッキングという放電現象を起こして出火する事例も、阪神・淡路大震災、東日本大震災の両方で起こりました。

水槽が割れる

大きな揺れで水槽自体が転倒・落下すれば、当然ガラスは割れてしまいます。

「それだけでなく、水槽内のレイアウトに使っている岩などが内側からガラス面にぶつかり割れてしまうケースもあります」と中島さんはいいます。

魚への被害

たとえ水槽が無事でも、魚たちに被害が及ぶ場面は多くあります。

「大きな揺れによって水が大きく波打つことで魚が水槽の外に飛び出してしまったり、停電によってろ過フィルターやエアーポンプが止まり、酸欠や水質悪化が起きたりします」

また、断水で水換えができなくなることも、長期的には大きなダメージにつながるそうです。

水漏れ

水槽の破損だけでなく、地震の揺れによって水が水槽からこぼれ出すことも想定されます。標準的な60cmサイズの水槽は飼育時には約60Lの水が入っています。この水が床にこぼれたら……? 特にマンションなどの集合住宅では、階下への被害も引き起こしかねない深刻な問題です。

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個人でできる対策

漏電・水漏れを防ぐ

まず水槽本体の選び方から見直してみましょう。中島さんによると、おすすめはアクリル水槽とのこと。「ガラス水槽に比べて軽量かつ割れに強い性質があります。また構造上必ず補強枠(フランジ)が付いているため、揺れによる水こぼれを軽減するのにも有効です」と話します。

レイアウトを見直すことでも、水槽内部からの衝撃による割れを防ぐことができます。

「重い岩は底面に、かつ壁面から十分離して配置する、アクアリウム用の接着剤を使用する、岩の周囲に水草を植える、などの工夫をしながらレイアウトを考えましょう」

また水槽の上に設置する蓋も水漏れ防止に効果的です。ガラス製の蓋は重みがあるため、地震による水の動きにも大きくずれにくいのが利点です。ただし震度5を超える大きな地震の場合では確実とは言えないため、蓋に重りを載せる、梱包用ラップで固定しておくなどの対策をしておくと安心です。さらに余震が続く場合は、水位を通常より2割程度下げておくと水の飛び出しを抑えられます。

火災の原因となる電源コードやタップにも注意が必要です。「コードやタップを水槽台の中に収納する際は、高い位置にまとめて設置することで水槽本体やろ過槽からの漏水による水濡れを防ぐことができます。専用の水槽台がない場合も、電源タップはなるべく水のかからない位置に設置します。コンセントにつける防水カバーも手軽で有効な方法です」

海水魚を飼育している場合、海水(人工海水)がこぼれてしまうと染み込んだ塩分で床材が腐食してしまいます。もしこぼれてしまったら、濡れ拭きと乾拭きを繰り返して塩分を素早く吸収するように努めましょう。「地震時の水漏れによる損害をカバーできる地震保険もあります。現在加入している保険の免責条項や補償範囲を事前に確認することも大切です」

水槽の落下・転倒を防ぐ

水槽は構造上、設置している水槽台よりも重くなるケースが多く、落下や転倒の危険性が高くなりがちです。中島さんは「水槽と水槽台を一体と考え、その重心の位置の高さと奥行の関係を示す『アスペクト比』を意識しましょう」と教えてくれました。

「重心の位置の高さを、奥行の1/2で割った数値がアスペクト比です。この数値が小さい方が揺れに強く、転倒しにくくなります。安全の目安は3前後。4以上であれば、安全性を高める対策が必要と考えてください。アスペクト比を小さくするためのポイントは、重心を低く、底面積を広くすることです」

上写真を例にとると、水槽は幅60×奥行30×高さ40㎝、水槽台は幅60.5×奥行30.5×高さ70㎝です。水を入れてレイアウトを整えた水槽の重さは約100㎏、水槽用クーラーや外部フィルターを入れた水槽台は約40㎏になります。

このように水槽の方が水槽台より重い場合、重心の高さは、水槽台の高さに水槽の底板の厚みを足した数値と考えます。この場合は70㎝(水槽台の高さ)+2㎝(水槽の底板の厚み)で72㎝、アスペクト比は72÷(30×1/2)=4.8になります。水槽台の内部に、ダンベルや水の入ったペットボトルなどの重りを設置し、水槽より水槽台を重くして重心を低くすれば、アスペクト比の数値は下がっていきます。

中島さんによると「中型以上の水槽は、水槽台に収納するフィルターなどのろ過装置も大型で重量があります。一方、幅30cmの小型水槽などは、機材類も小型・軽量です。さらに小型水槽の水槽台は横幅が狭く縦長になりやすいため、重りを入れて安定させるのがおすすめ」だそうです。

他にも、水槽用のセーフティーマットを水槽と水槽台の間に敷くことで、滑りやずれを防止できます。東京アクアガーデンでは、パソコンなどの転倒防止に使用される耐震ストッパーや耐震ベルトを水槽の固定に活用することがあるそうですが、中島さんは「水槽は重いので、あくまで転倒リスクを軽減するサポート的な役割だと捉えてほしい」といいます。

個人の対策だけでは不安を感じる場合は、水槽台に水槽をはめ込む「落とし込み加工」や、床と水槽台をアンカーで固定する施工など、専門店に対策をお願いするという選択肢もあります。

魚の被害を防ぐ

中島さんによると「エアーポンプやヒーターが丸一日以上止まってしまうと、魚にとってはかなり危険な状態」とのこと。停電時に備え、電池式のエアーポンプやUSB充電式のヒーターを用意しておきましょう。ポータブル電源があると、普段使っている機器がそのまま使えるため便利です。

また水槽が割れて使えなくなった場合の緊急避難用として、バケツやプラスチック製の収納ケースを準備しておきましょう。中でも発泡スチロールの箱は温度変化が少なく、魚への負担が抑えられるためおすすめです。

自宅の水槽まわりを見直そう

地震発生時には、さまざまなトラブルが想定される水槽。今回ご紹介した対策は、身近なものですぐに始められるものばかりです。大切な魚たちを守り、水槽のある暮らしを楽しむためにも、いざという時に備えて自宅の水槽まわりを一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

<執筆者プロフィル>
那須 あさみ

フリーランスライター。小学生、中学生の4児の母。さまざまな年齢の子どもと一緒に家庭で備えられる防災を模索中。

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