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東大卒コンビ・無尽蔵のコラム連載「尽き無い思考」/第46回(やまぎわ)「諸悪の根源? ネタ書いてる/書いてない問題について」

  • 2026.9.17
東大卒コンビ・無尽蔵のコラム連載「尽き無い思考」 提供:無尽蔵 やまぎわ
東大卒コンビ・無尽蔵のコラム連載「尽き無い思考」 提供:無尽蔵 やまぎわ

サンミュージックプロダクションに所属する若手の漫才コンビ・無尽蔵は、ボケの野尻とツッコミのやまぎわがどちらも東大卒という秀才芸人。さまざまな物事の起源や“もしも”の世界を、東大生らしいアカデミックな視点によって誰もが笑えるネタへと昇華させる漫才で、「UNDER5 AWARD 2025」では決勝に進出・「M-1グランプリ」では2024年から2年連続で準々決勝に進出し、次世代ブレイク芸人の1組として注目されている。新宿や高円寺の小劇場を主戦場とする令和の若手芸人は、何を思うのか?“売れる”ことを夢見てがむしゃらに笑いを追求する日々を、この連載「尽き無い思考」で2人が交互に綴っていく。第46回はやまぎわ回。

第46回(やまぎわ) 「諸悪の根源? ネタ書いてる/書いてない問題について」

お疲れ様です。無尽蔵のやまぎわです。

昨今、関西圏を中心にコンビ芸人間の揉め事が動画やラジオで注目を集めています。

原因は大抵コンビ間のコミュニケーション不足のようです。ある時に感じた小さな不満。それをその時伝えず持ち帰ったあと、胸の中で不満が増幅してしまい、相方の一挙手一投足が鬱陶しく見える。よくある話です。

そしてこの不満は、少なからず「ネタ書いてる/書いてない問題」に端緒があるようです。

この「ネタ書いてる/書いてない問題」は、構造的に全お笑い芸人が逃れられない問題と言えるでしょう。

僕が芸人であることを知った相手から聞かれる質問・第1位は「ネタってどっちが書いてるの?」です。驚くことに、芸人じゃない方から聞かれることも多い気がします。

お笑い芸人のWikipediaには「ネタ作成者」の項があります。テレビやライブでも、「お前ネタ書いてないやろ!」「ネタ書いてるんがそんなに偉いんか!」というケンカ(ノリ)が日々上演されています。

どうしてネタを書いてる人の方が尊ばれるのでしょうか。

たしかに、純粋にやっていることが一つ多いですし、「作り手に対する憧れ」というのはどの創作物でもあるものです。「どうやって作ったんだろう」「その発想の根源は?」と、決して理解し得ない才能への羨望がいつしか憧れに変わります。

そのような状況下で、ネタを書いている方は「書いてないくせに俺と同じリターンなのおかしくない?」と思い、書いてない方は「書いてるからってリターンもらいすぎじゃない?」と思うのでしょう。人間隣の芝は青く、常に平等か格上でいたいものです。

これは思わないようにしても思ってしまいます。人間も動物ですから、無意識に支配されてしまうのです。

どうすればこのバランスを是正することができるのでしょうか。1つの解決策にはネタを共同で書くというものがあるでしょう。

ですが、これをするにはまず、コンビ(簡単にコンビだけ考えます)の各人の面白いと思うことが相当そろっている必要があります。ここがそろってないと話は噛み合わず、そもそもコンビが長続きしないでしょう。

ペンを2人で持ちながらネタを書くわけにもいかないわけで、それではネタを共同で書くとはどういうことなんでしょうか。

ネタづくりのプロセスは主に3段階に分けられます。

①ネタのテーマを決める

②ネタのアイデアを広げる

③ネタの台本を作る

人によって得意なフェーズは異なります。0→1のアイデアを生み出せる人、テーマさえあればたくさん大喜利できる人、それをお話にするのが得意な人。

無尽蔵で言うと、現在は①テーマを2人で持ち寄って選び、②一緒にアイデアを広げて、③台本は野尻が書いてくれる、という感じです。

僕が会社で働かせてもらってるというのもあり、ネタの核は2人で作りつつ、事務的作業は野尻にやってもらってるというのが今の無尽蔵です。

ネタ作りの要素を分解しても、完全に二等分というのは難しいように感じられます。それができるコンビもいるでしょうが、③みたいな作業が存在し得る以上、完全な平等というのは難しいと思います。

会社でも同様ですよね。同じ所定労働時間なのにもかかわらず、できるやつに仕事が集まる。負荷の不平等が生じる。誰しもが「なんで俺だけこんな忙しいんや…!」という気持ちになったことがあるでしょう。

仕事の方を完全に平等にすることは難しい以上、安寧を築くために必要なのは心の持ちようです。

ネタを書くにしても書かないにしても「コンビそのもの」のためにという意識を持つことでしょう。

スナフキンズさんの仲直り動画が話題となりましたが、その中でダブルアート真べぇさんも同じ旨のことをおっしゃっておりました。俺の方がよく見られたい!という感情は「コンビそのもの」にとってはプラスとなりません。

コストをかける対象を人ではなく概念に移すことで、情やプライドに振り回されず、なんとなく取るべき行動が決まってくるように思います。

会社でも、「会社のためにやったるか」と割り切ってしまえば、多少の不平等くらいがあったとしても、「まぁ会社のためにはなったか」と割り切れる気がします。(そう思えなければ辞めちゃえばいい)

仕事量をそろえるのではなく、なんのためにその仕事をしているのかをそろえることが真の平等なのかも知れません。

「自分のために」と思い過ぎれば思いやりを忘れ、「相手のために」と思い過ぎれば相手が期待通りに動かずイライラ。そんな動物性をわれわれが作り出した「概念」を間に挟むことで克服しましょう。

とはいえ最終的には自分のためにやってることです。気楽にやりましょう。辛ければ辞めましょう。自分がありたい姿がそこにあるなら頑張れば良いのです。

 提供:無尽蔵 やまぎわ
提供:無尽蔵 やまぎわ

■無尽蔵

サンミュージックプロダクション所属の若手お笑いコンビ。「東京大学落語研究会」で出会った野尻とやまぎわが学生時代に結成し、2020年に開催された学生お笑いの大会「ガチプロ」で優勝したことを契機としてプロの芸人となった。「UNDER5 AWARD 2025」では決勝に進出、「M-1グランプリ」では2024年から2年連続で準々決勝に進出。

無尽蔵 野尻 Xアカウント:https://x.com/nojiri_sao

無尽蔵 野尻 note:https://note.com/chin_chin

無尽蔵 やまぎわ Xアカウント:https://x.com/tsukkomi_megane

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