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ネトフリランク“1位・2位”獲得「去年のドラマなのに」「正直ナメてた」“直接的な描写”なしで漂う恐怖感【全6話ドラマ】

  • 2026.9.16
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左から竹原ピストル、香川照之、中村アン(C)SANKEI

昨年放送されたサイコ・サスペンスドラマが、今年になってじわじわと人気を広げている。
WOWOWが製作し、2025年に放送された全6話のサイコ・サスペンスドラマ『連続ドラマW 災』と『災 劇場版』が、今年に入ってNetflixで配信開始された。その思いもよらぬ恐怖感が、多くの視聴者に感染するかのように広がっている。8月下旬には、Netflixの日本のランキングで、映画部門で劇場版が1位、ドラマ部門でも2位をマークしている。

何か怖いものが映されるわけではない。しかし、香川照之演じる謎の男が画面に出てくると、途端に不穏な空気に包まれ、登場人物たちに災いが降りかかる。何が起きているのかわからないからこそ怖い、というタイプの作品だ。

※以下本文には放送内容が含まれます。

変死事件の傍らに常にいる“ある男”

本作は一話完結型のオムニバスのような形式だ。各話で異なる人物が主人公となり、それぞれのドラマが展開していく。だが、全編を通して香川照之演じる“ある男”が姿を変えて登場、そして彼の周りで起きる変死事件を追いかける刑事が登場する。

第1話は、港の食堂で働く道子(安達祐実)が溺死体となって発見されるところから始まる。そこには、漁師として働く“ある男”の姿があった。そして、次はシングルマザーの家庭で進路に悩む女子高生・北川祐里(中島セナ)が通う塾の講師として“ある男”が現れる。漁師姿と髪型も性格も全く違う。男は祐里の悩みに真摯に耳を傾け、祐里は心を許していくが、家族との関係に思い悩んでいく。そして、翌日、祐里は飛び降り、自ら命を絶ったとみられる状態で発見される。

その他、飲酒運転が原因で服役経験のある元トラック運転手・倉本慎一郎(松田龍平)の同僚としても“ある男”が登場。倉本は服役が原因で妻の加奈(佐藤みゆき)と別居、復縁を願って断酒しているものの、その後妻は河川敷で自ら命を絶ったとみられる状態で発見され、すべてを失った倉本も酒に走り、トラックに轢かれてしまう。
このような調子で、様々な葛藤や問題を抱えた人々が、場所を変えて描かれ、その傍らにはなぜか、名前も性格も髪型も違う“ある男”が常にいる。そして、主人公たちは謎に命を落とすが、多くは自ら命を絶ったり、事故として処理されていく。

それらの奇妙な事件について、神奈川県警捜査一課の堂本翠(中村アン)は、いずれの遺体からも髪の一部が切り取られていることに気づき、これは偶然の連鎖ではないと確信。各地の事件を追いかけていく。

各話の主人公たちは、家庭問題や人間関係など、何らかの葛藤を抱えている。そんな人々の心の隙間に入り込むように、“ある男”は語りかけていく。時に優しく、時に励ますように。しかし、その男が関わった人々は次々に謎に命を落としてしまう。男が命を奪った描写はなく、何が起きたのかははっきりと描かれない。男が明確な害意を表明するわけではないが、なぜか、不穏な匂いを漂わせている。

そんな男と人々のやり取りは、何も起きていないのに異様に怖いのだ。
この独特の恐怖感こそが、本作が話題になっている理由だ。SNSでも「事件風景も恐怖の顔もなく、静かな遺体がただ映る。ヌルリとした空気感がただただコワイ」といった声が寄せられている。

香川照之の怪演は夢に出てくる怖さ

本作の見どころは何といっても香川照之の七変化の怪演だろう。時に誠実な塾の講師、時に面倒見のいいトラック運転手、脚の悪い床屋など、色々な人物に扮する“ある男”を巧みに演じ分けている。
とにかく、香川照之の佇まいに異様な雰囲気があり、彼が画面に映るだけで緊張感が走る。そして、何も恐ろしい行動をとっていないにもかかわらず、視聴者に恐怖を与えてしまう。唯一無二の存在感を放っている。

SNSでも香川照之の芝居は絶賛されている。「香川照之本人の存在が不気味で恐ろしい」や「怖すぎて夢に出てきそう」「正直ナメてた」「去年のドラマなのに今ハマった」といった声が上がっている。

“ある男”がなぜ様々な人物になりすましているのかは明かされない。目的も理由も一切説明されないまま進行する。それにもかかわらず、このドラマに強い説得力があるのは、香川照之の佇まいにある。なぜか納得させられてしまうのだ。
また、豪華キャストが次々に犠牲になっていくのもその恐怖を倍増させている。安達祐実が第1話の冒頭を落としてしまうし、松田龍平や内田慈、竹原ピストル、藤原季節、シソンヌのじろうなど、豪華メンバーが1どんどん亡くなっていく。

タイトル『災』の文字どおり、これは天災にも近い理不尽に命を落とす人々の物語だ。香川照之演じる“ある男”は、そんな理不尽な災いの象徴のように見える。一味違う恐怖を味わいたい方は、ぜひ見てほしい。


出典:平瀬 謙太朗|Kentaro Hirase @KentaroHirase(2026年8月27日投稿より)
出典:

ライター:杉本穂高
映画ライター。実写とアニメーションを横断する映画批評『映像表現革命時代の映画論』著者。様々なウェブ媒体で、映画とアニメーションについて取材・執筆を行う。X(旧Twitter):@Hotakasugi

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