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「ちょっとうるさいんですけど」夜9時の掃除機で壁を叩かれた私。管理会社に相談して変わったこと

  • 2026.9.14

壁が3度鳴った夜

3年ほど前、隣の部屋に新しい住人が入った。

挨拶を交わしたのは入居の日だけで、その後は共用廊下ですれ違えば会釈をする程度だった。

変わったのは、ポストに一枚のメモが入っていた朝からだ。差出人の名前はなく、細い字でこう書かれていた。

「夜に洗濯機を回すのは、できれば控えてください」

「私のことかな…」

夜遅くに洗濯した覚えはなかった。それでも音の感じ方は人によって違うと思い、それからはなるべく朝に回すようにした。

ところが、ある晩。仕事から帰り、掃除機をかけていると、隣室と接する壁から突然、ドン、ドン、ドン、と3度続けて音がした。

時計を見ると、夜9時を少し回ったところだった。

慌てて掃除機を止めると、壁の向こうから声がした。

「すみません。ちょっとうるさいんですけど」

「この時間でもだめなの?」

思わず時計を見直した。入居時にもらった規約には、生活家電の使用は夜10時までと書かれていた。それでも、また壁を叩かれるのが嫌で、その日は掃除を途中でやめた。

それから週に2回か3回、生活音を立てたあとに壁が鳴ることがあった。椅子を動かしたときや、部屋の中を歩いていたときにも、「また鳴るかもしれない」と身構えるようになった。

規約が読み上げられた日

そんな状態が3か月ほど続き、私は管理会社へ電話をかけた。

「隣の部屋から壁を叩かれることが続いていて…。最近は、普通に生活するだけでも音を出すのが怖くなってきました」

担当者は事情を聞いたあと、尋ねた。

「隣の方とは、直接お話しされましたか?」

「いえ。ほとんど顔を合わせませんし、こちらから行くのもちょっと不安で……」

「分かりました。こちらから双方のお部屋にお話しします」

翌週、担当者が訪ねてきた。私は玄関先で、これまでの出来事を順番に説明した。

「夜9時ごろに掃除機をかけていたら、壁を3回叩かれたこともありました」

担当者は時間を確認してから、規約の冊子を開いた。

「夜9時ですね。それなら規約の範囲内です。ここにも、生活家電の使用は夜10時まで、それ以降はお互いに配慮してください、とあります」

「やっぱり、そうですよね……」

「隣の方にも同じ内容をお伝えします」

そう言って、担当者は共用廊下へ出て隣の部屋へ向かった。

ほどなくして玄関のほうから、「分かりました」と低く返す声がかすかに聞こえた。言い争っている様子はなかった。

数日後には、全戸のポストに生活音についての文書が配られ、掲示板にも同じ紙が貼られた。

そして、その週から壁を叩かれることはなくなった。

ある朝、ゴミを出しに行くと、隣の男性が掲示板の前に立っていた。

少し迷ったものの、私はいつも通り声をかけた。

「おはようございます」

男性は一瞬こちらを見てから、短く返した。

「……おはようございます」

それだけで、私たちはそれぞれの部屋へ戻った。

あれ以来、壁を叩かれることはない。家の中を普通に歩くだけで身構えていた感覚も、少しずつなくなっていった。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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