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「ちょっと話したいだけなんだけど」寮の部屋まで来た先輩。私が翌朝、事務室へ相談した理由

  • 2026.9.13

親切だった先輩が、必ず現れるようになった

入学したばかりの春、私にはまだ友達と呼べる相手がいませんでした。

寮の一階にある共有スペースには長机が並んでいて、誰でも自由に使えます。

私はよくそこで課題をしていました。

そこで知り合ったのが、二学年上の男性の先輩でした。

参考書の場所を教えてくれたり、提出物について声をかけてくれたりして、最初は親切な人だと思っていました。

ある日、私がいつもの席で課題をしていると、先輩が隣の椅子を引きました。

「またここにいた。ほんと、この席好きだね」

「部屋にいると、つい寝ちゃうんですよ」

「分かる。じゃあ俺も、ここでやろうかな」

私は笑って「どうぞ」と答えました。そのときは、それだけの会話でした。

ところが翌日も、その次の日も、私が座ってしばらくすると先輩がやってきました。

「あ、いた」

「…こんにちは」

「今日も隣、いい?」

空いている席はほかにもあります。それでも先輩は、毎回私の隣に座りました。

少し気になって別の場所に座った日もありました。すると先輩は部屋を見回したあと、私を見つけてこちらへ歩いてきたのです。

「今日はこっちなんだ」

「たまたまです」

「そっか。じゃ、ここ座ろ」

そのころから、私は共有スペースへ行く時間を少しずらすようになりました。

けれど、講義棟の階段や食堂の入口でも先輩を見かけることが増えていきました。

「今日もこれからどっか行く?」

「はい、ちょっと予定があって」

「何の予定?」

「……友達と会うので」

「そっか。じゃあ終わったらまた話そうよ」

「すみません、今日は無理です」

笑って断ろうとしていましたが、だんだん笑うことすら難しくなっていました。

部屋のドアを叩く音で、相談を決めた

週末の夜、部屋で課題をしていると、突然ドアを叩く音がしました。

コン、コン。

少し間を置いて、もう一度。

「いる?」

先輩の声でした。

私は返事をせず、ドアの鍵を確かめました。

「ちょっと話したいだけなんだけど」

しばらくすると足音は遠ざかりましたが、その夜は廊下で物音がするたびに身体がこわばりました。

翌朝、私は寮の事務室へ行きました。

「あの…相談したいことがあるんです」

寮長が椅子を勧めてくれました。

「大丈夫。ゆっくりでいいですよ。何がありました?」

私は共有スペースで何度も隣に座られたこと、寮の外でも声をかけられるようになったこと、前の晩には部屋まで来られたことを話しました。

「私が気にしすぎなのかなって、ずっと思ってたんですけど…」

そう言うと、寮長は首を振りました。

「怖いと感じたなら、相談していいんですよ。昨日のことから、順番に書いてもらえますか」

渡された用紙に、覚えている日付や場所、言われたことを書いていきました。

「部屋の前まで来たのは、昨日の夜ですね」

「はい」

「分かりました。こちらでも本人に確認します」

数日後、寮長から、先輩本人にも事情を聞き、今後は必要のない接触をしないよう注意したと説明を受けました。

それから先輩が私の隣へ座ってくることはなくなりました。廊下ですれ違っても、向こうから声をかけてくることはありません。

久しぶりに共有スペースへ行き、窓際の長机に課題を広げました。

隣の椅子は空いていました。

以前なら何でもなかったその光景に、私はようやく肩の力を抜くことができました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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