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命を狙われているヤクザの下っ端が、生き残るため僧侶へ転身!? 700年続く禅寺で仲間と修行を積む「禅か死か」の青春グラフィティ【書評】

  • 2026.9.10

【漫画】本編を読む

『成仏させてよ!』(百地元/新潮社)は、ヤクザ事務所の下っ端だった青年が、ある事件をきっかけに禅寺へ身を隠し、厳しい修行生活に放り込まれる青春漫画である。ヤクザと禅寺というなかなか見ない組み合わせから繰り広げられるのは、笑いあり、涙ありの修行の日々。生きる場所を失った青年が、仲間たちとの出会いを通して少しずつ変わっていく姿が見どころだ。

主人公・春本一信は、ヤクザ事務所で下っ端として働く青年。ところがある日、事務所が襲撃され、一信と組長の幼い娘・むつみだけが生き残ることになる。警察に保護されたふたりが身を隠すために連れていかれたのは、700年以上の歴史を持つ禅の名刹「禅生寺」。命を狙われる身となった一信に残された道は、そこで僧侶として暮らすことだった。

そこで一信を待っていたのは、厳しい規律に縛られた修行生活と、これまでとはまったく異なる人間関係だった。ヤクザの世界で生きてきた彼にとって、何もかもが未知の世界。理不尽にさえ思える修行に悪戦苦闘する姿には思わず笑ってしまうが、そんな日々を重ねるにつれて、彼の中にも少しずつ変化が生まれていく。

面白いのは、禅寺での修行を単なるカルチャーギャップとして描くだけではないところだ。寺に集まった若い僧侶たちにも、それぞれがここへやって来た理由がある。ともに厳しい修行を乗り越えるうちに彼らとの絆が生まれ、逃げるために飛び込んだはずの寺も、一信にとっていつしか自分自身と向き合う大切な場所へと変わっていく。

そして、一信とともに生き残ったむつみの存在も物語に大きな意味を持っている。突然父親やそれまでの日常を失った幼い少女と、彼女を守らなければならない一信。血のつながりのないふたりが新たな環境の中でどのような関係を築いていくのかも注目してほしい。

「死か禅の道か」という究極の選択から始まった一信の修行生活はどうなるのか。ヤクザ×禅寺という大胆な設定で笑わせながら、人が変わることや居場所を見つけることを描いた、笑って泣ける青春修行グラフィティである。

文=羅塊羅無

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