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「すぐ作って、家まで持ってきてよ」客からかかってきた注文ミスの苦情。10分後、客が店に来た時の一言

  • 2026.9.11

レジのわきの受話器が鳴った

昔の話ですが、ファーストフードの店で働いていたときのことです。混み合う時間がようやく過ぎて、カウンターの前が少し静かになったころ、レジのわきにある電話が鳴りました。

受話器を取ると、少し強い口調の声が聞こえてきました。

「さっき買ったんだけど、頼んだものが入ってないんだけど」

さらに、別の商品も注文したものとは違っていたそうです。

私は何度も頭を下げるような気持ちで、内容をメモしました。

「大変申し訳ありません。少し確認しますので、お待ちいただけますか」

近くにいた責任者に確認したうえで、返金で対応できることをお伝えしました。

「お待たせしました。今回は返金で対応させていただきます。次にお越しいただいた際に、レジでお声がけいただけますでしょうか」

すると、電話の向こうで声が一段大きくなりました。

「いや、今食べたいんだけど。すぐ作って、家まで持ってきてよ」

一瞬、返事に詰まりました。

「申し訳ありません。こちらからご自宅へお届けする対応はしていないんです」

「でも、そっちが間違えたんでしょ?」

「はい。本当に申し訳ありません。ただ、お届けすることはできなくて…」

「だから、今すぐ作って持ってきてって言ってるの」

同じやり取りが続きました。

「お気持ちは分かるのですが、それはできないんです。申し訳ありません」

それでも、もう一度。

「すぐ作って、家まで持ってきてよ」

同じ言葉を言われたのは、結局三度でした。

私は責任者の顔を見ると、小さくうなずかれました。

「申し訳ありませんが、ご案内できるのは先ほどお伝えした対応になります」

電話の向こうから、しばらく不満そうな声が続きました。

最後にもう一度お詫びをして、その電話は終わりました。

受話器を置いたあと、思っていた以上に手に力が入っていたことに気づきました。

近くにいたスタッフが、小さな声で聞いてきました。

「大丈夫ですか?」

「うん。ちょっとびっくりしただけ」

そう答えながらも、胸のあたりはまだ落ち着きませんでした。

十分ほどして、その方が店に来た

それから十分ほどしたころです。

入口の自動ドアが開き、一人のお客さまが足早にカウンターへ向かってきました。

手には携帯電話を持っていました。

私は、その表情を見てすぐに気づきました。

先ほど電話をかけてきた方でした。

「さっき電話に出たの、誰?」

店内に響く声でした。

私が前へ出ようとすると、責任者が先にカウンターへ入りました。

「私が責任者です。お話はこちらで伺います」

「電話切った人は?」

私は少し迷ってから答えました。

「私です」

その方は私の名札を見て、名前を確かめるように口にしました。

「あなたね。ちゃんと覚えておくから」

正直、怖さはありました。

それでも責任者が間に入ってくれたため、私は必要なことだけ説明し、そのあとは少し後ろへ下がりました。

ほかのスタッフも心配そうにこちらを見ていましたが、それぞれの仕事を続けていました。

しばらくして、その方は店を出ていきました。

自動ドアが閉まると、ずっと張っていた空気がようやくゆるんだ気がしました。

さっき「大丈夫ですか」と聞いてくれたスタッフが、もう一度こちらへ来ました。

「本当に大丈夫ですか? 怖かったですよね」

「うん…でも、いてくれて助かった」

すると責任者も、静かに言いました。

「こういうときは、一人で抱えなくていいからね。早めに呼んで」

その言葉を聞いて、ようやく肩の力が抜けました。

あの日以来、強い口調で要求されても、自分一人で何とかしようとは思わなくなりました。

できないことを断るのは必要です。でも、それと一人で対応を背負うことは別です。

困ったときには周りに知らせる。それも接客を続けるうえで大切なことなのだと、あの日初めて実感しました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた50代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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