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「二人も乗る?まだ座れるよ」火葬場へ向かうバス。だが、母が誘いを断ったワケ

  • 2026.9.11
「二人も乗る?まだ座れるよ」火葬場へ向かうバス。だが、母が誘いを断ったワケ

久しぶりに会った同級生たち

小学校で同じクラスだった子のお母さんの葬儀に、母と二人で参列したときのことです。

受付で記帳を済ませて顔を上げると、卒業以来ほとんど会っていなかった同級生が何人もいました。

「久しぶり…こんなところで会うとは思わなかったね」

「ほんとだね」

お互いにそれ以上は言葉が続かず、小さく会釈をして席につきました。

会場の後ろには、故人と長く付き合いのあった保護者仲間らしい人たちがまとまって座っていました。

小さな子どもを連れている人もいます。

私は母に顔を寄せました。

「あの人たち、お母さんも知ってる?」

「うん。昔から仲がよかった人たちだよ」

「お母さんも一緒に遊んだりしてたの?」

母は少し考えてから首を振りました。

「私はそこまでじゃないかな。会えば話すくらい」

前の列では、故人のご両親と旦那さんが、参列者に何度も頭を下げていました。

最後のお別れでは、私も同級生たちと一緒に棺のそばへ進みました。

白い花を一本受け取り、静かに置きます。

小学生のころ、友達の家へ遊びに行ったときに「おやつ食べる?」と声をかけてもらったことを、ふと思い出しました。

「みんなで行こうよ」と声が上がった

式が終わって外へ出ると、玄関前にマイクロバスが止まっていました。

火葬場へ向かう人たちのための車で、係の人が乗り口で人数を確認しています。

ご親族が先に乗り場へ向かうなか、後ろの席にいた保護者仲間の人たちも集まってきました。

すると、そのうちの一人が周りに声をかけました。

「ねえ、せっかくだし、みんなで火葬場まで行こうよ」

「私も行く。最後まで見送りたいし」

「じゃあ、子どもも一緒でいいかな」

「大丈夫じゃない?席もありそうだよ」

そう言いながら、大人も子どもも次々とバスへ乗っていきました。気づけば十人ほどのグループになっています。

誰かが無理やり乗り込んでいるようには見えませんでした。係の人も人数を確認しながら案内しています。

ただ、その様子を見ているうちに、私はなんとなく落ち着かない気持ちになりました。

そこへ、グループの一人が私たちに気づきました。

「あ、二人も乗る?まだ座れるよ」

私は反射的に母の顔を見ました。

母は少しだけ迷ったあと、穏やかに笑いました。

「ありがとう。でも、私たちはここで失礼するね」

「えっ、いいの?せっかくだし一緒に行こうよ」

「ううん。私たちはここまでで十分だから」

そう言ってから、母はご親族のほうへ視線を向けました。

「あとは、ご家族や近しい方たちでゆっくりお別れしたほうがいいと思うの」

相手も少し間を置いて、

「そっか。じゃあ、またね」

と手を振りました。

私たちはバスに向かって一度頭を下げました。

やがてドアが閉まり、バスがゆっくり坂を下っていきます。

「お母さん、行かなくてよかったの?」

駐車場へ歩きながら聞くと、母は前を向いたまま答えました。

「うん。最後まで見送りたい気持ちは分かるよ。でも、私たちはお葬式でちゃんとお別れできたから」

そして少しだけ声を落としました。

「どこまで一緒に行くかは、人それぞれだからね」

誰かが間違っていたわけではありません。

ただ、故人との距離も、お別れの仕方も人によって違う。その日の母の判断が、私は妙に心に残りました。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた20代女性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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