1. トップ
  2. エピソード
  3. 「下からドンドン響くんです」夜10時、突然訪ねてきた上階の住人。ずっと座っていた私が疑われた音

「下からドンドン響くんです」夜10時、突然訪ねてきた上階の住人。ずっと座っていた私が疑われた音

  • 2026.9.11
「下からドンドン響くんです」夜10時、突然訪ねてきた上階の住人。ずっと座っていた私が疑われた音

夜10時、天井から2度の衝撃音

その晩、私は座椅子にもたれてテレビを見ていました。時計が夜10時を回ったころです。

ドンッ、ドンッ。

突然、真上から強い音が2度響きました。

「…何だ?」

テレビを消して天井を見上げていると、数分後、玄関のチャイムが鳴りました。

ドアを開けると、上の階に住む奥さんが立っていました。普段は会えば挨拶をする程度の間柄です。

「すみません、ちょっといいですか」

「はい。どうしました?」

奥さんは少し疲れたような顔で言いました。

「夜になると、ドンドン響くんです。床の下からくる感じで…。子どもも起きちゃうんですよ」

「えっ、うちですか?」

「たぶんそうだと思うんです。前から何度かあって」

私は思わず部屋の中を振り返りました。

「でも、私ずっとそこに座ってたんです。さっきも歩いてないですよ」

「…そうなんですか?」

奥さんの表情が少し揺れました。それでも納得はできないようでした。

「でも、本当に下から響いてくるんです。こっちも困ってて…。少し気をつけてもらえませんか」

「分かりました。ただ、今の音はうちじゃないと思います」

奥さんは「お願いします」とだけ言って、上の階へ戻っていきました。

ドアを閉めても、胸のざわつきは消えませんでした。

気をつけても、何も変わらなかった

翌日、管理会社から電話がありました。

「上の階の方から、夜の音について相談がありまして」

「昨日、直接うちにも来られました。でも、その時間はずっと座っていたんです」

私は天井から2度音がしたこと、その直後に奥さんが訪ねてきたことを順番に話しました。

数日後、担当者が部屋を確認しに来ました。

床や家具の状態を見ながら、室内を歩いて確かめます。

「今のところ、特別大きな音が出るような感じはないですね」

「じゃあ、上の方が聞いてる音は何なんでしょう」

「音って、壁や床を伝って別の場所から聞こえることもあるんです。こちらから建物全体にも案内を出します」

その後、共用の掲示板に生活音への配慮を求める注意文が貼られました。

それでも、数日するとまた天井からドン、ドンと響きました。

別の夜には、今度は上階のご主人が訪ねてきました。

「夜分にすみません。妻が音をかなり気にしていて…何度も来てしまって申し訳ないです」

「いえ。でも、こっちもかなり気をつけてるんです」

「分かってます。僕からも話してみます」

その言葉に少し安心しましたが、翌週も状況は変わりませんでした。

私は夜になると足音を殺して歩き、洗濯機は朝しか回さず、椅子の脚にはフェルトまで貼りました。それでも天井から音がすると、「またチャイムが鳴るかもしれない」と玄関を気にするようになりました。

家にいても休まらない日が続き、私は更新を待たずに引っ越すことを決めました。

半年後、鍵を返すとき、管理会社の担当者に言いました。

「部屋自体は、本当に気に入ってたんですけどね」

「そうでしたか…。いろいろありましたからね」

外へ出ると、久しぶりに肩の力が抜けました。

結局、上の部屋に響いていた音がどこから来ていたのかは、最後まで分かりませんでした。

ただ、自分が出していない音まで気にしながら暮らす毎日は、思っていた以上に苦しいものでした。


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ