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「毎回この便に乗ってるんだって!」楽しみにしていた飛行機。だが、男性の大声で気分が台無しに

  • 2026.9.11

安く取れた、食事つきの席

東京から大阪までの短い便で、食事のつく少し高い席が思いがけず安く取れた。

搭乗口でもう一度座席番号を確認するくらい、その日は楽しみにしていた。

席に着くと、乗務員が荷物を見て声をかけてくれた。

「こちら、上の棚にお入れしましょうか?」

「あ、お願いします。実はこの席、初めてなんです」

そう言うと、乗務員は少し笑った。

「そうなんですね。離陸したらお食事をお持ちしますね」

「楽しみにしてました」

そんな短いやり取りだけでも、ちょっと得をしたような気分になった。

やがて機体が滑走路へ入り、窓の外の景色が一気に後ろへ流れていった。

ベルト着用サインが消えると、乗務員はすぐに動き始めた。

ほどなくして食事が配られ、私は目の前の盆を眺めながら箸を手に取った。

そのときだった。

斜め前の男性が、急に大きな声を上げた。

「だから、俺は毎回この便に乗ってるんだって!」

思わず箸を持つ手が止まった。

最初の一言だけは、はっきり聞こえた

男性の声は低く、機内の空調音を簡単に越えるほど大きかった。

ただ、こちらまで聞き取れたのは最初の一言くらいだった。

そのあとも男性は乗務員に向かって何かを言い続けていたが、声が大きいわりに言葉までははっきりしない。

通路をはさんだ隣の席の人と、思わず顔を見合わせた。

「…何かあったんでしょうか」

私が小声で言うと、その人も困ったような顔をした。

「分からないですね。でも、かなり怒ってますね…」

乗務員は男性の横まで行き、少しかがんで話を聞いていた。

「申し訳ありません。もう一度、確認させていただいてもよろしいですか?」

すると男性の声が、また一段大きくなる。

「だからさっきから言ってるだろ!」

今度はその部分だけ聞こえた。

乗務員は「はい、申し訳ありません」と答え、いったんその場を離れた。少しして戻ってくると、また男性の話を聞き始める。

別の乗務員も途中で様子を確認しに来たが、男性の声はなかなか収まらなかった。

前の列の人が一度だけ振り返り、すぐ前を向く。窓側の女性も雑誌を開いているものの、ページをめくる手が止まっていた。

私も食事を口に運んではいたが、何となく味が入ってこない。

「まだ続いてますね…」

隣の人がぽつりと言った。

「ですね。何があったんだろう…」

理由が分からないぶん、余計に気になった。

乗務員が何度も頭を下げている様子から、男性が何かに強く不満を訴えていることは分かる。

ただ、その原因が食事なのか、座席なのか、それ以前の何かなのかは、こちらには最後まで分からなかった。

声を上げてから、30分がたっていた

しばらくして着陸前の案内が流れた。

乗務員は急いで食事の盆を回収し始める。

私のところにも来て、申し訳なさそうに声をかけた。

「お食事、お済みでしょうか。そろそろお下げしてもよろしいですか?」

「はい、大丈夫です。ごちそうさまでした」

そう答えながら斜め前を見ると、男性の盆はほとんど手をつけられないまま残っていた。

乗務員がそちらにも声をかける。

「こちら、お下げしてもよろしいでしょうか」

すると、また男性の声が上がった。

「いや、だから、それより先にちゃんとしてくれよ!」

乗務員は少し間を置いてから、落ち着いた声で返した。

「はい。お話は伺っています。着陸の準備がありますので、まずこちらだけ下げさせてください」

男性はまだ何か言っていた。

腕時計を見ると、最初に声を上げてから、もう30分近くたっていた。

「ずいぶん長いですね…」

私が言うと、隣の人は小さく息を吐いた。

「事情は分からないですけど、乗務員さんも大変ですね」

やがて機体は着陸し、シートベルト着用サインが消えた。

乗客が次々と荷物を取り、通路へ出ていく。

私も荷物を持って出口へ向かった。

途中で一度だけ振り返ると、男性の席にはまだ乗務員が一人残っていた。

「お話はきちんと伺いますので、少々お待ちいただけますか」

そう声をかけながら、男性の話を聞き続けていた。

結局、何が原因だったのかは分からない。

男性に本当に腹を立てるだけの事情があったのかもしれないし、乗務員側に何か行き違いがあったのかもしれない。

ただ、短い飛行時間の半分近く、周囲の乗客にも届くほどの声が続いていたことだけは、今でもよく覚えている。

最初にはっきり聞こえた、あの一言と一緒に。

「毎回この便に乗ってるんだって!」


※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた40代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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