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Mrs. GREEN APPLEの世界観を空間に。Yellow Studioが手掛けた「CEREMONY」の舞台デザインとは?

  • 2026.8.26
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「CEREMONY」は2025年にMrs. GREEN APPLEが立ち上げた、ファッションや音楽、カルチャーを融合させた新たなエンタテインメントショー。今年はMrs. GREEN APPLEを筆頭に、TOMORROW X TOGETHERやAIから、上白石萌音、マキシマム ザ ホルモンまで、ジャンルの異なるさまざまなアーティストが集結。俳優やスポーツ選手など豪華ゲストによるMCを挟みながら、フェスやライブとは一味違う、ボーダレスなイベントが展開された。

Getty Images

今回、Kアリーナ横浜の空間をダイナミックな祝祭の場に変身させたのが、ニューヨークとロンドンを拠点に、放送やライブイベントの制作デザイン及びクリエイティブディレクションを行うYellow Studio。2026年に入ってからもバッド・バニーによるスーパーボウルのハーフタイムショー、そして第68回グラミー賞授賞式のアートディレクションやステージデザインを担当するなど、話題に事欠かないデザインファームだ。

Yellow Studioの創設者でデザイナーのフリオ・ヒメデは、今回携わった「CEREMONY」について「特に興味深かったのは、従来型のアワードショーでも、ひとつのコンサートでも、ツアーでもなかったことです。 ひとつのバンドがホストとなり、2夜にわたる体験そのものをつくり上げ、そこにほかのアーティストやさまざまな形式のパフォーマンスを招き入れ、自分たちの世界の中に迎え入れる。その点が非常にユニークでした」とコメント。そのステージを作るにあたって考えたのが、「Mrs. GREEN APPLEという存在に特化したデザイン言語をつくりながら、同時に2夜を通して展開されるあらゆる出来事を受け止められる柔軟性を持たせること」だったという。

<写真>2026年2月8日に行われた第60回スーパーボウルのハーフタイムショーのステージデザイン。サトウキビ畑や伝統的な家など、バッド・バニーの故郷プエルトリコの風景をフィールド上に再現した。

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クリエイティブコンセプトの出発点となったのは「成長」と「進化」という考え方。その上で、「私たちは、バンドらしさを反映しながら、そこに登場する多様なアーティストやさまざまな場面をひとつにまとめる枠組みにもなるような、イベント全体を貫く明確なビジュアル・アイデンティティをつくりたいと考えました」と話すヒメデ。その際の立脚点となったのが、「熟す前の青りんごのようであり続けたい」という思いが込められた「Mrs. GREEN APPLE」というバンド名だ。

「私たちが興味を持ったのは、決して完全に『熟す』こと、つまり完成することはなく、常に成長し、進化していく余地がある、という考え方です。そこで、自然素材や有機的なフォルム、さまざまな成長の段階や時間の経過を感じさせるイメージを軸に、デザインへと落とし込みました。この考え方は音楽にも通じるものがあると感じました。音楽は、人生のさまざまな段階や経験に寄り添いながら、私たちとともに存在し続けるものだからです」

<写真>フリオ・ヒメデはエルサルバドル出身のプロダクションデザイナー。2019年にニューヨークでYellow Studioを設立。

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ステージにおいて最も印象に残ったのが、木目のデザインが施され、ダイナミックな曲線を描くリボン状の構造体だ。ヒメデは「リボンは会場全体を巡りながら異なるエリアを繋ぐ、連続した建築的要素としてデザインしました。会場の中心ではそれらが立ち上がり、メインステージを縁取ることで、それぞれのパフォーマーを際立たせる力強いフォーカルポイントを生み出しています」と話す。また、「木目は『成長』というテーマと自然に繋がるだけでなく、木に刻まれる年輪や模様を通して、時間の経過や積み重ねられた経験を表現することもできると考えました」とも。

<写真>リボン状の構造体に施された木目は、「成長」という空間全体のテーマとも呼応している。

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さらに、今回のビジュアルには木だけでなく、自然から受けたさまざまなインスピレーションが反映された。スクリーンに投影された縞模様が特徴の鉱物、オニキスのイメージや、ステージを取り囲むように植えられた花々も重要な構成要素だ。

「オニキスのイメージを選んだのは、幾層にも重なって形成されるその性質と、特に光で照らしたときに生まれる視覚的な奥行きに惹かれたからです。さらに花々のキャノピーを観客席の上まで広げることで、視覚的な世界観をステージの中だけにとどめず、観客を含む空間全体へと拡張しています」とヒメデ。これらの有機的な要素が、会場の祝祭的なムードをより高めていた。

<写真>ステージの周囲だけでなく、アーティストたちのテーブルにも色とりどりの花が。

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「多くの異なるアーティストが登場しても、それぞれが切り離された別々のパフォーマンスの連続に見えないようにすることが重要でした。リボン状の構造体によって会場全体に共通する建築的な言語をつくり、ステージ、アーティストのためのエリア、そして観客席までを、ひとつの大きな環境の中に位置づけています。それぞれのパフォーマーが自分たちだけの特別な瞬間を持ちながらも、すべてが明確にMrs. GREEN APPLEの『CEREMONY』というひとつの世界の一部であることを目指しました」というヒメデの狙い通り、圧倒的な世界観のもと繰り広げられた2日間のショー。Yellow Studioによる舞台デザインが、特別な2日間をより濃密で、多幸感に満ちたものにしたことは間違いない。

<写真>会場全体をひとつにまとめる効果を狙った、ダイナミックかつ連続性のあるステージデザイン。

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