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会員制クラブ「ソーホーハウス東京」に潜入!クリエイターが集う空間のインテリアをひも解く

  • 2026.5.12
Soho House Tokyo

1995年、ロンドンに誕生した会員制プライベートクラブ「Soho House(ソーホーハウス)」。ヨーロッパや北米、南米、アジアと世界の主要都市へと拠点を広げ、記念すべき50番目のロケーションに選ばれたのが東京だ。この春、「表参道Grid Tower」内に開業し、早くも注目を集めている。

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日本ではまだ馴染みの浅いプライベートクラブだが、その源流は17〜18世紀、イギリス紳士たちの社交場に遡る。それは、高級レストランやバーとは異なり、推薦や審査によって選ばれた会員のみが集うクローズドなコミュニティ。ビジネスや政治、学問、芸術など、さまざまな分野の人々が交差する場として機能してきた。20世紀以降は女性にも門戸が開かれ、そのあり方も少しずつ変化していく。

そうした流れのなかで「ソーホーハウス」が打ち出したのは、アートやファッション、映画、音楽といったクリエイティブな領域に軸足を置いた独自のブランディングだ。やがて会員権そのものがひとつのステータスとして語られるようになり、ハリウッドの著名人でさえ入会を断られたという逸話や、スーツ族は門前払いだったという噂が広く知られるようになった。

<写真>創設者ニック・ジョーンズがロンドン・グリーク・ストリートにある自身のレストラン「カフェ・ボエム」の上階にオープンした最初の「ソーホーハウス」。

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ドラマ『Sex and the City』では、PR会社を経営するサマンサが入会を拒まれ、偶然手にした会員証でニューヨークのソーホーハウスに潜入するも、騒動になるエピソードも印象的だ。厳密な入会基準は非公開。その曖昧ささえもブランドの魅力として機能しているように見える。

<写真>「ソーホーハウスニューヨーク」は、マンハッタンのミートパッキング・ディストリクトに位置する。

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「ソーホーハウス東京」のロケーションもまた、新たな伝説を予感させる。世界のトップメゾンの旗艦店が並ぶ表参道からほど近い、青山通り沿い。ビルの正面ではなく、会員専用のエントランスを抜けた先に広がるのは、ここが東京であることをふと忘れてしまうような、コスモポリタンな空気だ。

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インテリアを手掛けたのは、「ソーホーハウス」のリードデザイナー、ドーナル・ノーラン。「東京プロジェクトは約6年前にスタートし、コロナ禍を経て2023年ごろから本格的に動き出しました。イタリアやイギリスから集めたヴィンテージ、日本で見つけた骨董、そして特注家具をバランスよく組み合わせています。近年のラグジュアリーホテルがミニマルに傾く中で、『ソーホーハウス東京』ではあえてマキシマリズムの要素も取り入れました。日本の伝統的なクラフトを随所に織り込んでいる点も特徴です」

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ロビーにある重厚なレセプションデスクや鏡のフレーム、客室のベッドサイドテーブルは、京都・宇治の「牧野漆工芸」との協業によるものだ。

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「個人的に愛用していた古い漆のジュエリーボックスがインスピレーションとなりました。日本で調べたところ“唐塗”という技法だと知り、京都で4世代にわたり漆芸を継承する牧野さん一家を紹介いただきました。工房ではさまざまな漆の仕上げや工程を見せていただき本当に感動しました。牧野さんたちも、自分のような西洋人が日本の工芸を新しい技術として見出したことを喜んでくださり、とてもオープンな姿勢で協業していただくことができたのは嬉しかったですね」

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<写真>リビング付きのエクストララージルーム。カウンターには漆にインスパイアされた赤が施されており、客室内のポイントとなっている。

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さらに、ノーランが魅せられたのが和紙の質感だ。ランプや壁紙として取り入れられ、空間に奥行きを与えている。和室の設えから着想したディテールも随所に見られる。

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「畳をベッドのヘッドボードにしたり、クラブスペースの天井には畳の縁で使われている生地をグラフィカルに配置したり。ほか、ワードローブの扉に襖を採用した客室もあります。当初はメタル素材を予定していたのですが重すぎて断念。色々と試行錯誤していた時、日本家屋を訪れた際に襖の軽やかさに気づき、取り入れることにしたんです」

ほか、客室には「パブリック クラフト」と協業しヴィンテージの着物生地をアップサイクルして仕立てたクッションカバーや、裂織(さきおり・古布を裂いて糸状にし、また改めて織る手法)で仕立てたスローブランケットなども設置されている。

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ノーランはこのプロジェクト以前から20回以上日本を訪れているという。旅館など日本的なホスピタリティについても精通しているが、ラウンジエリアの雰囲気を作るのに参考にしたのは意外にも“喫茶店”だった。

「丁寧にコーヒーを淹れてくれる、小さな喫茶店が好きなんです。ヨーロッパのカフェとも違う、あの独特の居心地の良さが東京らしいと感じました」

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<写真>エレベーターホールのタイルと照明もどことなく喫茶店の雰囲気が漂う。

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ゆったりとした座り心地のチェアやどこかノスタルジックな設えは、メンバーをあたたかく迎え入れる雰囲気を醸し出す。というのも『ソーホーハウス』はメンバーたちにとっての家、いわば世界中に帰れる場所が存在している、というのがコンセプト。そこが一般的なホテルとの決定的な違いである。

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<写真>客室のバスルーム。印象的なタイルは「多治見カスタムタイル」でオーダーメイドした。

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「“Home Away from Home(第2の我が家)”という言葉をよく使うのですが、どこにいても、自分の家にいるときと同じようなルーティンを自然に続けられる環境を大切にしています。ロンドンでも、LAでも、東京でも、『ソーホーハウス』としての共通した空気感がありながら、その土地らしさも感じられる。そのバランスがいちばん重要だと考えています」

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<写真>東京を一望できるテラスのプールは、東京らしさ「ソーホーハウス」らしさが融合している。

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そのコンセプトを象徴しているのが“家”という文字を抽象化してグラフィック的に再構築した柄。このパターンをジャカード織の生地に落とし込んで椅子やヘッドボードの張地にしたり、カーペットの柄に落とし込んだりして内装の各所に取り入れている。

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こうしたデザイン哲学に加え、ホスピタリティや会員のためのプログラム、そして何よりメンバーそれぞれの個性や多様なバックグラウンドが、これまで世界各地で「ソーホーハウス」のカルチャーをかたちづくってきた。そして東京でも、日本ならではの感性やメンバー同士の交流が、グローバルなクリエイティブコミュニティと響き合っていくだろう。そしてその先に、また新たなカルチャーシーンが生まれていくに違いない。

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