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脳とホルモンの変化で加齢が加速?!「老活」とは「ガマンをやめる」こと!日本の「高齢者常識」は疑っていいー精神科医和田秀樹先生

  • 2026.8.26

2022年で65歳以上の認知症患者は447万人、高齢者の約8人に1人と推測されています。中高年の脳には何が起きているのか? 「老活とはガマンを止めること」と言う精神科医和田秀樹先生に具体的な「老活」法をお伺いします。

\知っていますか?!/中高年が迎える脳・体・心の大転換期

素敵世代にとって、脳を老化させない生活習慣はいますぐにはじめるのが得策です。まずは、中高年の脳の中、そして体、心で起きていることを学びましょう。

あなたは大丈夫? 脳とホルモン大転換期「感情の老化」をチェック!

女性も男性も、中高年以降に脳とホルモンの大転換期を迎えます。精神科医の和田秀樹先生によると「この大転換期を意識せず、今まで通りにうまくやろうとしても、ストレスがたまり続けるだけ」とのこと。まずは、あなたが大転換期に対応できているかどうかを、チェックリストで調べてみましょう。

<Check!>
 □やたらと怒りっぽくなり、些細な夫婦ゲンカですぐにキレてしまう。 
□もともと旅行好きだったのに、最近はめっきり乗り気がしない。 
□大好きな映画や演劇をぐずぐずしている間に見逃してしまう。 
□変化が受け入れられなくなり、知っている店や場所にしか行かなくなっている。 
□テレビは決まった番組しか見なくなった。 
□新たな出会いが面倒になった。友人を増やそうとは思わない。 
□頑固だ、融通が利かないといわれることがある。

以上の項目にひとつでも心当たりがあったら、脳とホルモンの大転換期に対応できていない可能性があります。

大転換期1【脳】前頭葉の萎縮

脳の老化に男女差はないが、感情の老化にはホルモンが影響!

年齢を重ねると、多くの人が気にするのが、脳の老化、特に「記憶力の低下」です。しかし、実はこれより先に注意しておきたいのが「意欲の低下」。理由は、「老化は感情から訪れる」から。まず衰えるのは「やる気」なのです。

和田先生が高齢者医療の臨床現場で知り得たのは、「脳の中で最も早く老化(萎縮)が始まるのは『前頭葉』である」ということ。脳の衰えは記憶を司る海馬が原因と考えられがちですが、実はそれだけではなかったのです。

前頭葉は、人間の脳の中でも特に発達した領域で、感情や思考といった高度な知的活動を司る部位です。この前頭葉が老化すると、脳の神経伝達物質のセロトニンが減少し、ものごとに対する意欲が低下していきます。これが、いわゆる「感情の老化」です。

意欲が落ちると、頭や体を使うことが億劫になり、使われなくなった脳機能や身体能力がより衰えていきます。その結果、感情のコントロールが難しくなったり、うつ病のリスクが高まったりするなどの変化も出てきます。

加えて、男性の場合は、加齢による男性ホルモンの減少も重なり、意欲低下が起こりやすくなります。対策をとらなければ、感情の老化は加速しやすいのです。老化は誰にでも訪れますが、男性は特に不利な条件を抱えやすいといえるでしょう。

大転換期2【体】性ホルモンの変化

減少が顕著な男性に対し、女性は男性ホルモンの分泌が増える!

女性も男性も、中高年以降に、脳とホルモンの大転換期を迎えます。この変化を意識せず、若い頃と同じ感覚でがんばろうとすると、心身のバランスが崩れやすくなり、知らず知らずのうちに無理を重ね、ストレスだけが積み重なっていきます。この背景には、脳とホルモンの生理学的変化があります。

大転換期の第一は、「性ホルモンの分泌量の変化」です。性ホルモンとは、精巣や卵巣から分泌されるホルモンの総称で、男性ホルモンのテストステロン、女性ホルモンのエストロゲンやプロゲステロンなどがよく知られています。

中高年期に起こる心理や行動の変化は、特に男性ホルモンの分泌量の変化が大きく関係しています。男性ホルモンは筋肉や骨を強くするだけでなく、意欲や好奇心、判断力、社交性を高めるなど、精神面にも深く影響するホルモンです。女性は更年期を過ぎる頃から、男性ホルモンの影響が相対的に強まり、新しいことに挑戦したり、外に向かって活動的になったりする傾向が見られます。一方、男性は20代をピークに男性ホルモンが減少し、定年期には意欲や活力が落ちやすくなります。

だからこそ、老活では「若さを保つ」ことに固執するのではなく、脳と体に起こる変化を正しく理解し、自分の変化に合わせて生き方を調整していく、「変化を受け入れる」姿勢が何より大切なのです。

大転換期3【心】老人性うつ病のリスク

体の不調も現れる高年期のうつ病は若い世代よりも多い!

高年期以降、病院で「よく眠れない」「もの忘れが増えた」「身だしなみに気を使わなくなった」といった不調を相談すると、「年齢的に仕方がない」「認知症の始まりかもしれない」といわれることが多くなります。医療の現場では、今なお「高齢者=認知症」という先入観が根強く、回復の可能性を十分に検討されないまま片づけられてしまうことがあります。しかし、睡眠障害や記憶力の低下、意欲の減退は、うつ病に多く見られる代表的な症状でもあります。もちろん、認知症の可能性も否定はできませんが、実際には「老人性うつ病」によって起こっているケースも少なくありません。

うつ病は若い世代の病気と思われがちですが、高年期の患者数は多く、高齢者が対象の精神科では認知症に次いで多い疾患です。認知症とうつ病は症状が似ていますが、うつ病は治療によって回復が見込める点で大きく異なります。

見分ける手がかりは「症状の進行の速さ」で、認知症は年単位でゆっくり進むのに対し、うつ病は短期間で急激にさまざまな症状が現れることがあります。

高年期のうつ病は、気分の落ち込みよりも体の不調として現れやすいことも特徴です。だからこそ老活では、「年齢のせい」「認知症の始まり」と決めつけず、心の不調に目を向ける視点が欠かせないのです。

「老活」でこれからの人生を幸せに生きる心得

加齢による変化は、単なる衰えではありません。前頭葉の萎縮、ホルモンの転換、そして感情の揺らぎ。その正体を知れば、対策は見えてきます。だから「老活」が効くのです。

「老活」とは「ガマンをやめる」こと  日本の「高齢者常識」は疑っていい!

なぜ老活が効くのか。その理由は、脳の老化の本丸である「前頭葉」に直接働きかけるからです。

前頭葉は感情や判断、意欲を司る脳の司令塔であり、加齢とともに最も早く萎縮が始まる部位です。ここを刺激し続けることが、老化の進行をゆるやかにするカギになります。前頭葉を活性化させる最大の刺激は、「楽しい」「できる」「おもしろい」という前向きな感情です。好きなことに挑戦するとき、したいことをしているとき、前頭葉によい刺激が与えられるのです。

反対に、義務感やガマンばかりの生活は前頭葉の活動を低下させ、セロトニンの分泌も減少し、意欲を奪ってしまいます。老活は、がんばることよりも「楽しむこと」を優先する。その姿勢こそが、感情の老化を防ぐ第一歩なのです。

もうひとつの軸は、「ガマンや無理をしない」という発想です。

高年期以降はホルモン環境が大きく変わります。この時期、年齢を理由に脂質を控え、肉を避ける人もいれば、あっさりした食事を好むようになり、結果として肉の摂取量が減っている人もいます。

しかし、肉に含まれるタンパク質や脂質は男性ホルモンの材料となり、セロトニンの原料も含んでいます。強い食欲として表れなくても、気力の低下や疲れやすさは栄養不足のサインかもしれません。必要な栄養を意識して補うことが、ホルモンバランスを支え、心の安定につながります。

さらに、「学ぶことをやめない」ことも重要です。新しい知識や体験は前頭葉を刺激し、神経ネットワークを再構築します。学習をやめれば、脳の機能低下は加速します。

そしてもうひとつ、「捨てる」こと。中年期までの常識や思い込みに固執すると、変化に対応できません。いまの自分に合った選択をし直す柔軟さこそ、前頭葉を若々しく保つ力になります。

「老活」とは、衰えにあらがうことではなく、変化の仕組みに沿って生き方を整え直すことです。楽しみ、食べ、学び、手放す。その実践が脳を動かし、感情の老化を食い止めます。だから老活は効くのです。

“楽しむ・食べる・学ぶ・捨てる” 
ガマンと無理を止めて、脳を若返らせるのが「老活」です!

※この特集は、『「終活」の前に知っておきたい! 100歳まで元気に暮らす「老活」50のコツ』に掲載されたものに加筆、再構成しています。

※素敵なあの人2026年9月号「いますぐはじめたい 脳を若々しく保つ「老活」習慣」より
※掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売を終了している場合があります。
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください


教えてくれたのは  精神科医  和田秀樹先生

1960年生まれ。東京大学医学部卒。高齢者医療や受験指導で知られ、現在は和田秀樹こころと体のクリニック院長、幸齢党党 首を務める。『60歳からはわたしらしく若返る』『60歳から女性はもっとやりたい放題』ほか著書多数。

この記事を書いた人 素敵なあの人編集部

「年を重ねて似合うもの 60代からの大人の装い」をテーマに、ファッション情報のほか、美容、健康、旅行、グルメなど60代女性に役立つ情報をお届けします!

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