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歯科医「どうか避けてください」→実は『歯を傷つける』原因になっている…“良かれ”と思ってやりがちな「NG行動」とは?

  • 2026.9.7
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「朝起きるとお口がねばつく」「眠っている間に歯が黄色くなっている気がする」など、就寝中のお口の環境や見た目の変化に悩んでいませんか?

白く美しい歯を保ちたい一心で、夜の歯磨きに人一倍力を入れている方も多いかもしれません。しかし、その良かれと思った習慣が、実は知らず知らずのうちに歯を傷つけている可能性があります。

今回は、そんな夜のオーラルケアにまつわる誤解と、お口のトラブルを防ぐ正しいケア方法について、歯科医師の鷹巣多紀さんに詳しくお話を伺いました。

寝ている間に歯は黄ばむ?夜にお口のトラブルが増える理由

---「寝ている間に歯が黄色くなってしまうのでは」と心配する声をよく耳にします。実際に、眠っている間に歯が急に変色することはあるのでしょうか?また、夜間に注意すべき理由を教えてください。

鷹巣 多紀さん:

「『寝ている間に歯が黄色くなってしまうのでは』とご心配される方は少なくありませんが、眠っているだけで歯の内部が急に変色することはありません。夜に問題になりやすいのは、歯垢や飲食物の色素を残したまま、唾液の少ない時間を長く過ごしてしまうことです。

唾液の分泌量は、一日のうちで睡眠中がいちばん少なくなります。唾液には、食べかすを洗い流す、細菌がつくった酸を中和する、酸で溶けはじめた歯の表面にミネラルを戻す、といった働きがあります。この助けが弱まる夜は、日中よりも汚れや酸の影響が残りやすく、朝起きたときのねばつきや口臭にもつながっていきます。

もうひとつ気をつけたいのが、寝る直前の間食や甘い飲み物です。歯垢の中の細菌は糖をもとに酸をつくるため、食べたり飲んだりしたあとに磨かずそのまま眠る習慣が続くと、むし歯のリスクは上がってしまいます。コーヒーや紅茶、赤ワインを飲んだあとにそのまま寝る、喫煙する、といった生活も、歯の表面に着色が重なっていく一因になるでしょう。歯と歯の間や歯ぐきとの境目に歯垢が残っていれば、歯ぐきの腫れや出血、口臭も起こりやすくなります。

また、鼻づまりなどで口を開けて眠っていると、お口の中はさらに乾きやすくなります。ストレスや喫煙、一部のお薬の副作用で唾液が減ることもありますので、日中から乾きを感じている方は少し気にかけてみてください。」

強く磨くのはNG?ホワイトニング歯磨き粉と正しいブラッシングの真実

---黄ばみを落としたいと思うあまり、ついつい力強く磨いてしまうことがあります。やはり、市販のホワイトニング歯磨き粉を使い、強い力で磨いたほうが白くなるのでしょうか?

鷹巣 多紀さん:

「ただし、歯の黄ばみには、もともとの歯の色や加齢、むし歯、過去のケガなども関係します。歯磨きで落ちない色をすべて『汚れ』と考えて強くこするのは、どうか避けてください。寝る前のケアで目指したいのは、眠っている間に歯を白くすることではなく、歯垢と新たな着色のもとをできるだけ残さず、お口のトラブルが起こりにくい状態で眠ることです。
歯を白くしたい気持ちからつい磨く力が強くなり、かえって歯や歯ぐきを傷めてしまう、これは実際にあることです。

ただ、『研磨剤入りの歯磨剤(歯磨き粉)はすべて危険』という意味ではありません。大切なのは、研磨成分の有無だけでなく、研磨性の強さと磨き方の組み合わせです。毛先のやわらかい歯ブラシと、研磨性が強すぎないフッ化物配合歯磨剤を使い、毛先が大きく広がらない程度の軽い力で磨いているなら、通常のブラッシングでエナメル質が大きくすり減る可能性は低いとされています。

心配なのは、黄ばみを削り取ろうとして、硬い歯ブラシで力任せに横磨きする、同じ場所を長時間こする、1日に何度も強く磨く、といった使い方です。こうした習慣は、歯ぐきを傷つけたり、歯の付け根の摩耗を進めたりする一因になり得ます。摩耗によって内側の象牙質が露出すると、冷たいものがしみることもあります。いったん失われた歯の硬い組織は、歯磨きでは元に戻せません。

また、市販のホワイトニング歯磨剤の多くが得意としているのは、主に歯の表面についた着色を落とすことです。歯科医院で行うホワイトニングは、薬剤によって歯の内部の着色物質を分解し、色調を明るくする処置ですので、そもそも仕組みが異なります。歯磨きの力を強くしても、その分だけ歯そのものが白くなるわけではないのです。

酸味の強い清涼飲料水やスポーツ飲料、果汁、嘔吐などで歯が酸に触れた直後も、注意していただきたいタイミングです。歯の表面が一時的にやわらかくなっている可能性がありますので、すぐに強く磨かず、まずは水ですすいでください。普段は、歯と歯ぐきの境目に毛先を当て、小刻みにやさしく動かすだけで十分です。知覚過敏や歯ぐきの痛み、歯の付け根のへこみが気になるようでしたら、自己流のケアを続けず、歯科医院で歯の色と摩耗の原因を確かめてもらいましょう。」

今夜からできる!「フッ素を残す」2分間の正しい夜間ケア習慣

---お口の健康を守り、歯本来の明るさを保つためには、寝る前にどのような手順でケアをすればよいのでしょうか?具体的な磨き方を教えてください。

鷹巣 多紀さん:

「今夜から始めるなら、寝る前の2分を『黄ばみをこすり落とす時間』ではなく、『歯垢を落とし、フッ化物を歯に残す時間』と考えてみてください。道具を次々に増やすよりも、毎晩同じ順番で磨くほうが、磨き残しは減らしやすくなります。

成人の場合、フッ素濃度1,400~1,500ppm(濃度を表す単位)の歯磨剤を、歯ブラシ全体に1.5~2cmほど出す方法が、国内4学会から推奨されています。市販品では『高濃度フッ素1450ppm』などの表示が目印です。

やり方は難しくありません。タイマーを2分に設定し、口の中を右上・左上・右下・左下の4区画に分けて、各30秒ずつ磨きましょう。歯の外側だけでなく、内側とかむ面にも順番に毛先を当てていきます。忘れやすい奥歯の内側から始めること、歯と歯ぐきの境目では毛先を小刻みに動かすことがコツです。毛先が外へ開くほど力を入れる必要はありません。研究でも、1分より2分磨いたほうが歯垢を多く減らせるという結果が示されています。とはいえ2分は上限ではありませんので、すべての歯面に届かないようであれば、少し延ばしていただいて構いません。

磨き終えたら、泡を軽く吐き出します。うがいをする場合は少量の水で1回だけにしておくと、フッ化物をお口の中に残しやすくなります。就寝前の歯磨きは、その日の最後の飲食後に行い、そのあとは水だけにしましょう。

なお、歯ブラシの毛先が届きにくい歯と歯の間は、毎日 1回を目安に、すき間が狭い場所ならデンタルフロス、入る場所ならサイズの合う歯間ブラシで補います。歯間ケアまで無理に2分へ詰め込む必要はありません。歯磨きの前など、毎日続けやすい時間に分けていただいて大丈夫です。歯間清掃を加えると、歯ぐきの炎症を減らす助けになる可能性があります。ただし、道具の向き・不向きは歯間の広さや手の使いやすさでも変わりますので、迷ったときは歯科医院で選び方を教えてもらうとよいでしょう。

この習慣で守れる『白さ』は、歯垢や新しい着色をためこまず、歯本来の明るさを保つことです。すでに歯の内部まで変色している場合は、2分間のセルフケアだけで色を変えることはできません。1本だけ色が変わった、しみる、出血が続く、口の乾燥が強いといった症状があれば、一度歯科医院で原因を確かめてください。」

「削り落とす」から「守る」へ。夜の2分間で歯本来の輝きをキープしよう

歯を白くしたいという想いから、ついゴシゴシと力を込めて磨いてしまいがちですが、本当に必要なのは「黄ばみを削り落とすこと」ではなく、「お口のトラブルの原因となる汚れを落とし、フッ素をお口に残すこと」でした。

今夜から、寝る前の2分間を意識して、やさしく丁寧なブラッシングを始めてみませんか。道具を増やすことよりも、正しい順番で、フッ素を流しすぎない丁寧なケアを続けることが、歯の健康と本来の明るさを守る確実なステップになります。

もし、冷たいものがしみたり、歯ぐきの痛みや一部だけの色調の変化が気になったりしたときは、無理なセルフケアを続けず、一度歯科医院に相談してみましょう。


監修者:鷹巣 多紀 大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。 歯科医師ママkiki|note: https://share.google/uUYsDiSMnkNKZCrOw X: https://x.com/kikimama0405"

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