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「歩くだけでふくらはぎが痛む」“年齢のせい”と放置した60代男性→数ヶ月後、待ち受けていた“事態”に「病院に行っていれば…」

  • 2026.9.28
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。周術期管理や救急・全身管理において、多様な疾患をお持ちの患者さまの安全管理に携わっている麻酔科専門医の松岡雄治です。

「最近、買い物で少し歩くだけでふくらはぎが痛む。年齢のせいだし、途中で休めば治るから大げさにしないでおこう」そう痛みを我慢しながら散歩や外出をごまかし続けたAさん(60代男性)。

しかし数ヶ月後、休んでも痛みが引かなくなり、ついには足の指先が黒く変色し壊死してしまいました。緊急手術を受けるも痛みに怯え、大好きな散歩や旅行という日常を失ってしまったのです。

現在は治療によって一命を取り留めましたが、「あの時、ただの運動不足だと思わずに病院に行っていれば…」と振り返ります。今回は、足の痛みの裏に潜む「下肢閉塞性動脈硬化症」のメカニズムについて解説します。

足の血管が詰まる「下肢閉塞性動脈硬化症」の恐怖

なぜ「歩くと痛むが、休むと治る」症状が、足の壊死に繋がるのでしょうか。

それは動脈硬化で足の血管が狭くなる「下肢閉塞性動脈硬化症(ASO)」が原因です。足は「全身の血管の状態を映す鏡」であり、この病気を持つ方の半数以上は心臓や脳の血管も詰まりかけています。

【足の筋肉が酸欠に陥る血行動態フロー】

  • 主幹動脈の狭小化:動脈硬化や喫煙、糖尿病により、足へ血を送る太い血管が細くなります。
  • 歩行時の深刻な酸素不足:歩行時に足の筋肉が求める酸素量が急増するも、血流が追いつかず強烈な痛みが起きます。
  • 休息による軽快と進行:休むと筋肉の酸素需要が減り痛みが和らぎますが(間欠性跛行)、放置すると安静時も激痛が走り組織が壊死します。

「年齢のせい」と思い込む心理と「整形外科疾患」の境界線

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「ちょっと運動不足だから痛むだけ」「休めば歩けるから大丈夫」。そうやって様子を見てしまうのは、決して悪いことではありません。しかし、知っておいていただきたいのは「整形外科の病気」との決定的な違いです。

腰の神経痛(脊柱管狭窄症など)も歩くと痛みますが、かがんだり座ったりしないと痛みが引きにくいものです。一方、血管の詰まりによる痛みは、「立ったまま数分休むだけ」で痛みがスーッと引く特徴があります。

特に注意が必要なのが、タバコを吸う方と糖尿病の方です。

タバコは血管を強力に締め付けます、そして糖尿病の方は神経が鈍くなっているため、「歩くと痛む」という警告サインを感じないまま、ある日突然足が壊死してしまうリスクが非常に高いのです。「休めば歩けるから平気」「痛くないから大丈夫」という油断の裏で、足の細胞は確実に酸欠で悲鳴を上げています。

手遅れになる前に確認すべき3つのサイン

取り返しのつかない足の壊死や、心筋梗塞などの致命的な事態を防ぐため、以下の3つのサインを見逃さないでください。

1. 少し歩くとふくらはぎが痛み、立ったまま休むと治る

足の筋肉が血流不足(酸欠)を訴えている、血管の詰まりの最も典型的な症状です。

2. 足の甲やくるぶしの脈が触れず、足先が冷えてしびれる

太い血管が狭まり、末梢まで温かい血液が届いていない証拠です。

3. タバコを吸う、または糖尿病があり、足の傷が治りにくい

血流が滞り、皮膚を修復するための酸素や栄養が枯渇しています。

最近、休み休みしか歩くことができていないと感じたら

「ただの運動不足だ」と様子を見てしまうのは、ごく自然な油断です。

しかし、もし足の痛みに心当たりがあれば、循環器内科を受診し、腕と足の血圧を同時に測る「ABI検査」を受けてみてください。痛みもなく5分ほどで終わる簡単な検査で、血管の状態を推定することができます。

受診後は、薬によって血液をサラサラにして歩行距離を伸ばしたり、痛むまで歩いて休む「歩行トレーニング」によって、再び自分の足で快適に歩けるように励みましょう。


※プライバシー保護のため、実際の症例をもとに一部の設定やエピソードを改変・再構成しています。
※すでにじっとしていても足が痛む(安静時痛がある)、または足の指先の変色・治らない傷(潰瘍)がある場合は、後日ではなく直ちに循環器内科や血管外科を受診してください。

監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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