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医師「危険な前兆なのです」→実は『脳梗塞』のサインかも…“ただの疲れ”と見過ごしがちな「舌に起こる異変」とは?

  • 2026.9.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

普段の食事や会話の中で、自分の舌の動きを意識することはほとんどありません。そのため、少しの違和感があっても「ただの疲れだろう」と見過ごしてしまいがちです。

しかし、実は「舌がまっすぐ出せない」という状態は、脳のなかで非常に恐ろしい事態が進行しているサインかもしれないのです。なぜ、舌の異変が脳の異常と結びつくのでしょうか。そして、私たちはどう対処すべきなのでしょうか。

今回は、麻酔科専門医である松岡雄治さんに、舌の異変に隠されたメカニズムと、命を守るための緊急対策について詳しく解説していただきました。

舌が曲がって出てくるのはなぜ?脳で起きている異変のメカニズム

---「舌がまっすぐ出せない」「左右どちらかに曲がってしまう」という症状は、どのような原因で起こるのでしょうか?

松岡雄治さん:

「高血圧などの生活習慣病によって脳の細い血管が硬くなり、舌を動かす神経の通り道に血液が届かなくなるためです。

普段通りに食事や会話を楽しんでいる中で、舌を意識することは多くありません。症状に気がつくのはろれつがまわらないといった感覚が多いかもしれません。私たちの舌の動きは脳からの精密な電気信号(皮質延髄路)によってコントロールされています。高血圧や塩分過多といった生活習慣病が続くと、脳の奥深くへ血液を送る細い血管が少しずつ狭くなり、微小な脳梗塞を引き起こしやすくなります。

この微小な梗塞が、舌を動かす神経の通り道(内包や脳幹)に起きると、片側の神経の指令が遮断されてしまいます。舌は左右の筋肉が対になって前へ押し出す仕組みになっているため、片側の指令が途絶えると正常な側だけが強く押し出し、結果として舌先が『麻痺している側』へと曲がってしまいます。

舌の動きの異変は、こうした脳の微小な虚血(血流不足)のサインであり、より大きな脳梗塞へ繋がる危険な前兆なのです。」

ただの疲れと見過ごすのは厳禁!一刻を争う緊急事態とそのリスク

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

---もし「舌が曲がっている」と感じた場合、様子を見てはいけないのでしょうか?受診が遅れることによるリスクを教えてください。

松岡雄治さん:

「舌がまっすぐ出せない状態は、すでに脳の重要な神経系で血流障害が進行しているサインのため、一刻を争う緊急事態です。

『ただの疲れだろう』『明日まで様子を見よう』と判断するのは、不安から目を背けたくなるごく自然な心理です。しかし、舌の曲がりや顔の片側の麻痺、ろれつが回らないといった症状は、脳卒中の啓発標語『FAST(顔・腕・言葉・時間)』に代表される緊急の警告サインです。

脳の血管が詰まると、1分経過するごとに多数の神経細胞が回復不可能なダメージを受けていきます。そのまま様子を見てしまうと、数時間以内に手足の完全麻痺や意識障害へと広がり、最悪の場合は自力で食事ができないなど重い後遺症を残すリスクが高まることもあります。

また、発症から早期(4.5時間以内の点滴や24時間以内のカテーテル治療など)であれば、劇的な後遺症軽減が期待できる治療(血栓溶解療法や回収療法)を受けることができます。そのため、『少し様子を見よう』という自己判断による受診の遅れは、この治療を受けるチャンスを物理的に奪い去ることになってしまうのです。」

トレーニングは予防にならない?明日から始めるべき正しい防衛策

---脳梗塞を予防するために、舌のトレーニングなどは有効ですか?また、日頃からできる具体的な対策を教えてください。

松岡雄治さん:

「舌のトレーニングは、発症後のリハビリとして有効ですが、予防として効果があるわけではありません。日頃の血圧管理を行い、鏡に向かっての『舌と顔の動作確認』をし、少しでも異変があれば迷わず119番通報することが防衛策です。

つまり、明日からできる最良のアクションは、下記の二つです。

  • 毎朝鏡に向かって『いー』と声を出して口角の下がりを確認し、次に『べー』と舌をまっすぐ突き出して左右に曲がっていないかをチェックする。
  • 毎朝の家庭血圧について、135/85mmHg以上が続く場合は主治医に相談して生活習慣や薬の調整を行う。これは、早朝高血圧(仮面高血圧)のサインであり、脳卒中リスクが高いためです。

もし、鏡の前で舌の曲がりや顔の麻痺を一つでも見つけたら、『救急車を呼ぶのは大げさかもしれない』と遠慮したり、自力で病院を探したりしないでください。すぐに『119番』へ通報し、脳卒中専門医療機関へ搬送してもらうことが大切です。専門医療チームは、あなたの命と大切な日常を守るためベストを尽くしてくれますが、何よりもまずはすぐに受診していただくことが大切なのです。」

毎朝の顔と舌のチェックで、大切な命と日常を守ろう

「ただの疲れ」と見過ごしてしまいそうな舌の曲がりや、ろれつの回らなさは、脳の重要な神経系で血流障害が起きている深刻なサインです。

舌のトレーニングは予防にはなりません。私たちが明日からできる最善のアクションは、毎朝鏡の前で顔と舌の動作を確認すること、そして家庭血圧をしっかり管理することです。

もし異変に気づいたときは、決して様子を見たり遠慮したりせず、すぐに「119番」へ連絡してください。一刻も早い受診こそが、恐ろしい後遺症からあなたの命と大切な日常を守る唯一の方法なのです。


監修者:松岡雄治
麻酔科専門医。総合病院、大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じ、幅広い周術期管理に従事。現在は急性期病院で麻酔科医として勤務する。日々、美容領域を含む各診療科の手術に携わっている。医師としての知識と経験を活かして医療系ライターとしても活動し、医療・健康・美容分野の記事執筆、医学論文の解説、商品監修、AI技術開発関連プロジェクトへの参加などの実績を有する。睡眠コンサルタント、睡眠検定1級の資格も保有。

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