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医師から『心不全』と宣告された50代男性→1ヶ月前から、身体に起きていた“小さな異変”に「あの時、病院に行っていれば…」

  • 2026.9.29
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。周術期管理や救急・全身管理において、多様な疾患をお持ちの患者さまの安全管理に携わっている麻酔科専門医の松岡雄治です。

「最近ずっと微熱とだるさが続いているけれど、しつこい夏風邪だろう。この前の抜歯で疲れが溜まっているのかな」市販の風邪薬を飲み、仕事へ向かったAさん(50代男性)。

しかし、1ヶ月後には激しい息切れに襲われ、うずくまるAさんの姿が。救急搬送されたところ、「感染性心内膜炎」による重篤な心不全と判明しました。

現在は、緊急手術と治療によって一命を取り留め日常に復帰していますが、「あの時、病院に行っていれば…」と語っています。今回は、長引く風邪の裏に潜む「感染性心内膜炎」のメカニズムについて解説します。

ただの風邪ではない「心臓の弁での細菌増殖」

なぜ、風邪だと思っていた微熱が心臓の病気に繋がるのでしょうか。それは「感染性心内膜炎」という心臓の弁に細菌が感染する病気だからです。

【細菌が心臓をむしばむ悪循環フロー】

  1. 血液中への細菌の侵入:抜歯や出血を伴う歯科治療、口内の傷などから、細菌が血管の中へ入り込む。
  2. 心臓の弁への定着と増殖:血液に乗った細菌が心臓の弁に付着し、血栓と混ざり合って塊(疣贅:ゆうぜい)を作る。
  3. 弁の破壊と血栓の飛散:塊が弁の開閉を妨げて心不全を招き、一部が剥がれて脳に飛散することで脳梗塞を引き起こす。

「しつこい風邪」と思い込む心理と「危険な感染症」の境界線

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

「熱が微熱程度なら休むほどではない」「歯医者に行ったことと、熱が続くことが関係あるわけがない」。

そう考えて市販の解熱鎮痛薬で受診を先延ばしにするのは、当然の心理です。ご自身を責める必要はありません。

しかし、市販の風邪薬や解熱剤を飲み続けてしまうと、典型的な高熱が出ず「37度台の微熱」に抑えられてしまい、発見が遅れてかえって心臓の破壊が進む原因になります。

また、この病気は誰にでも起きるわけではありません。特に「人工弁を入れている方」「ペースメーカーが入っている方」「過去に心雑音や弁膜症を指摘されたことがある方」は、血液中に入り込んだ細菌が弁に定着しやすいという特徴があります。

単なる風邪だと思い込んで放置すると、心臓の弁が破壊されて人工弁への置換手術が必要になるだけでなく、細菌の塊がはがれて脳の血管を詰まらせる致命的な事態を招きます。「いつもの風邪とは違うだるさ」が続くときは、単なる疲労として見過ごしてはいけない重要な転換点なのです。

心臓へダメージを与える前に確認すべき3つのサイン

心臓への深刻なダメージを防ぐため、ただの風邪だと思い込まずにチェックすべき初期サインは以下の3つです。

1. 1〜2週間以上続く原因不明の微熱

通常の風邪なら数日で治りますが、細菌が心臓に巣食っているため、微熱や疲労感がダラダラと持続します。

2. 少し動いただけで感じる「息切れや動悸」

心臓の弁がうまく機能しなくなり、全身に十分な血液を送り出せなくなっている心不全のサインかもしれません。

3. 指先や足裏にできる「痛みのない赤い斑点」や「爪の下の黒い線」

心臓の細菌の小さな塊が剥がれて手足に飛散した証拠(微小塞栓)の可能性があり、見逃してはならない危険なサインです。

抜歯後に最近疲れっぽいなと思ったら

「ただの疲れだろう」と様子を見てしまうのはごく自然なことであり、ご自身を責める必要はありません。頑張り屋の方ほど無理をしてしまいがちです。

もし抜歯などの後に微熱が長引いているなら、まずは内科で聴診や超音波検査を受けてみてください。また、心臓に持病がある方は、歯医者さんに行く前に「心臓の病気がある」と伝えるだけで、あらかじめ抗菌薬を飲んで心臓への感染を防ぐことができます。

ご自身の情報をきちんと共有することでより安全に医療サービスを活用することができます。


※プライバシー保護のため、実際の症例をもとに一部の設定やエピソードを改変・再構成しています。

監修者・執筆:松岡 雄治
総合病院や大学病院、小児専門医療機関での勤務を通じて、幅広い診療科の周術期管理に従事。現在は急性期病院の麻酔科医として最前線の医療に携わっている。専門医としての高度な医学的知見を活かし、医療・健康・美容分野でのコラム執筆や医学論文の解説などを幅広く手掛ける。医療AI技術開発プロジェクトへの参画など多岐にわたる実績を持ち、読者に寄り添った分かりやすい医療解説に定評がある。保有資格は麻酔科専門医、睡眠コンサルタント、睡眠検定1級など。

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