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夕食中に「カリッ」歯の一部が欠けてしまった40代男性→翌日、歯医者に行ったところ…医師から告げられた“意外な原因”とは?

  • 2026.9.7
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。歯科医師の鷹巣多紀です。

根管治療は、歯の内部に入り込んだ細菌や傷んだ組織を取り除き、歯の根の管を清掃・消毒して材料で封鎖する治療です。痛みが弱まっても、感染への処置が終わったとは限りません。

治療途中の仮のふたがすり減ったり外れたりすると、唾液中の細菌が入り、根の中が再び汚染される可能性もあります。今回は、通院を中断した40代男性の事例から、痛みがなくても治療を続ける理由を解説します。

痛みが消え、次の予約を取り消した

Aさんは40代の会社員です。

夕食中、Aさんは奥歯で「カリッ」という硬い感触を覚えました。料理に骨でも入っていたのかと思いましたが、舌で触れると歯の一部が欠けています。

強い痛みはありません。それでもAさんの頭に浮かんだのは、半年前に通うのをやめた歯の根の治療でした。

6ヶ月前、夜も眠れないほど奥歯が痛み、歯医者で根管治療を始めました。

最初の処置で歯の内部を開け、傷んだ組織を取り除いた後、根管内へ薬を入れて仮のふたをします。数日後には激しい痛みがほぼ消えました。

次の予約日は仕事の会議と重なっていました。「仮のふたも入ったし、もう治ったのだろう」と考えて予約を取り消し、そのまま6ヶ月が過ぎます。

歯が欠けた日も痛みがなかったため、Aさんは週末まで待つつもりでした。しかし家族に促され、翌朝、以前の歯医者へ連絡します。

診察では、残った歯の一部が欠け、仮のふたにもすり減りが見られました。根管内へ唾液や細菌が入り込んだ可能性も考え、根の中と周囲の骨を調べ直したうえで、清掃・消毒と修復の計画を立て直すことになりました。

中断すると、感染が残るだけでなく再感染することもある

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

根管は1本のまっすぐな管ではなく、細く曲がったり枝分かれしたりしています。そのため、感染した組織や細菌を取り除き、洗浄・消毒して封鎖するまでに複数回の通院が必要な場合が多いです。

初回の処置で痛みの原因となる組織を取り除くと、治療途中でも症状は軽くなることがあります。しかし、根管の清掃や消毒がまだ続いている段階なら、感染への処置は終わっていません。

さらに、仮のふたは次の診療まで根の中を守るためのものです。長期間使う最終的な詰め物や被せ物とは異なり、すり減ったり欠けたりして封鎖が弱まることがあります。

すき間から唾液中の細菌が入れば、一度処置した根管が再び汚染され、再感染につながる可能性があるのです。

「痛くない」は感染がない証拠ではない

根管治療では、歯の内部の神経を取り除くことがあります。また、根の先の感染が慢性的に続く場合、初期には目立った症状が出ないこともあります。

つまり、痛みがないまま根の先に炎症が残ったり、再感染が進んだりする可能性もあるのです。状態によっては、後から痛みや腫れ、膿が出て、根管治療のやり直しが必要になる場合があります。

日本歯内療法学会の2026年度調査では、痛みがなくなった時点で通院を中断した経験のある方がおり、中断後に再び痛みが出た、腫れや膿が出たという回答も報告されました。

症状が消えたことと、感染への処置が終わったことは分けて考える必要があるのです。

再感染だけでなく、歯が欠ける問題も

根管治療中の歯は、虫歯や古い詰め物、治療のために開けた穴によって、残る歯の壁の量が少なくなっている場合があります。薄くなった歯の壁へ噛む力がかかれば、歯が欠けたり亀裂が深くなったりすることもあります。

「神経を取ったから、すべての歯がもろくなる」と単純にはいえません。失った歯質の量、亀裂の有無、歯の位置や噛む力などが関係します。

最終的な詰め物や被せ物には、細菌の侵入を防ぐ封鎖と、残った歯を噛む力から守る役割があるのです。

治療途中の歯では硬い物を噛むのを避け、仮のふたが外れた、歯が欠けた、痛みや腫れが出たときは、処置を受けた歯医者へ連絡してください。

予約を取り直す際は、①最後に治療した時期、②仮のふたの状態、③痛みや腫れ、膿の有無、④歯が欠けた時期、⑤現在噛めるかを伝えましょう。顔の腫れ、発熱、飲み込みにくさがある場合は、その症状を先に伝えます。

痛みではなく、治療の完了を確認する

Aさんは痛みが消えたため、根の中の感染も治まったと思っていました。しかし実際には、感染への処置と最終的な修復が残り、中断中には再感染と破折の両方が問題になります。

通院が途切れていても、痛みがないからと先延ばしにせず、中断した時期と現在の変化を伝えてください。仮のふたは治療終了の合図ではありません。

根管を清掃・消毒して封鎖し、歯の形を戻すところまで進んだかを歯医者で確認することが大切です。


執筆・監修:鷹巣 多紀

大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。
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