1. トップ
  2. ヘルスケア
  3. 就寝前にあくび→「カクッ」顎が閉じられなくなった50代女性 慌てて夜間救急に行くと…医師に告げられた“驚きの診断”とは?

就寝前にあくび→「カクッ」顎が閉じられなくなった50代女性 慌てて夜間救急に行くと…医師に告げられた“驚きの診断”とは?

  • 2026.9.3
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。歯科医師の鷹巣多紀です。

就寝前、Aさんが大きくあくびをした際、突然、顎が「カクッ」と外れたような感触がありました。その直後から口を閉じようとしても閉じられなくなり、顎に違和感と痛みを覚えました。

Aさんは驚きと不安を感じながら、何度も口を動かそうとしましたが、症状は改善しなかったのです。

今回は、以前から聞こえていた“いつもの顎の音”だと思い放置してしまった50代女性の事例から、脱臼が起こりやすい背景、繰り返す方の特徴、処置後に伝えておきたい情報まで解説します。

「いつもの顎の音」と思って待った

Aさんは50代の会社員です。以前から硬い物を噛むと耳の前で音が鳴り、疲れた日は顎のだるさもありました。

その夜も「少し待てば戻る」と考え、手で口元を支えながら座っていました。しかし、上下の唇を合わせられず、話そうとしても言葉がはっきりしません。唾液も口元からこぼれてきます。

夫は顎を下から押し上げようとしましたが、痛がる様子を見て手を止め、地域の夜間救急相談へ電話しました。

案内された歯科口腔外科で両側の顎関節脱臼と診断され、歯科医師が元へ戻す処置を行うと、ようやく唇を閉じられました。

「開けにくい」と「閉じられない」は違う手がかり

顎関節脱臼は、下顎の関節部分が通常の動く範囲を越え、元の位置へ戻れなくなった状態です。大きなあくびや、口を大きく開けたことをきっかけに起こる場合があります。

顎関節症では、口を開けにくい、動かすと痛い、音が鳴るといった症状が主に見られます。一方、脱臼では口が開いた位置で動かず、閉じられないことが大きな手がかりです。

ただし、Aさんのように以前から顎が鳴っていたからといって、それだけで「脱臼しやすい」とは判断できません。顔をぶつけた後なら骨折との区別も必要になり、見た目だけで決めつけないことが大切です。

口が閉じないとき、家族が動画などを見ながら顎を戻そうとするのは避けてください。戻す処置には顎や歯、処置する人の指を傷める危険があり、時間がたつほど筋肉の緊張で戻しにくくなることもあります。

どのような方が脱臼を繰り返しやすいのか

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

脱臼しやすさには個人差があります。背景として挙げられるのは、過去に顎が外れた経験、関節や靱帯がゆるく動く体質、顎の骨や関節の形、歯を多く失った状態などです。

パーキンソン病や、顎が自分の意思と関係なく動くジストニアなど、顎の筋肉の動きを調整しにくい病気が関係する場合もあります。一部の薬で顎や首に不随意な力が入ることもあるため、服薬内容は自己判断で変えず、診察時にすべて伝えてください。

特に、あくびや食事など日常の動作で何度も外れる、自然に戻っても再び外れる方は「習慣性脱臼」の可能性があります。関節のゆるさや動き方を確認する必要があるため、戻った後も口腔外科へ相談しましょう。

夜間や休日は地域の救急相談へ

夜間や休日に起きた場合は、歯科口腔外科のある救急医療機関や地域の救急相談窓口へ連絡します。対応地域では#7119で、受診先や救急車を呼ぶべきかについて助言を受けられます。

呼吸が苦しい、意識の様子がおかしい、顔を強く打った、大量の出血があるといった場合は119番へ連絡してください。顎だけの問題と自己判断しないことが大切です。

Aさんは処置後、発生時刻、きっかけ、顎の症状、使っている薬、過去の脱臼について医師に伝えました。整復後の食事や口を開ける範囲は、処置した医療者の指示に従います。

今後、歯科治療や内視鏡検査、全身麻酔などで口を長く開ける予定があるときは、顎が外れた経験を事前に伝えることも再発への備えになるので覚えておきましょう。

口が閉じないときは家族で戻そうとしない

Aさんは顎の音と脱臼を同じだと思って待ちましたが、夫が力を加えず相談したことで医療者の処置につながりました。

大あくびの後に口が閉じない状態が続くなら、様子見や家庭での整復は避けましょう。いつ、何をした直後に起きたかを伝え、口腔外科などへ早めに相談してください。


執筆・監修:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。
歯科医師ママkiki|note: https://share.google/uUYsDiSMnkNKZCrOw X: https://x.com/kikimama0405 

の記事をもっとみる

注目コンテンツ