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「冷たい水が奥歯にしみる…」“待てばよくなる”と放置した50代女性→しばらくして歯医者に行くと…判明した“意外な原因”とは?

  • 2026.9.2
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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

皆さま、こんにちは。歯科医師の鷹巣多紀です。

頭や首への放射線治療では、唾液を作る器官が影響を受け、治療後も口の乾きが長引くケースが少なくありません。唾液が少なくなると歯を守る働きも弱まるため、毎日磨いていても虫歯ができやすくなります。

今回は、がん治療を終えた50代女性が、歯の根元の小さな変化から、治療後も口を見守る意味を知った事例をご紹介します。

「乾きもそのうち戻る」と思っていた1年

Aさんは50代の会社員です。頭や首のがんに対する放射線治療を終え、仕事にも復帰していました。

ただ、会議で話し続けると口が乾き、食事にも飲み物が欠かせません。「治療中の名残だから、もう少し待てばよくなる」と思い、歯医者の定期検診は後回しにしていました。

数ヶ月後、冷たい水が奥歯の根元にしみ始めます。それでも痛みはすぐ引くため、Aさんは乾燥のせいだと受け止めました。

受診のきっかけは、歯磨き中に見つけた茶色い線でした。歯医者で調べると、歯茎の際に近い根元を中心に、複数の「根面虫歯」が見つかったのです。根面虫歯とは、歯茎が下がって見えるようになった歯の根にできる虫歯を指します。

さらに、口の中を見たり唾液の出方を調べたりすると、唾液が少ないままだと分かったのです。「がんの治療は終わったので、歯にはもう関係ないと思っていました」と、Aさんは驚いた表情を見せました。

唾液は口をぬらすだけではない

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出典元:photoAC(※画像はイメージです)

唾液には、食べ物の残りを洗い流す働きがあります。さらに、口の中の細菌が食べ物の糖から作る酸を弱め、溶けかけた歯の表面を元へ戻す手助けもする、歯にとって欠かせない存在です。

ところが、放射線が唾液を作る器官に影響すると、こうした働きを十分に保てません。治療後に回復する人がいる一方で、口の乾きが数年以上続く人もいるのです。

もちろん、虫歯の原因を放射線治療だけに決めることはできません。間食の回数、甘い物の取り方、磨き残し、歯茎の下がり方など、いくつもの条件が重なります。

がん治療の情報は何年たっても伝える

Aさんは、がんの担当医と歯医者に連絡し、放射線を当てた場所や治療時期を共有しました。顎の骨に放射線が当たっていると、抜歯後の傷が治りにくくなる場合があるためです。

虫歯には、深さや場所に応じた治療が始まります。あわせて、フッ化物配合歯磨剤(フッ素入り歯磨き剤)の使い方、口に使う保湿剤、食事や間食の取り方を相談し、今後は短い間隔で歯を見てもらう予定です。

歯医者には、がんの種類だけでなく、放射線を当てた場所と時期、治療を受けた病院、現在の薬を伝えてください。詳しい内容を覚えていなくても、病院名が分かれば情報を確認しやすくなります。

治療後の乾きも歯医者に伝える

Aさんは、治療終了から約1年後に、複数の根面虫歯と唾液の少なさを知りました。水を飲めばしのげる乾きでも、口の中では別の変化が進んでいることがあります。

がん治療から何年たっていても、放射線治療を受けたことは歯医者へ伝えましょう。口の乾きや歯の根元のしみは、今の口に合う手入れを考える手がかりになります。


 執筆・監修:鷹巣 多紀
大学病院口腔外科にて研修後、一般歯科にて勤務。現在は1児の母として子育てと仕事に奮闘しています。
歯科医師ママkiki|note: https://share.google/uUYsDiSMnkNKZCrOw X: https://x.com/kikimama0405 

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