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「これ、誰の家なんだろうね」家づくりに口を出し続けた父。だが、最後まで譲れなかった部屋とは

  • 2026.8.19
「これ、誰の家なんだろうね」家づくりに口を出し続けた父。だが、最後まで譲れなかった部屋とは

ありがたい援助のはずが、打ち合わせの空気が変わった

数年前、妻と家を建てることになったときの話です。

子どもが大きくなる前に、できれば戸建てに移りたい。

そう考えて土地や住宅会社を探していたところ、私の両親から住宅資金を援助したいという申し出がありました。

私たち夫婦だけで予定していた予算より、かなり余裕を持って家を建てられる金額でした。

最初は断りました。

「自分たちの家なんだから、できる範囲で自分たちで建てるよ」

しかし父は、「孫もいるんだし、使える金があるなら使えばいい」と譲りませんでした。

何度か話し合った末、私たちは援助を受けることにしました。

もちろん、ありがたい気持ちはありました。

ただ、間取りの打ち合わせが始まると、少しずつ状況が変わっていきました。

父と母も打ち合わせに参加するようになり、私や妻が希望を出すたびに意見を言うようになったのです。

「リビングをもう少し広くしたいんだけど」

私が図面を見ながら言うと、父はすぐに首を横に振りました。

「和室は必要だろ。親戚が来たとき、どこに通すんだ」

私たちは普段ほとんど使わない客間をつくるより、家族が毎日過ごすリビングを広くしたいと考えていました。

しかし父にとっては、来客用の和室があることが「きちんとした家」だったようです。

「金を出すのはうちなんだから、そのくらい聞いてくれてもいいだろ」

そう言われると、反論しにくくなりました。

収納を増やしたいと言えば、「そんなにいらない」。

階段の位置を変えたいと言えば、「今のほうが普通だ」。

父にも悪気はなかったのだと思います。自分なりに、暮らしやすい家を考えてくれていたのでしょう。

それでも、妻と二人で帰る車の中では、何度も同じ話になりました。

「これ、誰の家なんだろうね」

妻がぽつりと言ったとき、私は何も返せませんでした。

最後の変更で、どうしても残したかった一つ

そんな状態のまま打ち合わせが進み、ある日、担当者から「大きな間取り変更ができるのは今回までです」と言われました。

その日の朝、妻ともう一度図面を見ました。

すべてを希望通りにすることは、もう難しい。それでも、どうしても変えたい場所が一つだけありました。

子ども部屋の位置です。

当時、子どもはまだ小さく、妻は家事をしながらでも子どもの出入りが分かる間取りを希望していました。

そこで打ち合わせが始まると、私は父より先に口を開きました。

「ここだけは、僕たちに決めさせてほしい」

そして、キッチンから廊下と子ども部屋の出入りが分かる配置に変更したいと伝えました。

父は図面を見ながら、「今のままでもいいんじゃないか」と言いました。

以前なら、そこで引いていたと思います。

けれど、その日は違いました。

「援助してくれることには本当に感謝してる。でも、実際にここで毎日暮らすのは僕たちだから。この部分だけは、僕と妻の希望を通したい」

しばらく沈黙が続きました。

やがて父は図面から目を離し、小さくうなずきました。

「そこまで言うなら、そうすればいい」

その一言で、ようやく変更が決まりました。

完成した家には、父が希望した和室もあります。玄関のつくりも、私たちだけで考えていたものとは違います。

それでも、キッチンに立つと、廊下の先に子ども部屋の扉が見えます。

子どもが学校から帰ってきて自分の部屋へ向かう姿を見かけるたび、あのとき言葉にしてよかったと思います。

両親の援助がなければ、今の家を建てることは難しかったでしょう。その感謝は今も変わりません。

ただ、援助してもらうことと、暮らす人の希望をすべて手放すことは別だったのだと思います。

家づくりを通して初めて、感謝しながらでも「ここは譲れない」と伝えていいのだと知りました。

※本記事は、GLAMが独自に実施したアンケートで寄せられた30代男性読者の体験談をもとに、プライバシーに配慮し、人物・状況・会話表現などを一部編集・再構成して記事化しています

※本コンテンツ内の画像は、生成AIを利用して作成しています。

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