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夏の車中泊避難で命を守る! 今からできる対策と備え

  • 2026.8.7

特に夏場は車内の温度が上昇しやすく、熱中症や脱水症のリスクも一段と高まります。少しでも安全・快適に過ごすためには、暑さ対策グッズを備えておくとともに、車内での過ごし方のポイントを押さえておくことが大切です。

車中泊避難への支援は拡大の方向に

2016年の熊本地震では、車中泊避難による健康被害が相次ぎ、災害関連死の一因となりました。さらに、2024年の能登半島地震でも同様の課題が浮き彫りになったことを受け、内閣府は2024年6月に「在宅・車中泊避難者等の支援の手引き」を策定しました。

この手引きでは、支援の考え方を「場所(避難所)の支援」から「人(避難者等)の支援」へ転換。車中泊避難そのものを積極的に推奨するものではないとしつつも、やむを得ず車中泊避難を選択した人も支援対象と位置付け、物資の配布や健康状態の把握など、継続的な支援体制の整備を自治体に求めています。

こうした国の方針を受け、車中泊避難に関するガイドラインやマニュアルを整備する自治体も徐々に増えています。2026年4月には熊本市が「車中泊避難者支援ガイドライン」を策定。「車中泊避難マニュアル」を公表し、駐車する場所の利用ルールやマナー、エコノミークラス症候群の予防方法などを発信しています。

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まずはエコノミークラス症候群対策を

車中泊避難で最も注意したいのが、エコノミークラス症候群です。食事や水分を十分に取らないまま、狭い車内で同じ姿勢を長時間続けることで足の血流が悪くなり、血栓ができてしまう病気で、最悪の場合は命に関わります。車中泊を避けられない場合は、次のようなことを意識してみてください。

・ときどき、軽い体操やストレッチ運動を行う
・十分な量の水分をこまめにとる
・アルコールを控える。できれば禁煙する
・ゆったりとした服装をし、ベルトをきつく締めない
・かかとの上げ下ろし運動をしたり、ふくらはぎをもんだりする
・眠るときは足を上げる

夏の車中泊、気をつけたい熱中症

装備が万全なキャンピングカーをお持ちでない場合、夏の車中泊は平地であれば夜間でも車内に熱がこもるため熱中症対策が必須に。エンジンをかけたままの車中泊は、一酸化炭素中毒の危険や騒音トラブルにつながる危険性があります。また、多くの自治体や駐車場ではアイドリングストップが義務付けられています。そのため、車中泊ではエンジンを切った状況下で、快適な環境を保つさまざまな工夫が必要になります。
JAF(日本自動車連盟)のユーザーテストによれば、最高気温:34.0度/最低気温:25.3度の日中、エアコンを切って1時間後の車内の温度は40℃を超えていたという結果が出ています。もちろん、車中泊の場合、炎天下の時間帯に車中にとどまり続けることはあまり想定していないとは思いますが、近年は夜になっても外気温が下がらず熱帯夜になることも少なくないので注意が必要です。また、夏は日の出が早く、寝ている間に車に日が当たれば車内温度は一気に上昇してしまうため、日差しを遮るような工夫も大切です。

暑さ対策①宿泊地の標高を上げる

日中、日陰に車を止めておくことができればよいですが、日中に太陽を浴びた車のボディは熱を溜め込み、エンジンを切った車内は夜になってもなかなか気温が下がりません。そのため、何も対策を講じずに窓を閉め切れば蒸し風呂のような暑さに、窓を開ければ虫と騒音に悩まされることになります。そんな夏の車中泊を快適なものにするには、下記の4つの対策が大切です。

①宿泊地の標高を上げる
②換気で熱を逃がす
③日光を遮って熱を入れない
④風とグッズで体感温度を下げる

もし、宿泊地を選べる環境であるならば、暑さ対策の1番の肝は、宿泊地の標高を上げることです。標高が1000メートル上がると、気温は6.5℃ほど下がるといわれています。宿泊目的地を決める際には、標高も意識するとよいでしょう。自分のいる場所の標高を知りたい場合は、スマホアプリの「Google Earth」が便利です。Google Earthを起動して現在地ボタンを押すか、知りたい場所を長押しすれば、その地点の標高が表示されます。アプリをインストールしていない、あるいはできない場合は、Webブラウザで利用できる「地理院地図」でも標高を確認できます。使い方は下記を確認してください。

◆国土交通省 国土地理院 「今、ここは標高何メートル?~スマートフォンで一発表示!地理院地図がより便利に~」

暑さ対策②換気と風の流れをつくる! ポータブル扇風機と網戸の備えのすすめ

車中泊ではありませんが、以前、テントで真夏の夜を過ごした際、標高も低く、風が抜けない場所だったことから、中が蒸し風呂のように暑くて眠れず、かといって夜風にあたりに外に出れば蚊に襲われ、今度はかゆさ地獄に陥るという経験をしました。あの時の状況は、まさに無対策の真夏の車中泊に近いものだったのではないかと思います。

その時に痛感したのが風の流れの大切さです。車の場合は窓を開閉できるため、換気を積極的におこないましょう。換気の基本は「入り口と出口を対角に作る」こと。1か所だけ窓を開けても空気は動きませんが、運転席側の前と助手席側の後ろなどのように対角の2か所を数センチ開ければ、風の通り道が生まれ、こもった熱と湿気を少し逃すことができます。さらに扇風機を1台足して室内の空気を外へ押し出すようにすれば、換気が一気に加速します。わが家では、ポータブルの充電式扇風機、HAGOOGI「コードレス扇風機(収納ケース付き) 税込み7680円」を野外で愛用しています。吊り下げたり、卓上に置いたりすることができ、三脚スタンドもついているなど装備も十分。専用ケースにコンパクトに収納でき、8000円しない価格を考えるとコストパフォーマンスは十分と感じました。

数年後、再び同じテントで宿泊する機会があり、こちらを持ち込んだところ、暑さ環境がかなり改善しました。しかし、新たに浮上したのが電力の問題です。風の流れをつくるため、首振り運転にすると、22時ごろから朝の3時ぐらいまでしか充電が持たず、それ以降は暑くて寝ることが困難に。扇風機とあわせて充電器を用意する必要性を痛感しました。

ちなみに、一緒にテント泊を経験した仲間のおすすめは、マキタ「充電式ファン CF203D 税込み8780円でした。稼働音の大きさや、バッテリーとAC電源の両方に対応しているかなど、他の装備やご自身のこだわりとのバランスを比較しながら、複数メーカーの製品を比較・検討するとよいと思います。ただし、扇風機の風を長時間体に当て続けると、体を冷やしすぎるため、天井や壁に当てて空気を循環させる置き方をするなどの工夫が必要です。窓を開けて換気をする際の注意点として防犯と防虫があります。夜間、眠る時に窓を開ける場合は、外から人の手が入らないよう数センチ程度にとどめ、窓には網戸やメッシュを装着して虫の侵入を防ぐのがよいでしょう。ドアにかぶせるだけで簡単に装着できるもの、スライドドアに対応したものなど、さまざまなものが販売されています。汎用品の網戸はフリーサイズのものが多く、ジャストフィットしない場合もあるようです。コストは上がるものの、フィット感を重視するのであれば、車種専用の網戸を検討してみるのもよいと思います。汎用品は1000円以下から購入可能ですが、車種専用品は固定方法や構造によって価格帯に幅があり、しっかりとしたつくりの品だと1万円を超えるものが多いようです。

暑さ対策③ 陽射しの侵入をブロック!サンシェード

すでにお持ちの方も多いかもしれませんが、遮熱の主役はサンシェードです。フロントガラスや全窓に断熱・遮光タイプのシェードを装着すると、日射熱の侵入を大きく抑えることができ、駐車直後の車内温度上昇が緩やかになります。わが家もこちらを導入してからは、日なたに駐車せざるを得ない場合でも車内温度の上昇を抑えられ、かなり効果を実感しています。

特に銀色のアルミ蒸着タイプは日射を反射し、内側に断熱材が入った専用シェードなら夜間の目隠しと保温・遮熱を兼ねることができるのでおすすめです。ただし、密閉度が上がるぶん湿気がこもるというデメリットも。遮熱シェードで熱の侵入を防ぎつつ、窓の隙間を開けた換気と扇風機で風の通り道を作って湿気を逃がす、という合わせ技での使用がおすすめです。

わが家で使用しているのは販促品でもらったもので、手軽に開閉できる「傘型」です。次に買い替える際も、この傘型が第一候補になりそうです。そのほかにもコンパクトに収納できる「ポップアップ式」、耐久性の高い「蛇腹式(キルト式)などいろいろな種類があります。価格はおおよそ1000円から5000円程度の商品が多いので、収納場所や好みなどで比較検討するとよいでしょう。

暑さ対策④冷感マット

そのほか、激しい暑さの中で役立つのが冷感マットです。夏場の寝苦しさの多くは、背中とマットの間に熱がこもることから生まれます。過去にテント内が暑くて、ひたすらごろごろ転がってなんとか熱を逃がしていた経験から、それ以降は先述のポータブル扇風機に加え、冷感マットを持参しています。冷感マットは、触れた瞬間にひんやり感じる生地が体表の熱を素早く移動させ、寝返りを打つたびに冷たい面に触れることができるので、体感温度がかなり下がります。わが家で使用しているのは、近隣のホームセンターで購入した冷感マット(2000円ぐらい)ですが、睡眠用のゴムマットの上に冷感マットを敷くだけで、かなり寝苦しさが緩和しました。冷感マットもいろいろな種類が販売されているので、ご自身の予算や利用状況に合わせて選ぶとよいでしょう。

もしもに備えて、車中泊体験を

災害時に車中泊の可能性を少しでも考えている方は、まずは春や秋など、そこまで暑くない時期に一度車中泊を経験してみるとよいかもしれません。

近年では、自治体が車中泊避難を想定したガイドラインの整備に着手するなど、車中泊を取り巻く環境は少しずつ変化しています。また、店舗の駐車場を車中泊スペースとして貸し出す取り組みをローソンが始めたほか、全国各地に温泉、旅館、道の駅、遊園地などに併設されたRVパークの整備も進んでいます。
個人で必要な装備を揃えつつ、そういった社会の動向や情報にアンテナを立て、実体験を積んでおくことで、「もしも」の時の対応能力はぐんとアップするのではないかと思います。

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<執筆者プロフィル>
水野佳
保健師/オートキャンプ歴9年
学生時代にはバックパックを担いでフィールドワークや旅に出かけ、バングラデシュでの井戸掘りなども経験。旅やアウトドアでの知識や経験を防災活動に繋げる。産業保健師として企業勤務時に、救命講習やBCPなどの企画・運営にも関わった経験も持つ。

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