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流しのワインバー〈gubigubi〉主宰・平澤淳一さんの1か月連載コラムが始まります。初回は、「ファッションからワインの世界へ」。

  • 2026.8.6

なんでこんなにもナチュラルワインに惹かれてしまったのだろう。

思い返せば十数年前、私はファッション業界で働いていた。さまざまなブランドの服やアクセサリーをセレクトショップや百貨店へ提案する仕事で、流行の少し先を追いかける毎日。

仕事は充実していたけれど、どこかで「このままでいいのだろうか」と考えるようになっていた。そんな頃、出張で訪れたパリで、食通の友人にいくつものレストランやワインバーへ連れて行ってもらうことに。

その時間が、とにかく心地よかった。

グラスにはいつもナチュラルワインが注がれていて、そこにはデザイナーやアーティストもいれば、近所に住んでいそうなおじさんもいる。肩書きなんて関係なく、それぞれが思い思いに食べて、飲んで、話している。そして、ワインが驚くほどおいしい。

「好きなものを囲むと、人はこんなにも自然に笑うんだ」

そんな景色が、今でも記憶に残っている。

もともとお酒は大好きだった。だからこそ、「ナチュラルワインをもっと知りたい」という気持ちが芽生えたのは、ごく自然な流れだったのかもしれない。

気がつけば、ファッションの仕事は当時のビジネスパートナーに託し、まったく知り合いのいないワイン業界へ飛び込んでいた。今振り返ると、よくそんな決断ができたものだと思う。

今年の1月、フランス・パリのワインバー『Chambre Noire』で、スタイリストの長谷川昭雄さんと行ったワインイベント。
空き瓶と余韻。
左は、『Chambre Noire』オーナーのオリバー。

昨年までは、東京・浅草のワインインポーター『相模屋本店』で買い付けやプロモーションに携わり、今は個人で〈gubigubi〉と冠して各地で流しのワインバーを開いている。

〈gubigubi〉という名前は、世界のどこへ行っても説明しやすい。難しい意味はない。ただ、グビグビ飲みたくなるようなワインが好きだから。

この連載では、ワインの知識を紹介するというよりも、ワインを通して出会った人たちや旅先で見た景色、そして心に残った時間について綴ってみたい。

振り返ってみると、私が惹かれてきたのは、ワインそのものだけではなかった。その一本の向こうにいる人や、その土地で流れる時間だったのだと思う。

ドイツ・フランクフルトのワインショップ『Cool Climate』で、フランクフルトで人気のレストラン『MUKU』と行った流しのワインバーイベント。
いつもお茶目な『Cool Climate』オーナーのクリスチャンさん。持っていったワインは日本で造られた3種、左から、〈テールドシエル〉、〈ドメーヌ・タカヒコ〉、〈アールオーヴィンヤード〉。
『MUKU』特製のおでん。出汁とナチュラルワインの可能性を感じた。

〈gubigubi〉主宰 平澤淳一

出典 andpremium.jp

ワインセレクター。ナチュラルワインのインポーターを経て独立。〈gubigubi〉として国内外のワイン生産者を訪ねながら、イベントやポップアップ、食とのコラボレーションを通してワインの楽しみ方を提案している。毎年ヨーロッパを訪れ、生産者と食卓を囲み、その土地の風景や時間に触れることを大切にする。ワインそのものだけではなく、その一本の向こうにいる人や物語を届けることをライフワークとしている。

※20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。

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