1. トップ
  2. おでかけ
  3. “進化系”を求めて。料理人・文筆家、稲田俊輔の偏愛ラーメン探訪記

“進化系”を求めて。料理人・文筆家、稲田俊輔の偏愛ラーメン探訪記

  • 2026.8.6

「ラーメンに並々ならぬ思いがある」と語る料理人・文筆家の稲田俊輔さん。今関心を寄せる“進化系”を求めJR大塚駅の南へ北へ。

photo: Satoko Imazu, Yu Inohara / text & edit: Yoko Hasada

ラーメンを食べる稲田俊輔さん
BRUTUS

Nii(南大塚)

のどぐろとフグによる唯一無二の上品な塩味

斬新な創造力が光るラーメンを“進化系”と呼び、その一杯との出会いに心をときめかせている稲田俊輔さん。お気に入りの一店舗として挙げられたのが〈Nii〉。

ビストロのような雰囲気の店内には、開放感のあるオープンキッチンが。稲田さんも「料理の所作が綺麗でないと立てません」と、店主・刈屋幸太さんのスマートな仕事ぶりを絶賛する。

南大塚〈Nii〉店主・刈屋
店主の刈屋さん。イタリアンを経験し、〈つけめんTETSU〉で修業を積んだ後2012年に〈つけ麺 たけもと〉を、次いで19年に〈Nii〉をオープン。独創的な調理技術とセンスを堪能できる限定の創作麺も人気。
南大塚〈Nii〉調理風景
透明感のあるスープは化学調味料一切不使用。

今回味わった「のどぐろとフグの塩らぁ麺」は、名前の通り高級食材であるのどぐろの小魚やフグの中骨などからだしをとる。金沢の近江町市場でののどぐろとの出会いがインスピレーションになった。

ほかにも伊吹いりこ、アサリ、乾燥シイタケなど、季節に合わせて各地から良質な食材を取り寄せ、上品で濃厚なコクが魅力のスープに。そこに、特注の麺と、3日以上かけて熟成された豚バラと鶏むね肉のチャーシュー2種、自家製メンマなどが集結。

南大塚〈Nii〉のどぐろとフグの塩らぁ麺、煮卵
稲田さんのお気に入りは「のどぐろとフグの塩らぁ麺、煮卵」1,200円。チャーシュー2種、九条ネギ、極太メンマなどが盛られる。

オリジナルレシピの煮卵は、自然の恵みをエサに育った鶏の卵を使っている。イタリアン経験者らしい、美しい盛り付けにも注目だ。メニューを見ると、朝カレーも。まかない作りでスパイスを極めたという店主渾身の「薬膳カレー」も、稲田さんが気になる一品だ。

南大塚〈Nii〉店内
「ラーメンは、作り手の仕事ぶりをカウンター越しに眺めるところから堪能します」(稲田)

Information

Nii

朝・昼・夜の3部制。時間帯により異なるメニューを提供。

住所:東京都豊島区南大塚3-46-5 富士ビル
TEL:03-5924-6554
営:7時〜9時40分LO、11時〜15時、17時〜24時30分LO(日〜21時、月11時〜15時)
休:火曜
X:@Nii61111556

LOKAHi(北大塚)

和食歴20年超の店主によるハマグリの旨味あふれるスープ

〈Nii〉と反対側の出口、大塚駅の北側に位置する〈LOKAHi〉。

店主・澤田俊治さんが生み出すラーメンの肝は、天然のハマグリを使っただしにある。化学調味料は一切使わず、鶏ガラ、煮干し、カツオ節などを組み合わせて、ハマグリ本来の旨味を引き出す。その時の気候や温度に合わせて、だしのとり方も変える。

北大塚〈LOKAHi〉店主・澤田
店主の澤田さん。本格的な日本料理の店で、20年以上板前として厨房に立っていた。海好きが高じて、南国のムードが漂う店作りを目指した。
北大塚〈LOKAHi〉ラーメンの調理風景
日本料理で使われる潮(うしお)だしと魚介スープ、大山鶏のスープなどバランスよく調合されている。

稲田さんは「まさに割烹のやり方ですよね。チャーシューも角煮風に調理するなど、和食っぽい懐の深さを随所に感じます」と分析。例えば大山鶏のチャーシューは、塩と醤油だけというシンプルな味つけだが、昆布締めという和食の技法を用いて食材の良さが引き出されている。

スープはシンプルで深みのある絶品だが、よりすっきりとした味わいを楽しむならと、稲田さんは塩の「味玉なし」をオーダー。さらに夜は、お酒と一品料理も楽しめる。澤田さんの腕前を堪能できる一品料理は、その日の仕入れ状況次第で、手書きのメニューにラインナップされる。

北大塚〈LOKAHi〉特製地はまぐり中華そば
稲田さん推薦「特製地はまぐり中華そば」(1,600円)。ベースは塩と醤油から選べる。大山鶏の昆布締め、低温調理の豚肉、鴨、ソーキという4種類のチャーシューと、山形の〈ウフウフカンパニー〉直送の卵を使った味玉がのる。

日本酒やクラフトビールなど個性豊かなアルコールも並び、常連客も多いため、日替わりメニューや週替わりラーメンも用意。それでもあえて“こってり系”には振らず、淡麗な味わいに振り切っている姿勢が潔い。

北大塚〈LOKAHi〉店内、料理人・文筆家 稲田俊輔
稲田さんの理想は〈LOKAHi〉の角席で酒と料理をゆっくり嗜(たしな)み、〆にラーメンを食すこと。

Information

北大塚〈LOKAHi〉外観
BRUTUS

LOKAHi

体に優しい淡麗なラーメンで街の老若男女に親しまれる。泡白湯(パイタン)、白トリュフを組み合わせた中華そばも。

住所:東京都豊島区北大塚2-8-8
営:11時〜14時30分LO、17時〜21時30分LO
休:水曜
Instagram:@ootsukalokahi


profile

稲田俊輔(料理人・文筆家)

いなだ・しゅんすけ/1970年鹿児島県生まれ。〈エリックサウス〉をはじめ、幅広いジャンルの飲食店やメニュー開発に携わる。近著に『稲田俊輔のおそうざい十二カ月 旬を味わう一汁三菜』(暮しの手帖社)など。

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ