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五島つばき蒸溜所&厚岸蒸溜所〜ジンとウイスキーの垣根を越えた、クラフトスピリッツの誕生

  • 2026.8.5

日本全国で近年、驚くほどのペースで増えている、クラフトジンやウイスキーの蒸溜所。その中でもいま特に注目を集める2つの蒸溜所が手を組み、初のコラボアイテムとなる特別なジンを発表した。およそ2年をかけて生まれたそのストーリーとは。

text: BRUTUS

長崎の五島の景色
BRUTUS

長崎の五島、北海道の厚岸。いま注目を集める、2つの蒸溜所が手を組む

すでに世界的に評価の高い大手メーカーの製品とは別に、クラフトジン、あるいはクラフトウイスキーといった言葉が生まれ、日本各地でも、新しい小規模メーカーが次々と設立され、より個性的な新しい銘柄が増え続けている。

北海道の南東部・厚岸(あっけし)と、長崎県五島列島の福江島──遠く異なる土地にあって、それぞれ風土を表現する蒸溜酒造りで常に注目を集めてきた両者が、初めて協業。およそ2年の期間を経て、世界のどこにもないユニークなジンがまた一つ生まれた。

2022年に創業とまだ真新しい、五島つばき蒸溜所の建物外観。2026年夏現在、7人がここで働いている。

世界遺産の地、長崎県五島列島でジンを造る

コラボの一方は、長崎県の五島列島・福江島でスタートした五島つばき蒸溜所。2022年に蒸溜を開始したばかりという、まだまだ新しいスピリッツメーカーだ。創業メンバーは、キリンビールに長く勤めたベテラン3人。“オリジナルのクラフトジンを造ろう”という夢をともに掲げて独立し、揃って五島へ移住したところから、ストーリーは始まった。

潜伏キリシタンにまつわる長い歴史が続き、世界遺産にも指定された五島列島。起業にあたっては、島の教会や周囲の島民たちからも理解を得て、海のそばに新たに土地を取得し、建設。特注の蒸溜設備も運び込み、設備の完成後まもなく蒸溜も始め、この地に咲く椿の実をキーボタニカルに据えたオリジナルジン「GOTOGIN」を造り出した。

創業ブレンダーは鬼頭英明さん。キリンビール勤務時代は、富士御殿場の蒸溜所で30年以上もウイスキー造りに携わったキャリアを持ち、精緻でバランスの取れたジンを仕上げる。中身はもちろん、椿をイメージしたオリジナルのガラスボトルもすでに複数の賞を受けるなど、人気は急上昇。全国のバーや酒販店からの注文が続き、品薄が続いている。

たった3人の創業だったが、その後は島の住民を中心として徐々に若いスタッフも加入。設備も整った現在、環境への負荷をできる限り抑えるために再生可能エネルギー100%の稼働も実現。次の世代へと続くジンメーカーへの道を着々と歩んでいる。

ドイツのアーノルド・ホルスタイン社に特注した蒸溜機
ドイツのアーノルド・ホルスタイン社に特注した蒸溜機が施設の主役。
ブレンダー鬼頭英明さん
すべての原酒を造り、ブレンドに携わるブレンダー鬼頭英明さん。
ジンのもととなるスパイス
ジンの基本となるジュニパーベリーだけでなく、島で取れる椿の実などのさまざまなボタニカルが味と香りを構成する。
エメラルドグリーンのオリジナルボトル
五島の海の色を写したような、エメラルドグリーンのオリジナルボトルも美しい。

新時代のジャパニーズウイスキー、その先駆け

コラボの相手となったのは、国産の独立系ウイスキーでも先駆けというべき「厚岸」で知られる、厚岸蒸溜所。北海道の釧路より東、厚岸町に位置している。代表の樋田恵一さんが本場スコットランドのアイラ島で造られるウイスキーに感銘を受け“日本でも新しいウイスキー造りを”と志して設立したメーカーだ。

まさにアイラの蒸溜所を思わせるような海迫る土地に、やはりゼロから施設を建てて、蒸溜を開始したのは2016年のこと。大昔から時間をかけてこの土地に堆積した植物からなるピート(泥炭)を用いて燻したモルトと、そのピート層をくぐり抜けてきた仕込み水をもとに、この地で原酒を造っている。

冷涼で適度な湿度もある環境を活かして、熟成庫で寝かせたのち、製品として送り出されたウイスキーはすでに市場の評価も高い。そもそも、樽熟成をかける前の原酒(ニューポット)の発表から早くも愛好家の話題を集めたほど。スタートからおよそ10年を経てライナップも徐々に整い、新興ジャパニーズウイスキーの雄としてすっかり定着した存在だ。

厚岸蒸溜所の外観
白壁に記された大きなブランド名が目立つ、厚岸蒸溜所の外観。
近隣から採掘される、ピート(泥炭)
近隣から採掘される、ピート(泥炭)。これを乾燥、加熱してモルトを燻すことで、ウイスキーに特有のピート香が付く。
蒸留機
施設内に設置されたポットスチル(蒸溜器)は、スコットランドのフォーサイス社製。
厚岸蒸溜所の外観
海のすぐそばに位置する熟成庫。潮風を浴びながらウイスキーが育っていく。

まだ見たことのない、ユニークなジンへ

今回のコラボはおよそ2年をかけて実現した。まず厚岸蒸溜所で、元となるスピリッツ(ニューポット)を蒸溜。通常ならこれを樽熟成してウイスキーへ仕上げるところだが、これを、モルトやピートとともに、はるばる長崎県の五島列島・福江島の五島つばき蒸溜所へ運ぶ。

次に、いわばボタニカルの一つとしてこれを蒸溜。一度にまとめてではなくボタニカル1種類ずつの原酒をまず造り分け、それらを巧みにブレンドする、という手の込んだプロセスによって、今回の特別なジンが仕上げられた。

ワインや日本酒などと変わらず、ジンでもウイスキーでも、本来はその造られた土地の個性が、味や香りにまで反映される。だからこそ、素材の吟味と確保、そして発酵、熟成、瓶詰めに至るまで、職人たちは、その目標地点を見据えて、より純度の高い仕事を重ねる。つまり、土地の風景を味にしていく作業、とも言える。

今回はその垣根を少し越えて、2つの土地を重ねる、ユニークな試みだ。もちろん互いの造り手による理解と協力ありき。新しい銘柄も増えて、質も評価も向上を続ける日本産スピリッツの世界に、こんな挑戦もあるのだ、というメッセージが込められている。

厚岸の泥炭から生じるしっかりしたピート香へ、五島らしい柔らかく果実感あるアロマが溶け合う、唯一無二のジンが出来上がった。

Information

GOTOGIN peated Gin 〜厚岸のアロマ〜

厚岸のピーテッドモルトと泥炭を、五島つばき蒸溜所でそれぞれ蒸溜。厚岸蒸溜所のニューポット、さらに五島の椿の実やヤマモモ、ユズなどのボタニカル12種類と合わせ、計15種類の原酒を造り、ブレンドしたジン。

ラベルは厚岸ウイスキーも手がけるデザイナー尾谷憲一によるオリジナルデザイン。アルコール分47%、495ml。11,000円。専用ギフトボックス入り、数量限定。発売は2026年8月24日。五島つばき蒸溜所の公式オンラインショップ、一部の百貨店、酒販店などで販売。

HP:https://shop.gotogin.jp/


※20歳未満の者の飲酒は法律で禁止されています。

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