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「来年、一緒に」と言った翌週、彼女を消した俺

  • 2026.8.3
ハウコレ

半年前に連絡先を消した彼女へ、渡せないまま引き出しに残っている指輪のカタログのことを、入籍の日に思い出しました。

共通の友人には、伝えられる範囲だけ話しました。机の引き出しの奥に、彼女と一緒に選ぶはずだった指輪のカタログが、半年間そのままになっていました。

「来年の春に、一緒になろう」

付き合って1年半になる彼女とは、共通の友人の紹介で知り合いました。仕事帰りに寄れる距離に住んでいて、価値観も生活リズムも合う人でした。指輪のサイズを彼女が測ってきた日、俺は自然に言葉が出ました。

俺「来年の春に、一緒になろう」

彼女「うん。式場のパンフレットも取り寄せておく」

俺「じゃあ来週、下見に付き合ってよ」

その週末、彼女の実家にも挨拶に行きました。彼女の母親が作ってくれた煮物がうまくて、遠慮なくおかわりしました。ご両親にも受け入れてもらえた感触があって、帰りの電車で、俺はもう式場のことばかり考えていました。

実家からの、1本の電話

異変は、その翌週の月初に起きました。実家から電話がかかってきたのです。

父「話がある。今週末、こっちに戻ってこい」

俺「なに、急に」

父「うちの都合で、お前に結婚してもらいたい相手がいる。前から言ってた話だ」

昔から、両家の付き合いで名前だけ出ていた相手がいました。子どもの頃の冗談みたいなものだと思っていたのに、父の声は本気でした。実家に戻ると、母も親戚も、その話を前提に動いていました。

俺には、断る言葉がありませんでした。家業の事情、親の年齢、頭を下げてきた相手方の顔。全部を彼女に説明して、それでも一緒にいてほしいと頼むことも、頭をよぎりました。でも、それは彼女に「俺と家を天秤にかけろ」と言うのと同じでした。

俺は、彼女にそれをさせたくありませんでした。

選ばせないための最低な方法

実家から自宅に戻ったその夜、俺は彼女の連絡先をブロックしました。会社の受付にも、私生活の件で電話を取り次がないよう頼みました。

未送信のメッセージが、下書きに何度も残りました。

俺「ごめん」

俺「実家の都合で、来年の結婚は難しくなった」

俺「本当にごめん」

どれも、送れませんでした。理由を書けば、彼女は「じゃあ話し合おう」と言ってくれるとわかっていたからです。話し合ってしまえば、俺はきっと彼女を選ぶ。そして、家の全部を彼女に背負わせる。それが怖くて、俺は説明を全部放棄しました。

彼女を苦しめない方法として、ブロックしか思いつきませんでした。最低な方法だと、自分でもわかっていました。

そして...

半年後、俺は親の決めた相手と入籍しました。彼女には、共通の友人から少しだけ話が伝わったと聞きました。「本当は、伝えたかったんだと思う」と友人が言ってくれたそうですが、それは違います。伝えたかったのではなく、伝える資格を自分から捨てたのです。指輪のカタログは、まだ引き出しにあります。捨てられないまま、置いてあります。

(30代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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