1. トップ
  2. レシピ
  3. 白崎裕子さん「野菜の性質をちゃんと感じることで、シンプルなレシピになっていく」|新著『野菜のいいぶん 誰も教えてくれない秘密のレシピ130』インタビュー

白崎裕子さん「野菜の性質をちゃんと感じることで、シンプルなレシピになっていく」|新著『野菜のいいぶん 誰も教えてくれない秘密のレシピ130』インタビュー

  • 2026.8.5

「野菜はいつもサインを出しているんです」。そう話す料理研究家・白崎裕子さん。野菜の性質をよく見て感じることで、調理はもっとシンプルに、おいしくなるといいます。新著『野菜のいいぶん 誰も教えてくれない秘密のレシピ130』に込めた思いを聞きました。

料理をしていると、野菜って いつもいろんなサインを出してるんです

野菜のいいぶん――。なんともユニークなタイトルに、まず心が惹かれ、ときめきました。あたかも人間のように野菜をとらえ、“彼ら”の伝えたいことに心を澄ませて調理をするという、なるほど! な発想。ただこれ、決して本のために考えられたのではなく、料理研究家の白崎裕子さんが普段から感じている、リアルな実感そのものでした。

「ずっと料理をしていると、野菜っていつもいろんなサインを出してるんですよ。『ここ、今まだちょっと待って』とか、『5分の予定だったけどごめん、やっぱりあと3分焼いて』とか。野菜自身が、いろいろなものを出しているんです」

その“サイン”を受け取るためには、人間がそうであるように、野菜もまた一つひとつが個性があるので、それをよく観察すること。「よーく見ると案外、子どもでもわかるようなことだったりするんですけど、むしろ料理経験が長い人ほど、何分とか、何センチとかの数字にとらわれちゃうんです」

さらに白崎さんいわく、「野菜の切るべきところには全部印がついている」とか。例えばきゅうり。「ヘタから2センチくらいのところが少しくぼんでいて『ここですよ』って言っている場所を切り落として擦り合わせると、見たことないくらいアクが出る。やったのとやらないのとでは苦みが全然違って。きゅうりが嫌いな子ってこれか、と思うわけです」

また「新鮮だけど慣行栽培で育てた野菜と、無農薬だけどちょっと古い野菜、どっちがいいですか?」という生徒さんからの質問にも、こう答えます。「確かに悩ましいですよね。でも、無農薬のほうは確かに干からびてて、おじいさんみたいになってるキャベツだとしても、そのキャベツなりの力が残っていて、煮込みにするとものすごい力を発揮したりするんですよね」

どっちが良い悪いではなく、手元に来た野菜の性質をちゃんと見て感じて、調理する。するとレシピは、おのずとシンプルでかんたんになっていく、といいます。「ただレンジでチンするみたいなかんたんさとは種類が違って。野菜を見て、その後ろをそっとついていけば、回り道をしないで一番シンプルな調理法に決まっていくんです」

それは、白崎さんがこれまで提案してきた料理とも、深く重なり合います。
「まず材料があって、今日買ってきたところでもう8割方うまくいってる。あとはそれをどうやって、なるべく機嫌のいいまま、お皿の上まで行ってもらうか。そのために人間が無理にコントロールするんじゃなくて、ちょっと手伝うくらいの感覚なんです」
野菜のいいぶんを理解し仲良くなれば、料理も楽しくなりそうです。

新著

『野菜のいいぶん誰も教えてくれない秘密のレシピ130』

BOOK DATA

白崎裕子さん『野菜のいいぶん誰も教えてくれない秘密のレシピ130』
BOOK DATAの画像

白崎裕子/¥1,848(ダイヤモンド社)

予約のとれない料理教室・白崎茶会が、野菜30種類の底力を最大限に引き出す130品のレシピ。ゆるくてかわいい言葉とイラスト、野菜が主人公の絵本を読むような感覚もありながら、実用性もしっかり担保。作る身になった文字の大きさやデザインも地味にうれしい。

お話を伺ったのは……

白崎裕子さん

しらさき・ひろこ/自然食品店「陰陽洞」(逗子市)が主催する料理教室の講師を経て、葉山町の古民家でオーガニック料理教室「白崎茶会」を始める。現在はオンラインレッスン「白崎茶会レシピ研究室」を配信。著書『白崎茶会のあたらしいおやつ』『へたおやつ』(ともにマガジンハウス)は、料理レシピ本大賞お菓子部門で2年連続大賞を受賞。


photograph: Kazuyoshi Aoki text: BOOKLUCK
リンネル2026年8月号より
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

元記事で読む
の記事をもっとみる

注目コンテンツ