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hiroのソロデビュー曲が「カバー」だったって知ってた? 27年前、第1話に本人も出ていた夏ドラマの主題歌

  • 2026.8.31
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1998年7月、映画『アンドロメディア』記念会見に出席したhiro(島袋寛子)(C)SANKEI

テレビをつければ、あの4人が歌って踊っていた。音楽番組でも、CMでも、教室の話題の中心でも、SPEEDは1990年代の終わりの景色そのものだった。

その真ん中にいた最年少メンバーのhiroが、グループの活動と並行して、ひとりでマイクの前に立つ。1999年の夏のことである。

hiro『AS TIME GOES BY』(作詞:HIMK/作曲:伊秩弘将)ーー1999年8月18日発売

勢いを借りた企画ものではない。作り手がかつてつくった一曲を、いちばん近くで育った声に手渡した、静かで大胆なソロデビューだ。

勢いの真ん中でひとりのマイクを選ぶ

当時のSPEEDは、シングルを出せば当たり前のようにランキングの上位に入り、テレビで見ない週がないほどの存在だった。その渦中でのソロデビューは、脱退でも活動休止でもない。グループの一員のまま、もうひとつの名前を隣に置いて歩き出すという、正面からの挑戦だった。

4人で分け合っていた注目を、ここではひとりで受け止めることになる。隣で支えてくれる声はなく、曲の入り口から余韻まで、自分の歌だけで聴き手を連れていく仕事だ。

考えてみれば、これは二度目のデビューである。一度目は4人の中のひとりとして、二度目はhiroというひとつの名前で。同じ「初めて」でも、意味あいはまるで違う。ソロデビューとは、グループの看板をいったん外した素の歌い手が、どこまで届くかを試される場でもある。絶頂の最中にあえてその場所へ踏み出したこと自体が、この曲の物語の始まりに映る。

作り手だけが知っていた歌のありか

この曲にはオリジナルがある。SPEEDをプロデュースしてきた伊秩弘将が、1996年に自身が手掛けるユニットHIM-eggの名義で発表した同名曲だ。いちど自分で世に出した歌を、3年後にもういちど引き出しから取り出してきたことになる。

ソロの第一声なら、新曲を書き下ろす道も当然あったはずだ。それでも選ばれたのは、作り手の手元にあった歌だった。書いた本人がいちばんよく知っている歌を、いちばん近くで見てきた歌い手に託す。この座組の温度こそが、この曲の芯にある。

作詞はHIMK、編曲は水島康貴。曲が人から人へ手渡されていく静かなリレーを思うと、時が過ぎゆくまま、という題名の意味あいまで、どこか運命めいて響いてくる。

3年という時間を挟んで、同じメロディが作り手の声から託された歌い手の声へ乗り換えた。カバーという言葉では収まりきらない、親密な継承である。

始まりの一枚に、時の流れを見つめる歌を置く。この取り合わせの妙にも唸らされる。これから走り出す人の第一声だからこそ、過ぎていく時間を歌う言葉が、若い声の中でいっそう切実に聴こえてくるのだ。

歌声の主が物語の中から現れる

この曲はテレビ朝日系ドラマ『天国のKiss』の主題歌だった。1999年7月から放送されたこの作品で、hiroは歌だけでなく、篠原梢という役を演じて第1話に出演している。テレビドラマ初出演である。

しかも第1話だけで物語を去っていく、印象の強い役どころだった。歌と芝居が最初からひと続きの企てとして結ばれていた。主題歌を歌う本人が物語の入り口に立ち、歌声だけを残して画面から消えていく。主題歌とテレビドラマ初出演という二つの初めてが同じひと夏に重なったこの密度が、あの年の彼女の勢いを何より物語っている。

毎週の放送のたびに流れるこの歌は、第1話の残像とともに耳へ届いたはずだ。ドラマを追いかけた人ほど、イントロが鳴るだけで物語の続きへ引き戻されたに違いない。歌が物語を運び、物語が歌を深くする。タイアップという言葉の理想形が、ここにはあった。

駆け足ではない売れ方が残したもの

この曲は週間ランキングで最高2位まで上がり、売上は80万枚を超えた。hiroのソロ作品では最大の売上である。

グループの重なりの中で親しんできた声を、一本の線として聴く。すると、言葉のひとつひとつの輪郭が思いのほかくっきりと立ち上がり、デビューから数年のキャリアと括るには早すぎるほどの、歌い手としての足腰の強さが伝わってくる。

四半世紀あまりが過ぎたいま聴き直すと、グループとソロ、歌と芝居がいちどきに走り出したあの夏の熱が、当時の温度のまま封じ込められていることに驚く。ひとりで立った最初の声の、初々しさと確かさ。その両方が同時に届くところに、この曲の良さを感じる。


※この記事は執筆時点の情報に基づいています。

(文・笄坂かける)

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