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海辺で“走り”、“退いた”「イケメン俳優」3つの恋で魅せた「元スノボ選手」の海物語

  • 2026.8.19
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2014年3月、初写真集「side」発売記念イベントを開催した野村周平(C)SANKEI

手紙を受け取った青年が、相手のいる駅へ走り出す。海辺の家では兄たちの間を軽い足取りで抜け、別の物語では、恋人と並んで江ノ島の一日を過ごす。

野村周平が海のそばで演じてきた恋は、いつも身体の距離から始まる。追いつこうとする木島朔。人との間へためらいなく入る柴崎冬真。愛する相手を遠ざけようとする垣野内逞。

走る速さ、視線を置く先、隣にいる人とのわずかな間。その違いが、三人の青年が抱えた時間を静かに伝えてくる。

手紙を胸に駅へ走った

2013年公開の映画『江ノ島プリズム』で、野村周平が演じた木島朔は、城ヶ崎修太(福士蒼汰)、安藤ミチル(本田翼)と小学生の頃から一緒に育った幼なじみだ。三人の近さには、言葉にしない恋心が混じっている。

留学を決めたミチルは、二人への本当の気持ちを手紙に書く。朔はそれを受け取ると駅へ急ぐが、その途中で命を落とす。後悔を抱えた修太が過去へ戻り、三人の失われた時間・運命を取り戻そうとする。

野村周平は、朔の恋心を長い台詞で説明せず、手紙を読んで走り出す身体の反応として一気に表へ出す。その迷いのない動きが、朔をただ守られる病弱な青年ではなく、残された時間を自分の意志でつかもうとする人物に見せている。

兄たちの間へ入る、海辺の末弟

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※2016年撮影、野村周平(C)SANKEI

2016年放送のフジテレビ系ドラマ『好きな人がいること』では、野村周平の立つ距離が一気に近くなる。演じた柴崎冬真は、湘南のレストランを営む三兄弟の末弟。長男・千秋を三浦翔平、次男・夏向を山﨑賢人が演じた。

桐谷美玲演じるパティシエ・櫻井美咲が店と家へ入ってくると、兄弟の生活にも恋にも波が立つ。冬真はお調子者で、プレイボーイ。人に声をかけ、空気の隙間へすっと入る一方、料理の道を前にすると足元が揺らぐ。

野村周平の人懐こい表情は、冬真をただ明るい三男には見せない。兄に軽口を返せる距離の近さと、兄たちに追いつけない焦りが同じ顔に浮かぶ。にぎやかな家の中で、ふいに居場所を探しているようにも映る。

輪の中心へ入るのが早いからこそ、そこから外れた瞬間の寂しさが残る。冬真の軽さには、末弟の迷いが薄く重なっている。

隣にいながら、身を引こうとする

2019年放送のテレビ朝日系ドラマ『僕の初恋をキミに捧ぐ』で、野村周平は垣野内逞を演じた。逞は重い心臓病を抱え、20歳まで生きられないと告げられている。幼い頃から思い合う種田繭役は桜井日奈子。

逞は繭を大切に思うほど、残される相手の痛みを考えて距離を取ろうとする。それでも繭は離れない。入院を前に二人が江ノ島へ出かけると、海辺の一日は、次もある恋人同士の休日とは違う密度を帯びる。

朔は相手へ向かって走り、冬真は相手との距離をすぐ縮めた。逞は隣にいる相手から半歩退こうとする。野村周平の視線が正面から外れるたび、好きだから離れようとする青年の不器用さが残る。

同じ江ノ島でも、朔は間に合うために走り、逞は残される人を思って歩みを緩める。二つの身体が、恋に残された時間の違いを語っている。

雪の上で覚えた重心を、海辺へ

野村周平は芸能界へ入る前、スノーボード競技に打ち込んでいた。滑り始めれば、変わる斜面に合わせて重心を移し続ける。その経歴を持つ俳優が、海辺の三作では人との間に置く重心を変えてきた。

誰かへ駆ける。兄弟の輪へ飛び込む。恋人の未来を思って退く。海は同じ青さでも、その前に立つ野村周平の足は同じ場所にない。最後に残るのは説明ではなく、走り出した朔の背中、家の中を行き来する冬真、繭の隣で一日を惜しむ逞の姿である。


※記事は執筆時点の情報です

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