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人妻、二股、恋人交換…誠実そうな顔で“道ならぬ恋” 爽やか二枚目が魅せるアブナイ男

  • 2026.8.16
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2013年11月、TASAKIの写真展PR会見に参加した玉木宏(C)SANKEI

端正なスーツ姿、落ち着いた声、どこか育ちのよさを感じさせるたたずまい。2006年放送のフジテレビ系ドラマ『のだめカンタービレ』で、指揮者を目指す千秋真一を演じた印象から、爽やかな二枚目として記憶している人も多いだろう。

そのイメージを持つ俳優が、振り返れば何度も危うい恋のただ中に立ってきた。玉木宏が演じたのは、親友の思い人にひかれる男、恋人交換に参加する男、人妻を誘惑する色事師、妻と愛人の間で立ちすくむ夫、そして顧客の妻と関係を持つ会社員だ。5作に共通するのは「道ならぬ恋」でも、玉木が担った立場は一度として同じではない。

連ドラ初主演で背負った「友情と恋の板挟み」

最初の1作は、2006年放送のNHK土曜ドラマ『氷壁』。井上靖の小説を現代に置き換えた山岳ラブサスペンスで、玉木は世界的クライマーの奥寺恭平を演じた。これが連続ドラマ初主演だった。

奥寺の親友でザイルパートナーの北沢彰(山本太郎)は、スポーツ用品会社社長の妻・八代美那子(鶴田真由)に思いを寄せている。やがて北沢がK2で命を落とし、真相を追う奥寺も美那子とひかれ合っていく。相手は既婚者であり、亡き親友が愛した女性でもある。恋へ進むほど、友情への思いが重くなる関係だ。

ここで玉木が背負ったのは、欲望を押し通す色男ではなく、親友への思いと美那子への感情の間で動けなくなる男だった。

恋人交換で人妻の1週間の相手に

3年後の2009年、TBS系ドラマ『ラブシャッフル』では空気が一変する。玉木演じる宇佐美啓は、一流IT企業の課長に見えるものの、実は婚約者・香川芽衣(貫地谷しほり)の父親のコネで入社した人物。芽衣から突然別れを告げられ、同じマンションに住む男女が互いの恋人を1週間ずつ交換する実験へ参加する。

そこで啓が組む相手の一人が、人妻の上条玲子(小島聖)だった。ただし、これは自分から家庭へ踏み込む不倫とは違う。「運命の相手は本当に1人なのか」を確かめるゲームのルールで生まれた組み合わせである。

『氷壁』の重い葛藤とは対照的に、危うい関係を明るい群像ラブコメディの中へ置いたことで、玉木の端正さには少し頼りない可笑しみが加わった。

誘惑する男と、妻と愛人の前で立ちすくむ男

2017年の舞台『危険な関係』で演じたヴァルモン子爵は、さらに能動的だ。鈴木京香演じる策略家のメルトゥイユ侯爵夫人と恋愛ゲームを仕掛け、貞淑な人妻トゥルヴェル法院長夫人(野々すみ花)を誘惑する稀代のプレイボーイ。相手が落ちるのを待つのではなく、言葉と振る舞いで心を動かす側へ回った。

ところが同年12月にテレビ朝日系で放送された松本清張ドラマスペシャル『鬼畜』では、華麗な色事師の余裕はない。玉木演じる印刷会社経営者・竹中宗吉には、妻の梅子(常盤貴子)がいながら、愛人の菊代(木村多江)との間に3人の子どもがいた。事業が傾き、菊代が子どもを連れて妻の前へ現れると、宗吉はなすすべなく追い詰められていく。

人妻を攻略するヴァルモンと、妻と愛人の間で決断できない宗吉。近い時期の2作だけでも、禁断の関係を仕掛ける強さと、崩れていく弱さの両方が見える。

情けなくも憎めない不倫夫

2018年のTBS系ドラマ『あなたには帰る家がある』では、その弱さがブラックコメディの温度で描かれた。玉木が演じた佐藤秀明は、結婚13年目の妻・真弓(中谷美紀)とすれ違い、住宅販売の顧客の妻・茄子田綾子(木村多江)と関係を持ってしまう。

秘密が露見した後、秀明は真弓に許してもらおうとし、綾子との関係も終わらせようとする。しかし、2組の夫婦を巻き込んだ混乱は簡単には収まらない。悪意だけでは割り切れない小心さが、この男を一層ややこしくしていた。

親友への罪悪感、恋人交換のルール、誘惑する快楽、決断できない弱さ、夫婦のすれ違い。5つの危うい関係を並べると、玉木は同じ“不実な男”を繰り返したのではなく、境界を越えるまでの理由と越えた後の姿を演じ分けてきたことが分かる。

爽やかな二枚目の顔は、誠実な役だけに似合うものではない。信じたくなる顔だからこそ、そこに迷い、欲、ずるさが差した瞬間が強く残る。その落差が、玉木宏の知られざるもう一つの持ち味なのかもしれない。


※記事は執筆時点の情報です

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