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人妻に溺れる「悪い男」。“色気”に目が離せないアーティスト系俳優とは?

  • 2026.8.13
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2017年11月、「CINEMA FIGHTERS」プレミア上映会の舞台挨拶に登場した岩田剛典(C)SANKEI

「悪い男」と分かっているのに、なぜか目を離せない。許されない関係なのに、相手を責めるより先に、その寂しさが気になってしまう。

そんな危うい人物を演じるとき、岩田剛典の端正な顔は不思議な力を帯びる。三代目 J SOUL BROTHERSのパフォーマーとして華やかなステージに立つ一方、俳優としては、恋愛のきれいな部分だけではない役にも挑んできた。

映画『空に住む』、Netflixシリーズ『金魚妻』、ドラマ『あなたがしてくれなくても』。3作で岩田が演じたのは、いずれも恋の境界線を揺らす男たちだ。ただし、同じような色男を繰り返しているわけではない。

相手との距離をためらいなく縮める男、傷ついた女性の逃げ場になる男、自分の満たされなさを隠す男。岩田の色気は、一線を越える場面より、その前後にある矛盾を見せるときに強くなる。

誠実そうな顔で近づく「悪い男」

2020年公開の映画『空に住む』で演じたのは、人気スター俳優の時戸森則。両親を亡くし、タワーマンションで暮らし始めた直実(多部未華子)の前に現れ、急速に距離を縮めていく人物だ。

時戸は、初対面から大胆で、花をちぎって食べるような奇妙さもある。岩田自身も脚本を読んで「ひどい奴」だと思ったと語り、時戸には孤独があると考えて演じたという。

ここで効いているのが、岩田の誠実そうな風貌だ。見るからに危険な男なら、直実が惹かれる展開は単純になる。しかし、柔らかな印象の奥から理解しきれない行動がのぞくことで、安心と警戒が同時に生まれる。

時戸の色気は、甘い言葉の多さではなく、近づいても肝心なところはつかませない距離にある。岩田はその空白を埋めず、「悪い男」を謎のまま魅力的に残した。

不倫の相手なのに、逃げ場に見える

2022年配信のNetflixシリーズ『金魚妻』では、金魚屋の店主・豊田春斗を演じた。夫・卓弥(安藤政信)からDVやモラハラを受けるさくら(篠原涼子)を受け入れ、やがて禁断の関係へ進んでいく役だ。

構図だけを見れば、春斗は人妻と一線を越える相手である。ところが物語の中では、さくらを強引に奪う男というより、追い詰められた彼女に息をつける場所を差し出す存在として映る。春斗には過去へのコンプレックスがあり、ただ余裕のある王子様ではない。

傷ついた女性を包み込む優しさと、既婚者との関係を進める危うさ。その両方を同じ表情の中に置くから、春斗は「正しい人」にも「悪い人」にも簡単には分けられない。

『空に住む』の時戸が境界線を消していく男なら、春斗は境界の外に逃げ場を作る男だ。同じ禁断の恋でも、岩田の静かな佇まいが持つ意味はまるで違っている。

完璧な男の沈黙が心の揺れを語る

2023年放送のフジテレビ系ドラマ『あなたがしてくれなくても』で演じた新名誠は、さらに立場が反転する。新名は、楓(田中みな実)という妻を持ちながら、同じく夫婦関係に悩む部下のみち(奈緒)に惹かれていく既婚者だ。

仕事ができ、知性があり、傍目には美しい妻との生活も順調に見える。それでも家庭の中では、満たされない思いを隠している。この役で大切なのは、言葉にできない感情だった。岩田は、「大丈夫」という台詞が実は「大丈夫ではない」ことを、表情と声でどう伝えるかを見事にやってのけている。

整ったスーツ姿で感情を抑えるほど、隠した寂しさがにじむ。新名の色気は、完璧さそのものではなく、完璧であろうとして崩れかける瞬間に生まれていた。

色気の正体は「ためらい」にある

時戸は相手の心へ入り込み、春斗は傷ついた相手を受け止め、新名は自分も傷を抱えたまま誰かに近づく。3人はそれぞれ違う。それでも共通するのは、岩田が人物を善悪のどちらかに寄せきらないことだ。

禁断の関係を描く作品では、強い言葉や大胆な場面が注目されやすい。しかし岩田が印象を残すのは、その前後にある視線や沈黙、言葉とは反対の感情である。

クールな顔の下から、ためらい、寂しさ、身勝手さが少しずつ見える。その矛盾を隠さないからこそ、岩田剛典は道ならぬ恋を演じるほど、俳優としての色気を増していく。


※記事は執筆時点の情報です

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