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いくつもの顔を魅せる“不倫夫”…妻を惑わせる夫役で光る【イケメン俳優】の演技力

  • 2026.8.6
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2017年2月、フジテレビ系ドラマ『きみはペット』完成披露試写会に出席した竹財輝之助(C)SANKEI

二重生活、浮気疑惑、離婚宣告。並べるだけでも穏やかではない言葉だが、竹財輝之助は、そんな危うさを抱えた夫を何度も演じている。

しかも、ただ同じような「不倫する悪い夫」を繰り返しているわけではない。家庭の内と外で顔を使い分ける夫、疑惑を向けられても本心を見せない夫、妻との関係を切り捨てようとする夫。それぞれの裏切り方に合わせて、声や視線、佇まいまで違って見えるのだ。

竹財は、2004年放送のテレビ朝日系特撮ドラマ『仮面ライダー剣』で俳優デビュー。端正で柔らかな雰囲気を持ちながら、その奥にある冷たさや不穏さをにじませる役でも存在感を放ってきた。なぜ竹財が演じる“不倫夫”は、こうも印象に残るのだろうか。

家庭を二つ持つ夫の、恐ろしいほど自然な顔

2024年放送のテレビ東京系ドラマ『夫の家庭を壊すまで』で、竹財が演じたのは如月勇大。妻のみのりと家庭を築きながら、別の女性との関係も長年続けている夫だ。衝撃的なのは、勇大が見るからに悪人ではないことだろう。妻や子どもの前では、ごく普通の夫として振る舞う。その表情だけを見れば、家庭を裏切っているとは思えない。ところが彼には、家族の知らない場所にも別の日常がある。

竹財は、表向きの優しさを大げさに演じない。だからこそ、それが演技ではなく、勇大にとって本当に自然な顔なのだと思わせる。妻への笑顔も、家庭の外で見せる親密さも、本人の中では矛盾していないのかもしれない。その無自覚さが、露骨な悪意以上の怖さを生んでいる。

二重生活を送る夫に必要なのは、分かりやすい冷酷さではない。複数の人生を同じ温度で生きられてしまう、不気味な平然さなのだ。

“理想の夫”だからこそ消えない浮気疑惑

2021年放送のテレビ東京系ドラマ『にぶんのいち夫婦』では、中山和真を演じた。和真は、妻の文にとって自慢の夫だった。優しく、誠実で、結婚生活も順調に見える。ところが、スマートフォンに届いた意味深なメッセージをきっかけに、文は夫の浮気を疑い始める。

この作品で竹財が見せるのは、悪事が明らかになった夫ではなく、「疑われている夫」の曖昧さだ。帰宅が遅い。何かを隠しているように見える。それでも、優しさそのものは以前と変わらない。疑いを持った妻の目を通すことで、穏やかな微笑みや何気ない言葉まで怪しく映っていく。

ここで竹財の端正な佇まいが効いてくる。和真が魅力的な夫であればあるほど、「この人が裏切っているはずはない」という思いと、「だからこそ何かを隠せるのではないか」という疑念がぶつかるのだ。

『夫の家庭を壊すまで』の勇大が複数の暮らしを平然と行き来する夫なら、和真は妻の目の前にいながら、肝心な部分へ触れさせない夫。同じ優しさでも、前者は二重生活を覆い隠し、後者は疑惑を深める材料になる。

離婚宣告で見せる、関係を切り捨てる夫

2026年春ドラマ『鬼女の棲む家』では、妻へ離婚を突きつける夫を演じている。二重生活や浮気疑惑には、まだ「隠す」という行為がある。そこには少なくとも、今の家庭を維持しようとする姿勢が残っている。

しかし離婚宣告は違う。夫は妻との関係を自ら終わらせようとし、その決定を受け入れるよう迫る。裏切られた側が感情を整理する時間よりも、裏切った側の都合が先に進んでいくのだ。

竹財は、こうした夫を激しい怒鳴り声だけで表現しない。落ち着いた口調や整った表情を保つことで、すでに気持ちが別の場所へ移っていることを伝える。

妻がまだ夫婦の問題として向き合おうとしている一方で、夫の中では結論が出ている。その温度差が、離婚という言葉をいっそう残酷に響かせる。

同じ“不倫夫”でも、裏切りの温度は違う

家庭を二つ持つ勇大、疑惑の中心にいる和真、離婚を告げる夫。竹財が演じた3人は、いずれも妻との信頼を揺るがす存在だが、その怖さは同じではない。勇大には、裏切りを日常へ溶け込ませる平然さがある。和真には、愛情と疑惑を同時に抱かせる曖昧さがある。そして『鬼女の棲む家』の夫には、相手の感情を置き去りにして関係を終わらせる冷たさがある。

竹財の演技は、「不倫する夫」という強い記号の中に、それぞれ異なる人間の身勝手さを作り出す。穏やかな声も、柔らかな笑顔も、視線を外す一瞬も、作品が変われば意味が変わる。優しそうに見えるから安心できるとは限らない。その事実を、竹財輝之助ほど静かに、そして恐ろしく見せる俳優は珍しい。


※記事は執筆時点の情報です

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