1. トップ
  2. ビジネス・マネー
  3. 大家から『家賃5,000円値上げ』の通知が→「仕方ない」とハンコを押すが…数日後、判明した事実に30代男性が“絶句したワケ”

大家から『家賃5,000円値上げ』の通知が→「仕方ない」とハンコを押すが…数日後、判明した事実に30代男性が“絶句したワケ”

  • 2026.8.1
undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

こんにちは。FPとして家計相談やお金に関する情報発信を行っている柴田です。

大家さんや管理会社から家賃値上げの通知が届いたとき、「通知されたのだから従うしかない」と諦めてサインしていませんか?実は、家賃の値上げは双方の合意がない限り、貸主が一方的に決定・強制できるものではありません。

「近隣相場が上がっているので、更新を機に家賃を5,000円上げさせてください」

大家さんからそんな通知を受け取った35歳男性・Aさん(仮名)。「相場が上がっているなら仕方ないか」と何の疑問も持たず、同意の判子を押しました。

ところが後日、不動産に詳しい友人にこの話をすると、「それ、拒否できたのに」と返されて絶句。年6万円、更新ごとに増える可能性のあった負担について「知らないだけで損していた」と気づかされたのです。

家賃の値上げは拒否できる!

この「家賃値上げに無条件で従ってしまう」パターン、近年の物価高やコスト上昇に伴う家賃値上げラッシュで非常に増えています。もちろん、貸主側にも固定資産税の上昇や修繕費の高騰といった事情があります。

しかし、賃貸借契約における家賃改定は、「当事者の双方の合意があって初めて成立するもの」です。貸主が一方的に決めて押し付けることは法律上できません。もし条件に納得がいかない場合は、値上げの要求を拒否すること自体は借主の正当な権利です。

なぜ拒否できるのか。法律上の根拠を確認

根拠となるのは「借地借家法」です。この法律では、生活の基盤である住まいを守るため、借主(入居者)の権利が手厚く保護されています。借主を守る観点から、貸主の一方的な都合で勝手に家賃を改定したり、強制的に退去させたりすることはできない仕組みになっています。

拒否する際は、トラブル防止のためにも口頭ではなく、メールや書面などで「現行家賃での継続を希望します」と記録に残る形で伝えましょう。

なお、通知書の中に「新家賃に同意する」「退去する」の2択しか選択肢がないように見える書面が送られてくるケースもあります。しかし、そうした通知であっても慌てる必要はありません。「値上げには同意せず、現行条件での更新を希望します」と冷静に意思表示を行えば、法律上の権利が損なわれることはありません。

値上げを拒否したらどうなる?知っておくべきポイント

undefined
出典元:photoAC(※画像はイメージです)

1. すぐに退去させられることはない

値上げを拒否したことだけを理由に、家を追い出されることはありません。貸主側から契約解除や更新拒絶をするには「正当の事由」が必要とされており、単に「家賃の値上げに応じないから」という理由だけでは正当事由として認められないのが一般的です。

2. 合意できなくても契約は自動継続される(法定更新)

契約更新時までに家賃の折り合いがつかない場合、借地借家法第26条に基づき「法定更新」という形で、従前と同じ契約条件(旧家賃)のまま契約が自動的に更新されます。

3. 旧家賃を受け取ってもらえない場合は「供託」を利用する

値上げを拒否した際、貸主側が「値上げ後の家賃でなければ受け取らない」と旧家賃の受領を拒否したり、振り込み口座を閉鎖したりするケースがあります。ここで「受け取ってもらえないから」と放置してしまうと、借主側の「家賃滞納(債務不履行)」になってしまい、退去原因を作ることになります。

貸主が受け取りを拒否した場合は、法務局へ家賃を預ける「供託(弁済供託)」という手続きを行ってください。供託を行えば、法的に「家賃を正しく支払った」と扱われるため、滞納とされるリスクを防ぐことができます。

値上げが認められるケースと角を立てない交渉術

法律上、以下のような客観的な事情がある場合には、貸主からの家賃増額請求が相当とされる可能性があります。

  • 土地建物にかかる税金(固定資産税等)の負担が著しく増えた
  • 経済事情の変動(激しい物価高や金利上昇など)があった
  • 近隣の同種物件の家賃相場と比較して、明らかに不相当に安くなっている

もちろん「絶対に値上げできない」わけではなく、法律上は次のような条件で値上げが認められる可能性があります。

  • 土地建物にかかる税金などの負担が増加した
  • 経済事情の変動(物価・金利など)があった
  • 近隣の同種物件の家賃よりも明らかに安くなっている

ただし、これらに該当する場合でも直ちに自動値上げとなるわけではなく、まずは当事者間で協議を行い、折り合いがつかなければ最終的に調停や裁判所での判断に委ねられることになります。

また、権利があるからといって攻撃的な姿勢で拒否するのは悪手です。今後の関係性が悪化すると、設備故障時の修繕対応などが滞る懸念もあります。

「お話は承知いたしました。ただ、こちらの家計事情もあり、できれば現在の家賃で継続させていただけないでしょうか」といった形で、低姿勢かつ誠実に意思を伝えることが、双方にとって円満な解決への第一歩となります。

焦ってサインせず冷静な対応を

家賃の値上げ通知が届いても、焦ってすぐに同意のサインをする必要はありません。まずはご自身の契約形態(普通借家契約か定期借家契約か)を確認し、適切なステップで対応しましょう。

  • 一方的な変更ではないことを理解する(拒否しても法定更新の仕組みがある)
  • 書面やメールなど記録に残る形で意思決定を伝える
  • 相手が旧家賃を受け取らない場合は「供託」を活用して滞納を防ぐ
  • 丁寧で円満なコミュニケーションを心がける

値上げ通知が届いても慌てずに、正しい知識を持っておくことで、無理のない住居費の管理と安心できる暮らしを守りましょう。


※本記事は一般的な法律知識の概要を解説したものであり、個別の賃貸トラブルに関する法的助言を提供するものではありません。実際の家賃交渉や供託手続き、協議が決裂して調停・裁判等へ発展しそうな場合は、自己判断せず、弁護士や消費生活センター、または自治体の無料法律相談等の専門窓口へ直接ご相談ください。

参考:e-Gov「借地借家法」

執筆・監修:柴田 充輝
厚生労働省や保険業界・不動産業界での勤務を通じて、社会保険や保険、不動産投資の実務を担当。FP1級と社会保険労務士資格を活かして、多くの家庭の家計見直しや資産運用に関するアドバイスを行っている。金融メディアを中心に、これまで1,200記事以上の執筆実績あり。

の記事をもっとみる

注目コンテンツ